わたしを取り戻す 〜 AYAKOさんのボイスヒーリング リトリート1日目@屋久島
記念すべきお一人目として紹介させていただくのは、アロマサンドリーズのAYAKOさん。今回はその2です。
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事前セッションから早くも2週間がたち、わたしは屋久島にいた。
期待はしていないのに、ただただワクワクしていた。
こんなにワクワクするなんて、もう10年ぶりくらいな気がして、そんな自分がやっぱり不思議だった。
屋久島は不思議な島だった。
どう見ても旅行者であるわたしなのに、疎外感を感じない。わたしだけ?
スーパーで声を出したらもうそれだけで分かるはずなのに、接した誰からも「よそよそしさ」が感じられない。変な丁寧さもない。
そして、目に映る自然はすべて光り輝いて見えた。空も海も緑も眩しい。
初日の時点で、屋久島はすでに居心地のよい場所になっていた。
電話をすると、翌朝わたしの泊まっている宿のあたりまで迎えに来てくれるとAYAKOさんがいう。
わたしは、宿のそばのごはん屋さんでお刺身定食を食べお腹を満たし、早めにお風呂に入りぐっすりと眠った。
振り返れば、屋久島のお店はどこも美味しかった。
屋久島滞在2日目の翌朝9時、わたしの前にAYAKOさんが現れた。
子どもみたいに屈託のない笑顔だった。
AYAKOさんは子どもみたいにオープンなひとだ。
人との間に距離を感じないし、笑顔がとても無邪気なのだ。
けれど、ひとたび歌い出すと、その印象はガラリと変わる。
神様の声をおろしているかのように一心に歌う姿から感じるのは、”厳しさ”と "清廉さ" だ。
自分らしさを究めるという点において、一切妥協がないひとなんだろうな、と感じるのだ。
そして、いよいよボイスヒーリング1日目が始まった。
車の中で、今日のゴールを決めるところからセッションはスタートする。
AYAKOさんがオリジナルアロマから、「決」と「夢」を選んでくれた。
その香りに包まれながら、わたしはAYAKOさんの歌声を聞いた。
そのとき、なぜか「わたしはわたしを取り戻す。」という言葉が脳裏に浮かんだ。わたしは初めて自分がこんな風に思っていたことを知った。
屋久島にきた理由は、どうやらこれのようなのだ。
頭がようやく心に追いつき、わたし全体が静かに「そうなんだ」と納得した。わたしの中はいつもこういう風に端と端でずれているのだ。
1日目の半分は、高い山の森の中にいた。
霧がかかっているわけでもないのに、うっすらと空気が白んでいるように感じる。しっとりとしているのに、濡れていない地面。木の幹は苔で覆われていて、ほわりとしている。ひんやりとした空気に差し込んでくる光に照らされる森は、もうおとぎ話のそれだった。倒木も白骨化した木も、絡んだツタも、流れる小川も、時折聞こえる鳥の声も、すべては完璧だった。足りないものも余分なものも一切ない。
けぶるような森に差すひとすじの光は啓示みたいで、行く場所すべてが特別だった。
わたしはいつの間にか森の中が大好きになっていて、森とそして屋久島と仲良くなれたような気がしていた。地面からエネルギーが伝わってくる感覚は、錯覚ではなかった。
そう、たぶん1日目前半はわたしが屋久島と仲良くなる挨拶みたいなものだった。
2日目にわかったことだけれど、AYAKOさんのヒーリングにはストーリーがあって、順番が決まっていて、計算されて尽くしているかのように、全ては完璧に整っている。
AYAKOさんは山道を歩くのが早くて、もちろん待っててくれるのだけれど、けっこう必死で追いかけた。山道をヒョイヒョイ歩いていくAYAKOさんがかっこよかったから、追いかけたかったのだ。いそいでいる風でもないのに、動きは静かなのに速く、足取りは軽い。
わたしは、”生きる力” が強いひとに憧れるのだけれど、AYAKOさんは間違いなくその ”生きる力” が強いひとだ。
そして、一つ目の神社で、わかっていたのにやっぱり度肝を抜かれた。
AYAKOさんの声だ。
それは、声という形をした、色々な音が入り混じった神様の言葉だ。
降りてきたものを正確に掴んで、あるいは丁寧に掬い上げて、歌うことで寸分の狂いもなくわたしに見えるような形にされ、目の前に差し出されるギフト。
その一連の儀式は洗練されていて、おそらくAYAKOさんが努力を積み重ねてたどり着いた形をしているのだと思う。
AYAKOさんだけにしかできない、そしてAYAKOさんにしかわからない最適のスタイル。
舞い降りてきたギフトは体のあちこちに染み渡っていって、自分の細胞なのか粒子なのかがひとつひとつ変化していくみたいだった。
そのときに言われたのは、右耳に特殊能力がある、ということだった。
右耳がすごく大きくて、頭くらいの大きさをしているよ、と。
そのことに心当たりはなかったけれど、不思議だと感じたのは覚えている。
実は屋久島に来る数日前から、わたしは右耳がおかしかったのだ。
昼寝から起きたときに頭がぐらりとして、めまいに襲われた。
耳鼻科で右耳の耳石がはがれていると言われた。
飛行機に乗れるのか心配していたけど、急に良くなって、屋久島にいた間にめまいを感じたことはほとんどなかった。
それに2日目にも耳で不思議なことがあって、耳は今回の旅のキーワードだったのは後からわかった。
その後の神社では、目が変わった。
急に目の前の景色がクリアに見えるようになったのだ。
粒子のひとつひとつが迫ってきて、色彩をハッキリと感じる。
目の前の景色がさらに美しく感じる。
耳の斜め上くらいに風が当たっているのを感じるようになって、見えない大きな耳の感覚かもしれない、アンテナみたいだと思った。
そう、そんな感じでのほほんとしていた。
すると急にお腹のあたりで低いおじさんが怒り出した。
出て行け、出て行け、出て行け、わたしから出て行け〜〜〜〜!!!
…え?と思う間もなく、何かがたぶん出て行った。
そういえば、と出発前のセッションのことを思い出した。
AYAKOさんが言っていた。
「あなたたち(AYAKOさんとわたし)弱いものがたくさん?ついている」
とつながった先の方に言われたとのこと。
そのとき、AYAKOさんとそのかたが祓ってくれたらしい。
そのときに、ふと思った。
自分で祓うべきなんだろうな、と。
多分、それを今やったのだろうと思った。
実はここまで書いておいてなんなの、と思われるかもしれないけど、2日目が凄すぎて、1日目の、特に神社のこの辺りの記憶が曖昧だ。
疲れて記録するのを忘れたまま寝てしまって後から書き起こしたから、たぶん抜けている。
けれど、その後の記憶は鮮明だ。
1日目の最後の場所。
特別な場所だった。
そこで、わたしは初めて声を出した。
AYAKOさんが立っているわたしの背後からヒーリングをしてくれた。
背中にじんわりと温かさが広がっていく。
その後に来た感覚が不思議だった。
今まで受けてきたヒーリングとは明らかに質が違うのだ。
一般的なヒーリングは、「癒し」という感覚が近い。
わたしの体感としては、背骨の少し前くらいにエネルギーが通る管がある。
その中をエネルギーが流れているのだけれど、悲しいとか苦しいとか負の感情やトラウマがあると流れを塞きとめる。
ヒーリングはその流れを塞きとめる石のようなものを溶かして流すのだ。
ヒーリングで癒されるたびにエネルギーは綺麗になりスムーズに流れるようになる。
そして、ヒーリングで感じるエネルギーの量や強さはひとによって違ったりするけれど、基本的にまっすぐ下から上に流れていく。
けれどAYAKOさんのヒーリングは癒しというより、活性化という感じだ。
エネルギーの流れ方も違う。
第一チャクラのところから流れ始めるエネルギーは左巻きの螺旋状に上がっていくのだ。背骨の前を流れるエネルギーの管の外側をくるくると動いていく感じだ。それはずっと同じルートを通るのだけれど、流れるというよりゆっくり押し上がるとかせり上がるという言葉の方が近い。
そして、そのエネルギーは、体を揺らす。
フラフープをやっているときみたいに、地震に対応した高層ビルみたいにわたしの体がグルグルと回るように揺れ動く。
そのエネルギーの動きを感じていると、左のほうから男性が近づいてくる気配にふと気づいた。
背の高い男性だ、そう思ったけれど誰かはわからなかった。
そのひとはわたしを抱きしめるようにふわりと包んだ。
体を揺らしていると、屋久島に来る前から喉のあたりにできていた声がモコモコし始めた。
AYAKOさんに促されて、その声は外に出て行った。
変なこえだ、と思った。
体の中にあったときと全然違う姿をしている。
けれどそれでもいいとAYAKOさんが言ってくれるので、とにかく遠くに届くようにと声を出し続けた。
特別な場所、と先に書いたけれど、問うと返ってくる感じなのだ。
会話しているみたいに、場所が呼応する。
わたしとその場所が何かを交換しているような、わたしが送った何かを受け止めてくれているような、そんな感じだ。
赦されたような、包まれているような、喜んでもらえているような、感覚がじわりとひろがっていって、涙がでた。
歌いたい、歌いたかったんだと思った。
▼続きます