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上達を感じる不思議な瞬間
不思議なことがある。
中学生の頃、ブラスバンド部に入っていた。養護学校の部活、皆それぞれ障害を持っており、どうしても演奏技術には限界がある。けして上手いとは言えなくても、皆がそれぞれ一生懸命練習し、音楽を楽しみ、そして折に触れて演奏会を行った。楽器演奏が上達するには非障害者でさえ努力と時間が必要だ。私とて同じで、どんなに頑張ったところで技術的には非障害者には及ばない。
そんな私だったが、ある時ふと自分の演奏が上手くなったと感じられる瞬間があった。
時々部活の先生がオーケストラコンサートに引率してくださった。その音楽鑑賞から翌日以降、なんだかとても自分の演奏が上手くなったような気がしたのだ。しかも、コンサートを鑑賞した後に必ずその瞬間が訪れた。
鑑賞の前と後で急に上手くなるはずがない。しかし、私の中では何かひとつ会得したとか、スッと何かがわかったかのように、自身の演奏技術が突然向上するのを感じたのだ。
そして、数日、せいぜい数週間程度でその感覚はなくなっていく。
同じようなことが先日のサロン・ド・パルファンの後に起きている。
私は当日3人のフランス人と拙いフランス語で会話をした。会話は成立していたけれども、彼らの言ってることがすべて理解できているわけではないし、知っているのに出てこないフレーズもたくさんあり、「ああ言えば良かったかな」とひとしきり反省である。
しかし、なんだか急にフランス語が上達したような気がしているのだ。フランス語でドラマを見ていても以前に比べてずっと聞き取れるし、頭の中でフレーズがポンポンと出てくる。
美術館に行って急に絵がうまくなったように感じるとか、小説を読んで急に文章がうまくなったように感じるといったことはない。それぞれ技法や表現方法で得るものがあったとしても、絵や文章については上達したという感覚は全くない。
多分、そんな気がするだけで、急に楽器や外国語が上達したわけではないはずだ。
あくまで想像でしかないが、日々の単調な練習から非現実的な場面にいっとき身を置くと、それまで気づかなかったスキルの上達具合が客観的に見えるのではないだろうか。
「あ、こうすれば良いんだ」とか「もう会話できるじゃないか」という小さな気づきや自信が、その非現実的な場で得られているのではないかと想像する。
ならば、度々実践の場に足を運べば良いかと言えば、そうは問屋が下ろさない。
やはり、いきなり上達するなんていうことは間違ってもないのだ。
また地道に精進していこう。
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