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環境に優しい埋葬方法-父のエンバーミングを振り返って思うこと

環境学を学んでいると、
色々な気づきにぶつかってなかなか前に進みません。
今朝もSilvopasture(シルボパスチャー)と言う
林間放牧について調べていたら、
なぜか今はAlkaline Hydrolysis (アルカリ加水分解)による
エコ埋葬なる一文が目に飛び込んできて、
こうして記事に残しています。

環境社会学って生きることそのものを学ぶ分野なので
本当に面白いです。

と余談はこの辺りにして、
早速世界のエコ埋葬について触れて行こうと思います。

✅エコ埋葬の種類(海外含む)

①樹木葬

-火葬の後礼拝の目印になる墓碑を墓石ではなく樹木にした葬法。

②海洋葬

-海の沖合で遺灰を散骨する葬法。

③土葬

-遺体を土中に埋める葬法。
世界的に見ると土葬が最も多い葬法の様です。
特に復活思想が強いイスラム教圏やキリスト教圏では土葬が一般的で
文化的に火葬を嫌がる家族も多いです。

④鳥葬(主にチベット)

-主にチベットで行われる葬法で、
裁断した遺体を鳥葬台に置きハゲタカなどに食べさせて
故人を天高く空に運んでもらうと言う考えがあります。
(中国では天葬と呼ばれています)
鳥葬の根底には宗教的な背景に加えその土地の気候、地形、土壌などが
そもそも火葬や土葬に不向きである環境要因が含まれています。

⑤水葬(主にインド)

-遺骨を川や海に流す葬法。
ヒンドゥ教の葬法で遺骨をガンジス川に撒きます。
遺体をそのまま川に流す地域も一部であるようですが
僧侶の場合は土葬で埋葬されることもある様です。

「ヒンドゥ教徒ならば誰もが聖なるガンジスに
最後は葬られたい」そう願う人が多いことから、
ヒンドゥ教徒はお墓を持つ習慣や
霊園を持つ文化がないそうです。

ちなみに私のママ友はインド人でもカトリックです。
インド人が全てヒンドゥ教徒とは限りません。

⑥バイオ火葬(液体火葬)主にアメリカ

-アルカリ性の液体を使って遺体を溶かす葬法。
冒頭でも触れましたが、
アルカリ加水分解により遺体を熱と圧力、
水酸化カリウムや水酸化ナトリウムといったアルカリ性物質を用いて
自然が数ヶ月、数年かけて行う生分解プロセスを超高速化した方法。

この葬法で遺体を処理すると、
火を使わないため発生する二酸化炭素の量は火葬の4分の1
必要なエネルギーも8分の1になります。

使用した液体はその後、
植物の栄養溶液として使用したり地元の廃水処理施設を介して
生態系に戻すことができるそうです。
またこの溶液は完全に無菌であり、
分解の自然な副産物であるアミノ酸、塩、栄養素、糖で構成されています。

バイオ葬は私の父にも施して頂いたエンバーミングのような
非常に有害な化学物質を使用しないため、
従来の火葬やエンバーミングされた遺体を土葬する埋葬方法よりも、
比較的環境に優しいイメージが強くなるのかもしれませんね。

ちなみに溶かすと言っても、
ただ亡くなった人を溶かして下水に流すと言う事ではなくて
最後は火葬と同様にきちんと骨が残ります。

⑦堆肥葬

-⑥のバイオ葬と同じプロセスで生分解性を利用した自然葬法。
バイオ葬よりももっとナチュラルで、
やり方としては土葬と変わりません。
ヒューマンコンポスティングと言われるように
専用カプセルの中で遺体を数ヶ月かけて
バクテリアなどの微生物に分解してもらい、
その土を再利用して森や植物の栄養にする方法です。

土葬と異なる点は「自然回帰」の発想。
死んだ後も自分の存在が堆肥の一部になって
新しい別の命として生き続けること。


今回は最近話題になっている
葬法などをご紹介させていただきました。
私自身フランス人の夫をパートナーに持ち、
第三国のバーレーンで暮らしておりますが
いざ死のテーマに向き合うと、
あれもこれも何も決まっていない事に焦りを感じます。

まず自分が死んだらフランスと日本、
どちらの国に葬むられたいか?
葬法はどれを選ぶのか?

同じ国籍同士であればあまり問題にならない終活テーマも
我が家では元気で健康なうちに話し合っておこうねと。
そんな話をして時々しています。

最後に父の話を少しさせて頂くのですが、
父はエンバーミングと言う
遺体を腐らせない防腐処理を行なったのですが
今思うとやっぱりやらない方がよかったのか?
見た目にこだわる人だったから
最後まで綺麗なままでよかったよね?とか。
今更ながら色々と思う時があります。

エンバーミングは先にも説明した通り、
全身薬漬けになるんですよ。
そうでなくても抗がん剤で
体が薬漬けだったのに、
またケミカルな物を体に入れるのか?と言う疑問に
喪主であった兄も相当迷ったそうです。

エンバーミングで使われる薬には
ホルムアルデヒド、メタノール、ホウ酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、
グリセリン、着色料などが使用され、
火葬の際はそれらが全て大気中に逃げていきます。

環境学を学ぶ私からすると
今ならば父のエンバーミングを中止にしたかもしれませんね。

けれどもエンバーミングしちゃったけど
嫌だった?と聞ける父本人がもうこの世にいないので
その答えは誰も分かりません。

コロナ以降多くの人が死生観や
死への哲学を持つようになった事で
埋葬方法の種類や新しい考え方も広がってきました。
けれどもただ単に、
二酸化炭素の排出量を減らせばいいのか?と言うと
そんな事はないのです。

ネットゼロが叶えられても、
CO2を一切排出しないブルドーザで森林伐採をやり続れば
本末転倒と言うことです。
食用家畜やそれらの餌のため農地を拡大して、
エコシステムを壊して木をぶった斬って。
それが本当のエコなんでしょうか。

最もナチュラルな堆肥葬でも
亡くなった人が何を考えてどんな食生活をしていたかで
残せる堆肥のクオリティが低い事だってあり得ます。

ですから結局は生きている内に
なるべく自然に負担をかけるような生き方をしない。
もうこれくらいしか世の中に貢献できる術はないのだと
私は思っています。

人は他の動物と違って死んだ後ですら
誰かのお世話にならないと
魂の抜け殻を処理できません。

あまり色々な物を欲しがらずに
ありのままで欲張らず、
「私の事はどうぞ忘れてください」と言える
そんな人生が理想的です。
最後暗くてすみません🌱

グレイス




 










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グレイス-中東で子育てをしながら環境問題を考えるベジタリアン主婦
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