5月のアサンブラージュ
朝露がきらきらと光る季節となりました。
ブドウ樹は少しずつ花穂が成長し、もうしばらくすると開花を迎えます。
これから緑も濃くなっていきますが、今の時期のブドウ畑の色合いがとても好きです。
4月はスパークリングワインのデゴルジュマン(滓の除去)、5月は赤のアサンブラージュ(ブレンド作業)と、緊張感を伴う作業が続きました。
赤は、2020年産の『キュヴェ三澤』と『あけの』のアサンブラージュ。私自身が留学していたボルドーでは、客観的な目線を大切にするため醸造家以外もブレンド作業に加わり、5名程でファーストラベル、セカンドラベルの配合を決めていました。
グレイスワインでアサンブラージュを行うのは、私のみ。ブドウから把握している分、迷ったらブドウの姿に立ち戻ることにしています。
また、アサンブラージュを瓶詰め前に行うことにもこだわっています。
15か月~18か月程、品種ごと、収穫ロットごと、フレンチオーク樽の中で熟成させています。
早い段階でアサンブラージュを行うと、味わいはなじみます。
ただ、瓶詰め直前になって、慎重に試飲をしながら考えた結果、キュヴェ三澤として考えていたロットを、セカンドワインとしてリリースする涙の決断をすることも意外と多く、選択肢は多い方が厳しくできる気がします。
そして、やはり瓶詰め前にアサンブラージュすることで、瓶熟成の楽しみがあります。
以前は、夏にアサンブラージュをすることもあったのですが、私自身の嗜好の中でも少しずつ樽離れが進み、最近では5月頃アサンブラージュを行うことが多くなっています。
『キュヴェ三澤 2020』は、メルロ・プティヴェルド・カベルネフランという例年とは異なるアサンブラージュとなりましたが、最後はブドウのポテンシャルを信じる形となりました。
『キュヴェ三澤 2018』『キュヴェ三澤 2019』はカベルネフラン主体です。いまだ味わいが閉じており…一部プリムールで販売させていただいた後、正式リリースをしてもいいと思える日をワインカーヴで待っています。
酒販店様、飲食店様には2018年産、2019年産のご案内ができていない中で恐縮ですが、明野の風景が写し出されたワインの成長を楽しみにお待ちいただけたら嬉しく思います。
連載中のマリクレールの記事も更新いたしました。
よろしければご笑覧ください。