〜heldioガイド〜【K-1】唐澤一友先生
heldioとは?
・慶應義塾大学文学部の堀田隆一先生が「英語史をお茶の間に」をモットーにVoicyで毎朝6時に配信されているラジオ
・このガイドは、heldioを楽しむための道案内となることを願い、お茶の間の住人が作成しているものです。
・アルファベットのAから順にheldioにまつわるキーパーソンやキーワードを紹介します。
\今日からあなたもheldioリスナーに/
唐澤一友先生(立教大学文学部文学科英米文学専修)
唐澤先生も著名な英語史研究者のお一人であり、英語史関連の入門書*も複数書かれているため、お名前を聞いたことがある、または実際に本を読んだことがあるという人もいるだろう。
*この記事のタイトル写真に載せている本は、以下のとおり。
唐澤一友. 2011.『英語のルーツ』春風社.
唐澤一友. 2016.『世界の英語ができるまで』亜紀書房.
研究者の場合、芸能人とは異なりお顔は知らないけれど、お名前・著作には触れたことがあるという方々がたくさんいらっしゃる。
唐澤先生もそのようなお一人で特に意識したことはなかったが、突如強烈なインパクトを残すことになった。そう、YouTubeいのほた言語学チャンネルへのご出演である。堀田先生が同僚の井上先生と運営されている同チャンネルは、毎週水曜と日曜の2回の配信のうち水曜日はゲスト対談回となっており、これまで広く言語学の研究者等をお招きされている。唐澤先生は2023年12 月の第192回に初登場されたのだが、その時のタイトルとサムネイルは…
英語史、古英詩、文学史、英国文化エッセイをストレスゼロで縦横尽に書きまくる唐澤一友さん(立教大学)第1弾!
何々、ストレスゼロで書きまくる人?!え〜唐澤先生ってどんな方なの?と一瞬にして惹き込まれた。第198回までの隔回計4回にて、
・執筆スタイル、多作の秘訣
・アングロサクソン時代の月の名前や暦の研究←キリスト教以前の文化や世界観が現れている可能性があるとして注目されるという
・Beer & Beowulf←オクスフォード大学伝統の、パブで古英詩『ベオウルフ』について語り合う会(読書会)
など、さまざまな話題が展開されているので、まずはこちらをご覧いただきたい。
ちなみに唐澤先生と堀田先生は大学院生の頃から長年のお付き合いがあるとのことで、気心の知れた仲であることが画面上からよく伝わった。
唐澤先生のお話しの面白さは、堀田先生が引き出された部分も多かったと思うが、今後も研究者の「生態」をお届けいただきたい。
先生方は特別なことは無いとおっしゃるかもしれないが、やはり一般人は気になってしまうのだ。
世界英語
唐澤先生のheldioご出演はこれまでに計3回。
時系列順に見て行くと、まずは昨今の世界英語への関心の高まりについて対談されている。
#314. 唐澤一友先生との対談 今なぜ世界英語への関心が高まっているのか?
英語は現在世界中に広まっており、いわゆる「英米の標準英語」以外に各地でさまざまな英語が発達している。これらの英語の総体がWorld Englishes(複数形であることがポイント)、日本語では世界英語または世界諸英語と呼ばれているのだ。この現象は短期間で生じたものではないが、それではなぜ今注目を集めているのだろうか。理由の一つとしてメディアの発達により、いろいろな英語変種に触れる機会が作られたため、「違い」が気づかれるようになったことが挙げられている。この点は多くの人が実際に経験していることだと思う。
さて世界英語はさまざまなアプローチから研究されているが、英語史の観点から指摘される重要な点は、
・英語は今も昔も一枚岩ではなかった=常に方言が存在していた
・各地で独自の英語が発達しているが、根本的な理由はもともと「異なる英語」が世界に広まったから
であるという。
世界英語という現象は、英語を使うすべての人に関係するテーマであるため、関心を寄せて行きたい。
取り分けオススメなheldio & hellog関連回
heldio
#434. 意外と知られていない世界中の英語の「種違い」
#435. 世界諸英語の「種」 --- 米加豪新印
#436. 英語史の始まりの瞬間から英語はすでに多様だった
hellog
#4588. OED による複数形の Englishes の初例
ベオウルフ
唐澤先生は英語史の中でも取り分け古英語やその時代の文学がご専門である。
heldio他の2回は古英詩『ベオウルフ』について、唐澤先生を含め4名の先生方で語る回となっている。
#783. 古英詩の傑作『ベオウルフ』 (Beowulf) --- 唐澤一友さん,和田忍さん,小河舜さんと飲みながらご紹介
#797. 唐澤一友さんに Beowulf のことを何でも質問してみました with 和田忍さん and 小河舜さん
古英詩の傑作と言われる『ベオウルフ』の導入が目的とされており、初学者が知りたい以下の点等について専門家の唐澤先生が直々にご解説くださっているので必聴だ。
・そもそもベオウルフって何を指すの?
・古英語の中でもどのくらいの年代の作品?
・どうやって現代まで伝わったの?
・物語の内容は?
・お薦めの日本語訳はある?
ところで797回は「唐澤節」の炸裂が見どころの一つなのだが、それがどのようなものであるかは実際の放送を聴いて各自ご確認を願いたい。
何はともあれ、研究者同士が(お酒を交わしながら←あらゆる場面にお酒の描写が出てくるため、古英語について語る際にはお酒が欠かせないという)真面目にかつ楽しく研究対象について語る様子を味わうことができる名回(迷回?!)であること間違いなし!
いろいろな顔を持つheldioである。ぜひ毎日聴きたい。
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