
"Grace Blanc de Blancs 2014"
収穫から6年経ち…いよいよこのワインがワイナリーから旅立つ日がやってきました。できあがったとき、心の底から歓びが湧き上がってくるワインというものがあるのですが、「Grace Blanc de Blancs 2014」もまさにその一つでした。
高品質の甲州を追求することは、グレイスワインの伝統であり使命だったと思います。甲州と向き合う張り詰めた緊張感から離れ、スパークリングワインも造ってみたいという遊び心から始まったワインでした。
「Grace Blanc de Blancs」となるのは、三澤農場のシャルドネ。
2008年、初めてこのスパークリングを造った時から、熟成に耐えられるような本格的な瓶内二次醗酵の泡を造りたいと思っていました。
タスマニアやシャンパーニュで研修を重ね、細かくきれいな泡となるように工夫してきた日々は、瓶内二次醗酵の神秘に魅せられた楽しい時間でした。
その一方で、技術を研究すればするほど、二次醗酵をさせる前のベースワインが良いことが何よりも大切であることも感じました。
収量をシャンパーニュ地方の規定よりも低い40hl/ha以下に抑え、一本一本手作業でルミュアージュとデゴルジュマンを行ない、一年、一年と学びながら理想の味わいに近付けていきました。
そんな折、思いつきからイギリスのワイン雑誌「デキャンタ」が開催するワインコンクールDecanter World Wine Awards 2016に参加したところ、2011年産が96点という高得点を獲得し、スパークリングワインとしてアジア初のプラチナ賞を受賞しました。
出品数が世界最大を誇るワインコンクールで、その0.7%に入り、欧州系ブドウ品種による日本ワインがこのコンクールで金賞以上を受賞するのは初めてという快挙に恵まれたのです。
このとき、今まで気軽な気持ちで造ってきたスパークリングに「粗野なものを造ることは恥」という責任感が芽生えたのだと思います。
2011年産を超えるものを造るため、澱との接触期間を3年としていたスパークリングを5年にすることを決意し「Grace Extra Brut」(3年熟成)から「Grace Blanc de Blancs」(5年熟成)に名前も変えることとなりました。
試行錯誤を続けながら、2014年産(3年熟成)が、昨年、ブルームバーグ社の発表した「世界トップ10ワイン」に選ばれるという栄誉に浴することとなりました。
シャトーラフィットロートシルトや、エゴンミュラーなど、憧れのワイナリーと並ぶ日が来るとは、信じられないような思いでした。
このたび、発売させていただく「Grace Blanc de Blancs 2014」は、さらに長い熟成期間を経た5年熟成のスパークリングワインです。
2014年の収穫期は、8月後半から始まりました。
2月に二度の降雪を経て160cmもの雪に覆われ、どうなることかと案じたものでしたが、過酷な自然条件を乗り越えたワインは、収穫から6年後に輝きを増したようにすら思えます。
瓶内の二次発酵を始めるときは、王冠で打栓を行うのですが、打栓機を新しくした年でもあり、あのときから、6年後のこの日をどきどきしながら心待ちにしていたことを思い出します。
12月24日から期間限定でワイナリーの店頭で販売を開始させていただきます。全国の正規販売店でも販売していますので、お気軽にお問い合わせください。(グレイスワイン☎0553-44-1230)
飲み頃は、4年後くらいになると思いますので、もうしばらく保管して頂けたら嬉しく存じます。
*Vogue【今週のサステナTips】にご紹介頂きました
https://www.vogue.co.jp/change/article/this-weeks-sustainable-tips-holiday-gifts