埃を流す雨
あーあ!
その日は朝からどんよりと曇っていて、いつ降ってきてもおかしくはなかった。
ヘルパーさんを頼み、母も含めた私たち3人は、私の部屋の一角を掃除していた。
窓と網戸を中から外から拭いていただいた後に、待ってましたとばかりにザーッと降ってきたのだった。
さっき「きれいになったね」と言い合ったばかりだったのに…
「あーあ」と言いながら、あまりの理不尽な空の仕業に、私たちは爆笑してしまった。
それより少し以前のこと、私はあることについてモヤモヤしていた。モヤモヤというより怒りに近かった。
その理由は、私の想いやスタンスを人にうまく説明できなかったことにある。そのことについて議論するための十分な時間がなく、そして摩擦を避けるために論点をずらさなければならなかったことに私は苛立った。
きちんと議論していたら、少なくとも消化不良のまま時間が経過することはなかったかもしれない。
そして、私の中に埃が溜まっていった。
一通り掃除が終わってから、去年友達になってくれた人からのメッセージカードや、大好きな人たちと撮った写真をしばらく眺めた後、元の位置に立て掛けた。
埃がとれたキャビネットに、様々なモノが次々と置かれた。
それはいつもの風景だ。
雨はその後降ったり止んだりを繰り返した。
短時間の雨では、私の埃を一気に洗い流すことは出来なかったが、次の雨が、また次の雨が少しずつ私の埃を洗い流すだろう。そしてしばらくして再び埃が溜まり、そしてまた洗い流される。きっとその繰り返しだ。
きれいになった部屋の一角と、雨音が心地良かった。
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