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エレベーター内の”素敵”

この記事を読んでくださる方々は、全く知らない人が身に着けているものが素敵だった時、声をかけるだろうか。

先日、百貨店のエレベーターの中で見かけた女性のトートバッグがとても可愛くて、思わず「かわいいバッグ!」と声をかけた。一緒にいたヘルパーさん2人も、どれどれを見て口々に「かわいい」と言い出した。
サーカス小屋かメリーゴーランドのようなイラストだった。
女性は照れ臭そうにしていた。

別の日にも、やはりエレベーターで一緒になった女性のワンピースが素敵だったので、「素敵なワンピースですね!」とお声がけしたことがある。
「そこのお店で買ったんですよ~~!」と、嬉しそうな笑顔を見せていた。

いつぞやも、エレベーター内だったのだが、同乗した女性のビーズの手作りブローチを母が見つけて、素敵ですねと声をかけた。私も一緒になって素敵!素敵!と言っていたら、「そんなに気に入ったのなら」と、その場で外して私にくれたのだった。

考えてみればエレベーターとは不思議な乗り物だ。
全く知らない同士が、互いのパーソナルスペースを侵したまま、数秒を過ごす。事件が起きたって不思議はない空間。
何となく居心地の悪さを感じて、乗り合わせた人は階数ランプを見上げる。階数表示のないエレベーターはソワソワして落ち着かない。
車椅子で前から乗り込むと、階数ランプが見えないことが多いので、なおさら身体がこわばる。

だから、少し勇気は要るけれど、ちょっとしたコミュニケーションがあったら、ほっこりするのではないだろうか。
もし他人が身に着けているものを素敵だなと思った時に声をかければ、きっとあの小さな箱は平和で満たされるはずだ。
褒められた人はエレベーターを降りてからも、その日1日、ちょっとだけ幸せになるかもしれない。
日本人はあまり他人に声をかけない。
私も、すれ違いざまに見ず知らずの人に声をかけるなんてできないが、数秒を共にするエレベーター内だったら、積極的にやってみてもいいかな。


(男性が女性に、女性が男性にというのはちょっと難しいかもしれない。大人の男性が子供にというのも、下心がないにしてもなかなか難しい。それでも素敵なものは素敵、でいいじゃないか…)

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