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今日も1日お疲れ様です
駅から自宅最寄りまでのバスに乗ろうとした。
運転手さんは、茶色い長めの髪、よく見ると片方が長くて、もう片方は刈り上げてある。30代後半から40代前半といったところだろうか。少しやんちゃな感じも受けるので緊張する。
その運転手さんは物腰の柔らかい人だった。テキパキとスロープを出し、私とヘルパーさんを誘導した。感じが良い人だなと思ってバスに乗り込む。そういう運転手さんにあたると、それだけでホッとする。
出発する寸前、彼は驚くようなひと言を発した。
今日も一日お疲れ様でした。
○○行き発車いたします。
車内はお喋りをしている乗客がチラホラいて、私もその中の一人ではあったが、私の耳は確かに運転手さんの心遣いのある一言を聞き漏らさなかった。
乗客の中で何人の人が彼の言葉を聞いただろう。
やがて目的地にたどり着き、私たちが降りると、彼は言った。
混んでたものだから遅くなっちゃってごめんなさいね。
私たちは大きく首を振り、そしていつも以上にお礼の気持ちを込めて有難うを言い、家路に向かった。
今でこそあまりいないが、以前は車椅子で乗ろうとすると舌打ちをする運転手さんもいたし、今でも車椅子を乗せるのが嫌々ながらだという態度を見せる人もいてバスに乗る直前は緊張する。乗車拒否に遭った時はさすがにバス会社にクレームを入れたこともある。
今回のように素敵な運転手さんに乗せていただいても「世の中変わってきたのかな」という印象は残念ながらない。
しかし、時折、こういう人に会うために私はバスに乗り、電車に乗り、街へ出て、買い物をしたりランチを楽しんだり、あるいはイベント事を楽しんだりするのかなと思う。
いくら美味しいランチを食べても、イベントが楽しくても、行きかえりの道中で嫌な思いをしたら台無しだ。
車椅子で外出をすると、大なり小なり嫌なこと、理不尽なことはたくさんある。
そういう世の中で、優しい人や気がつく人に出会った時、1日の時間の流れが優しく温かいものになる。障害を持っていると、冷たい人にたくさん出会う一方で、優しい人や温かい人に出会う機会が多いかもしれない。
あの運転手さんは、私を乗せる前にどれくらい走り、降りてからどれくらい勤務が続くのだろうか。緊張感が抜けない仕事できっと疲れているはずだ。
そんな中、彼の穏やかで優しいひと言はどこから出てくるのだろう。
この次に乗せていただいたら、言いそびれてしまったことを言おう。
運転手さん、今日も1日お疲れ様です。
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