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象は鼻が長い

象は鼻が長い。

この単純な日本語が、長い間言語学者の間で論争になっているとは知らなかった。
問題となっているのは、この文章の主語はどれかということである。


「は」と「が」は助詞である。
養護学校時代、国語の授業では日本語の文法は学ばなかった。ほとんどの生徒は大学を受験しないからなのか、学校全体の知的水準に合わないからなのか、それとも文法よりもそこに書かれている登場人物などの心を読み取る方優先したのか、その辺はわからないが、私が文法用語を知ったのは卒業後である。ただ、「は」と「が」が文章の中核をなす、主語を支える言葉だと言うことは経験上理解できる。
つまり、ネイティブスピーカーであれば、その言語の文法などを知らなくても、言語を操ることはできるのだ。

noteを執筆する際、私は「てにをは」にはかなり気を使っている。「象は鼻が長い」という文章が通常使われる文章であることを理解はしているが、あえてこのような文章にならないようにしている。
どうもスッキリしない感覚があるのだ。おそらくそれは長年学習してきた英語・スペイン語・フランス語の影響によると思う。
もしこれを欧米の言語に訳すなら

象の鼻は長い

だ。
それが染み付いている私は、二重主語に座りの悪さを感じる。

日本語における二重主語の問題は、研究者たちの長年の論争のさなか、一石投じたのは、”「は」で繋がる文は主語ではなく、主題である”と述べた三上章である。しかし、彼は言語学の研究者ではなく高校の数学教師であったため、『星の王子さま』に登場するトルコの学者のようにその説は長らく放置されてしまった。日の目を見たのはそれからずいぶん後のことである。
詳しいことはここでは書かないが、彼の発想は驚くべきである。

よく「日本語もよくわからないのに、外国語なんてとてもできない」と言ってはじめから外国語学習を拒否してしまう人がいるが、研究者であっても母語はわからないのだ。
わからないから学ぶことは楽しい。

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