精神障害を持つ方が、自尊心を失うことなく、いきいきと働くためにはどうしたらいい?
どうしたら精神障害を持つ人が、自尊心を失うことなく、会社という場所で自らの能力を発揮し、いきいきとそこに居られるかを日々考える、発達障害、鬱病持ちの障害者雇用当事者です。
私が現在勤めている職場には、私を含め4人の障害者の方がいます。
障害の種類も程度も4者4様です。
周りと同じように働くことができない、キャパオーバーがたびたび発生して仕事が滞る、頻繁に体調を崩す、時々メルトダウンを起こしてオフィスで泣き叫ぶ・・・そのような方もいます。
周りの多くは、「やれやれ、手のかかる人だ」「甘えている」といった反応です。
私はというと、発達障害(ASD、軽度のADHD)と診断されていますが、自分では軽い方、グレーゾーンに引っ掛かっているくらいだと思っています(人から見たらどうかは分かりませんが)。
でもだから、擬態して上手くやっています。よく「そんな風(発達障害)には見えないね」と言われます。外ではいわゆる"特性"みたいなものが出ずに済んでいます(あくまで「外では」)。
障害が軽い人は私を含め2名ですが、私ももう1人の方も、一生懸命"擬態"をし、必死に「障害者であろうとしない」というか、健常者と変わらぬ人になろうとしている節がある気がします(障害者という属性を自分で否定的に見ている、と言いますか)。
障害軽めのもう1人ですが、この方は聴覚障害者で、責任の重い仕事も任され健常者と変わらぬ仕事量を持っていますが、精神の障害者にすごく冷たく当たります。「この人たちと一緒にされたくない」と思っているかのようです。私にも初対面の時から感じ悪かったです(「私、何かしただろうか??」と本気で悩んだ)。
一方障害が重めの2人は「すみません」が口癖で、常にオドオドとおびえ、オフィスの隅を足音を立てないように歩いています。なんというか、「ここに居て申し訳ありません」オーラを感じてしまいます・・・。
健常者と同じになることで居場所を作ろうとする自分も、障害ゆえに迷惑をかけているという思いが非常に強く、周りからバカにされたり陰口を言われることで自尊心がゴリゴリ削られていく人がいることも、障害者雇用の環境としては「このままではよくない」と思うわけです。
ではどういうのが理想、ゴールと私が考えているかは、それは冒頭でも書きましたが、障害ゆえに起きることでその人の自尊心が削られることがない社会、会社です。その上に障害者が能力を発揮できる未来もあると思っています。
よく健常者が、障害者社員のことを「甘えている」とか、「(彼らを)甘やかしてはいけない」と言いいます。例えば、メモを取らせたのに仕事を忘れる、メモを取ってもメモを見ない、という時などです。
「甘えている」から障害者はそうしているのか?と考えると、私には「甘え」でそうしているとは思えません。なぜならミスした時のその人は、とても辛そうで、とても肩身が狭そうで、「生きてて申し訳ありません」くらいの勢いで謝っているからです。そんな辛い思いをしてまで周りに甘えて自分の責任を果たそうとしない人は、なかなかいない気がします。
ADHDゆえにメモを取ってもメモしたことを忘れたり、または本人としてはキャパオーバーでメモを見直す時間(心の余裕)が持てないなど、常に焦っているか、いっぱいいっぱいの状態で仕事をしているからだろうと思います。
しかし障害を免罪符にしていいわけでもなく、だとしたら、そのような自分と向き合って、どうしたらいっぱいいっぱいな今の状況を変えられるかを考えて手を打つ必要はあると思います。
「余裕がない」と感じるとしたら、何に追われているように感じるのか?
本当にメモを見直す時間もないほど忙しいなら、それは上長に相談して、仕事を減らしてもらった方がいいかもしれないし、
もしかしたら、少ない仕事でも焦ってしまう、自分の気持ちの問題かもしれません。その場合、どんなに焦っていても、辛くても、心に急ブレーキかけて、「メモを見る時間」を強制的に作るしかないと思います。スマホのタイマー機能で自分にお知らせをして「何時と何時には必ずメモを見る」と取り決めをしたり。周りが「メモ見た?」と声掛けするのもいいでしょう。
これ以外にも対策は色々あるかと思いますが、そうやって、自分なりに考えて気づいていければいいけど、「じゃあどうしたらいいんだろう」と考える発想に至らない人もいると思います。その場合は教えてあげればいいと思います。「じゃあどうしたらいいかを考えてみませんか」と。
ここまで書いて思いましたが、実際に職場に上記の提案をすれば、「なんで周りがそこまでしなきゃいけないの?」という答えが返ってくるかもしれません。少なくとも陰口やキツく当たるよりは建設的で効果的かと思いますが、確かにみんな忙しいです。障害が重めの方に逐一サポートをするのは大変なことだとも見ていて感じます。
考えてみれば、健常者社員に、自分の仕事に加えて就労支援員のような役割も求めることが、そもそもの元凶なのではないかと思いました。
最近、産育休者の仕事を"カバーした側"に手当を支払うというニュースを見て、すごく理にかなった制度だなと感じたのですが、これと同じような制度が障害者雇用でも広まればいいなと思いました。
でも現状は難しそうですね。
自分が経営者になったらそんな会社を作りたい、なんて非現実的な夢を一瞬見ましたが、何にせよ環境を変えるのは困難です。
環境に不満ばかり言ってないで、自分が変わるのが一番!だと思います。
まずは自分の仕事に精進して、発言力をつけたいです。
4月から異動となり、他の障害者雇用の方と身近になれたので、もし私が困っている方を見かけたら、建設的なアドバイスができる人であろうと思います。
今の私はどうしても障害者側の気持ちに偏りがちですが、健常者・障害者双方の気持ちが理解できる人を目指したいです。なぜなら私は会社が好きだし、会社の役に立ちたいし、障害者も生き生きと働けるもっと良い会社になって欲しいしと思うし、自分もそこで成長したいからです。
そんな決意をしたGW最終日でした。
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