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やっぱり珍道中がお似合い

何度も行ったところであれば特別準備は要らないが、車椅子のお出かけで特に初めて行くところは多少準備をしておいた方が良い。
電車の乗り換えがしやすい場所、駅からのルート、お手洗いの場所などいくつかのポイントに沿ってざっと調べておく。あまり細かく調べても実際に現地に到着すると工事中だったり、スタッフの案内がないといけない場所だったり、トイレが狭すぎて入れなかったりする。きっちり調べすぎても無駄になることがあるので、適当で良い。私は珍道中が好きであり、実際に珍道中になることもしばしばだ。


先日蒲田に初めて行った。『蒲田行進曲』で有名な蒲田である。地名は知ってはいても行く用事はこれまでなかったが、香料メーカーの期間限定展覧会で香水瓶を展示するというので見に行くことにした。
ついでに何週間か前にテレビで観た厚切り生姜焼きを出すという蒲田の生姜焼き専門店を知り、そこでランチを取ることにした。


前日に地図を見る。
飲食店は駅の西側、お目当ての展覧会は東側。地図だけで見ると結構距離がありそうな気がし、道に迷うのではないかと少し心配だった。
ところが駅に到着して、まず飲食店のある西側方面に行くと、目の前には飲食店につながるアーケードがあり、10分弱でその飲食店にたどり着いた。
おいしい生姜焼きに舌包みうち、お腹がパンパンになってその後駅まで戻り、今度は東口から出る。ここから迷うのではないかと内心ドキドキしていたが、こちらも10分弱で迷わずに行けてしまった。


この日は、蒲田駅到着もあらかじめ時刻表サイトで調べておいた時間通りだったし、ひとつも迷うことなく、美しいたくさんの貴重な香水瓶を堪能して完璧な1日を過ごすことができた。
初めて行く場所でこんなにスムーズに行く日はなかなか珍しい。


電車に乗る時間が長いので、少し早めに蒲田を出発することにした。
するとなんと、蒲田から東京品川方面のホームに通ずるエレベーターが修理中だと言うのだ。そのためいったん川崎まで行き、そこから品川方面に乗り換えてくれと言う。
川崎と言えば川を越えて神奈川県だ。料金はそのままで良いと言うので、駅員さんの言うことに従って川崎経由で帰ることにした。


川崎では乗り換えるだけでホームから出ることはなかったが、まさか神奈川にまで来られるとは思わなかった。私は遠くに行くことが好きだ。このまま更に遠くに行きたいとさえ思う。


蒲田と川崎はわずか一駅、時間にすれば十数分遅くなるだけだ。川崎から品川、品川からまた乗り換えて、地元まで少しだけ長い電車旅を堪能した。私にとってはささやかなご褒美だ。
やはり私には珍道中がお似合いらしい。

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