「なんとも言えない」においの表現
土曜の夜、ぼんやりとYouTubeを観ながら夜のスキンケアをしていた。
コスメ系のYoutuberが手持ちのフレグランスの説明をしており、その中で彼女は「語彙が…」という言葉を何度も繰り返していた。フレグランスの説明がうまくできておらず、彼女自身もそれがわかっている。
結局、香りのイメージは伝わらなかったが、彼女がそのフレグランスをとても愛していることだけは伝わった。
フレグランスに限らず”におい”の説明は本当に難しい。
たとえば以前に「屋内プールに沈められた小銭のような金属臭」と販売員に説明したことがある。あるフレグランスにおける金属的な香り(メタリックアコード)を説明したものだが、もしもにおいを言語化する習慣を持たなかったら浮かばなかっただろう。
ただ、すべての人がもちろんにおいを言語化するとか、感じていることをより具体的な語彙にする習慣を持っているわけではない。
そこで便利な表現がある。
「なんとも言えない」
だ。
フレグランスだけではない。コスメにも使える。コスメ系のサイトで「ラメがなんとも言えず美しい」などの表現をよく見かける。なんでも説明できてしまう魔法の言葉だ。
実は、私のnoteにおいて意図的に避けている言葉のひとつが「なんとも言えない」だ。
内側に感じている感覚を包括できる言葉であるために便利であるし、それ以上深く考えずに済む。その一方で他者には伝わらない。
何がどう美しいのか
何をどう感じたのか
何を伝えたいのか
曖昧で抽象的な感覚を、様々な語彙を選択して具象化する作業はとても知的で面白い。
特にかおりは見えないものなだけに、色・形・音・風景その他様々な現象に変換して伝えることも可能である。
「なんとも言えない」の一言でそれを放棄してしまうのはもったいない気がする。
先日、あるブランドのフレグランスコンサルテーションを受けた。といっても大げさなものでなく、いくつかピックアップしていただけませんかと要望したところ、まず画像をいくつか見せられ、その中で3点程惹かれるものを選び、出来る限り感じたことを伝えるというものである。
フレグランス選びにこういった手法を使うことはあまり好ましいとは思わないが、それを抜きにしても思考や感覚を言語化させる動機づけとして、画像使用したコンサルテーションはとても興味深い。
私は3点選び、そのイメージするところを具体的に、淀みなく、十分な量をもって説明した。
コンサルテーションをしてくれた販売員は「表現力や感受性がとても豊かですね」と褒めてくださった。
1年以上noteを継続し、また様々なフレグランスを試していくうちに頭の中を言葉にするスキルがちょっとだけアップしたのだろうか。
なんとも言えない喜びが胸に押し寄せた。
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