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人は着る。桜は脱ぐ。
2週間ぶりの外はやはり寒かった。
日差しは柔らかく暖かだったが、空気は1月らしいキンとした冷たさだった。
うっすらと太陽に暈がかかっていて、雨が降るかもしれないと思ったが、1日とても良く晴れていた。
商業施設に向かうシャトルバスから何気に外を見ていると、街路樹につぼみらしき粒々したものが見えた。幹に横筋が入ってたので桜だとわかった。
それらは”つぼみ”というより、つぼみになる前の”タマゴ”のように見えた。
桜のつぼみは、夏に生まれ、冬は越冬芽となり、春暖かくなると開花するのだそうだ。
寒さ厳しい季節、私たち人間はこれでもかというくらいに着込む。ひたすらに暖かく過ごすことに集中し、身動きできない程膨れ上がった格好で、寒い寒いと文句を言いながら、背中を丸めて歩く。
それに比べて桜は今丸裸だ。秋に葉を落とし、冬の寒風にさらされても、つぼみをむき出しにして、春をじっと待っている。
人は着る。桜は脱ぐ。