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「三澤甲州 2020」発売

もうすぐ日付も変わろうとしていますが、本日11月27日、グレイスワインのフラッグシップワイン『キュヴェ三澤 明野甲州』が『三澤甲州』と名前も装いも新たに再出発いたしました。

2014 年、『キュヴェ三澤 明野甲州 2013』が世界最大のワインコンクールで日本ワイン初の金賞を受賞し、世界の扉を開きました。
補糖、補酸、シュール・リーなど、これまで必要とされてきた醸造の技巧に頼ることなく、 太陽の受光率を向上させた垣根栽培を採用した畑でナチュラルに凝縮した甲州の受賞に希望を見出しました。

垣根栽培
垣根栽培

それから7 年。 ここに、『キュヴェ三澤 明野甲州』改め、新生『三澤甲州』をご案内いたします。

三澤農場産の甲州は、従来の棚栽培と比べると、小粒、高糖度、また有機酸の組成も異なり、一般的な甲州よりも、リンゴ酸と呼ばれる酸を多く含みます。

甲州 2021
三澤農場 甲州


2017 年。試験用の一樽からマロラクティック発酵(乳酸菌がワインに含まれるリンゴ酸を乳酸に分解する発酵)が自然に起こることを確認したときには、微生物の神秘に触れた思いがしました。

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マロラクティック発酵が自然生起された様子

マロラクティック発酵は、ほぼすべての赤ワインで行われていますが、白ワインの醸造では、シャルドネを除くとあまり一般的ではありません。
甲州の場合、マロラクティック発酵が起きにくい品種であることが、過去の研究論文でも論じられていました。
そこで、もし3年続けてマロラクティック発酵が自然に生起するようであれば、これは三澤農場の産地特性を表現しているのかもしれないと考えるようになりました。

2017年から2019年の3年に亘り、マロラクティック発酵が起きたことにより、私自身の興味は産地特性を表現することに傾いていきました。

2020 年には、日本のワイナリーで初めてブドウ畑の土着酵母を生かしたワイン造りがスタートしました。この方法によって、ブドウの果皮を受け皿とした土着酵母は固より、ダイレクトに飛び込む土壌や花粉の酵母を取り込むことができると考えています。

土着酵母
ブドウ畑の土着酵母


こうして、三澤農場産甲州は、品種のポテンシャルを信じて誕生したワイン『キュヴェ三澤 明野甲州』から、ブドウ畑の産地の味わいを信じ、産地特性を表現したワインへと歩みを重ねることとなりました。
これまでの甲州とは一線を画す『三澤甲州』の誕生です。
ボトルのワイン名は、王羲之の書をモデルに書かれたもの。ワイン造りを通してまっとうな美を追求していきたいと身の引き締まる思いです。

三澤甲州 2020


マリクレールの連載では、風景そのものが『三澤甲州』になっていく様子を綴らせていただいています。


今振り返ってみると、7年前とは、ひとつ大きく異なることがあります。『キュヴェ三澤 明野甲州 2013』を造ったとき、私はとても孤独でした。

自分が今目指す方向が合っているのか分からず、出来上がったワインと日本ブドウ・ワイン学会に提出した垣根栽培の甲州に関する研究ノートを片手に、酒屋さん一軒一軒を回ったことを思い出します。
のちに、このワインはDWWAで日本ワイン初の金賞を受賞することになりましたが、当時は冷却タンクすら醸造所に無く、タンクに水で湿らせたシーツを巻き、扇風機を当てながら適切な発酵温度を保って大事に造ったワインでした。

年月が流れ、私の周囲の環境はとても変化したように感じています。今、どれだけ多くのお客様に支えていただいているかと考えると、感謝に耐えません。

コンクール受賞はもう過去のこと。また新しい挑戦者の気持ちでワイン造りと真摯に向き合っていきたいと思います。


【『三澤甲州 2020』の発売に際し、メディアの方々にも取り上げていただきました】

【ダイヤモンドオンライン】


【WANDS Magazine】

【VERY NAVY】


【Premium Japan】

また、月刊文藝春秋12月号のグラビア「美味しいにっぽんのワイン」、Very Navy 12月号のコーナー「SHE is NAVY」にも掲載いただいていますので、よろしければ、是非ご覧ください。


【イベントのご案内】
「ワインとデザイン」
銀座蔦屋書店(GINZA SIX 6階 EATALY銀座前 平棚)にて、グレイスワインのラベルデザインを手掛ける、原研哉氏による展示が行われます。
期間:11 月26 日( 金) ~ 12 月9 日( 木)
小さなスペースではございますが、お近くにお越しの際は、日本を代表するグラフィックデザイナー原研哉氏の世界を是非お楽しみください。

「甲州と美」展
グレイスワインサロン(山梨県甲州市勝沼町等々力173 2階)にて、展示会「甲州と美」を2022年3月まで開催中です。
『キュヴェ三澤 明野甲州』から『三澤甲州』へ進化していく過程を、原研哉氏のラベルデザインを通してご覧いただきます。
甲州市出身で染色作家の古屋絵菜氏による作品「甲州.」、大隅良典氏(東京工業大学栄誉教授)の寄稿文「自然の酵母と葡萄がもたらすワインの魅力」も併せて展示されています。

【トークショー(東京)】
11月28日(日)18時~19時 銀座蔦屋書店内イベントスペース
登壇者:白石小百合さん(フレグランスデザイナー)、三澤彩奈
モデレーター:藤森三奈さん(文藝春秋)
参加費:無料
会場席は満席ですが、ズームでのオンライン配信もございます。
詳しくはこちらをご覧ください。

【トークショー(山梨)】
12月5日(日)14時~15時
グレイスワインサロン(甲州市勝沼町等々力173)
登壇者:古屋絵菜さん(染色作家)、三澤彩奈
参加費:無料 先着順

古屋絵菜さん プロフィール
山梨県甲州市生まれ。2011年、武蔵野美術大学工芸工業デザイン科テキスタイル大学院修了。
染色作家である母の影響を幼少期から受け、武蔵野美術大学在学時にろうけつ染めを本格的にスタート。現在も主にろうけつ染めを用いて、花をモチーフとした作品を制作・発表している。
2013年にはNHK大河ドラマ『八重の桜』において、5月度のオープニングタイトルバック用に作品を提供。近年は上海でも展示を行い、その活動は日本国内にとどまらない。


【映画上映のお知らせ】
県立科学館のスペースシアターでは「ワイナリーには不思議がいっぱい!世界に羽ばたけ山梨ワイン」の上映が始まりました。
ワイン造りが分かりやすく解説され、プラネタリウムで見るブドウ畑の耽美な風景も余韻に残り見応えのあるシネマです。
『三澤甲州 2020』がまさに畑で造られていく瞬間を映像に収めていただいています。来年3月まで、土日祝日の午前11時半より上映されていますので、山梨ワインの奮闘を是非ご覧ください。


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