知識・知恵の業務改革等への活用
「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。
内部統制評価基準の8つのカテゴリーの5つ目は
5.知の経営の実現
です。
知識・知恵を業務の改善・改革に活用します。
5.(8)知識・知恵の業務改革等への活用
会社内で共有された収集された知識や知恵は、業務の改善・改革に活用していますか。
組織学習の「学習」とは、知識や知恵を組織として獲得することではなく、まさに獲得した知識や知恵を活かして、業務の改善・改革を進めることです。
組織学習
組織学習には、既存のアプローチの継続的な改善と大きな変化またはイノベーションの両方が含まれます。それが、新しい到達目標、新しいアプローチ、新しい製品、新しい市場に導きます。
(ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】より。翻訳筆者)
このため、知の経営では、意味のある(価値ある)データ・情報である「知」を、知識(情報知)、知恵(行動知)、知心(意識知)に分けて、知識をさらに行動に結びつく知恵に変換し活用する仕組みづくりを重要としています。
(経済産業ビジネススクール「二水会」第11講資料より。高梨智弘作成)
組織学習には、既存のアプローチの継続的な改善、ベストプラクティスや新しいやり方の採用、大幅な非連続的な変更、あるいは、イノベーションが含まれ、新しい到達目標、アプローチ、製品、および市場につながります。
学習は、組織の日常業務の中に組み込まれていること、すなわち、
(1)日常の業務そのものの一部であり、
(2)問題をその原因(根本原因)で解決し、
(3)組織全体での知識の構築や共有に重点を置き、
(4)重要な意味のある変化がもたらされ、革新する機会をとらえて推進されている
ことが重要です。
学習の出発点、すなわち価値ある情報には、
・社員のアイデア
・研究開発
・顧客の意見
・ベストプラクティスの共有
・競合組織のパフォーマンス
・ベンチマーキング
などがあります。
組織学習を通して得られる結果には、
(1)新規および改善された製品や顧客サービスを通じた顧客への価値の向上、
(2)新しいビジネス機会の開発、
(3)新しく改善されたプロセスやビジネスモデルの開発、
(4)エラー、不良、ムダ、および関連コストの削減、
(5)経営資源すべての利用における生産性と有効性の向上、
(6)社会貢献を行う際のパフォーマンスの向上、
(7)変化や混乱への取り組みにおける俊敏性の向上、
があります。
こうしたことを確実にするには
・業務の目的が明確に示され、共有されている
・それによって業務の優先順位、業務改善・改革の優先順位が決まる
・経営者・経営幹部が業務の改善・改革を奨励している
・経営者のサポート(ヒト、モノ、カネ、情報等)がある
・業務の改善・改革の方法を現場レベルから提案する仕組みがある
などが重要です。
また、業務の改善・改革の実行と経過のモニタリングを行って、業務の改善・改革について実施結果を経営者に報告するとともに、業務の改善・改革についてのモニタリングの結果を業務の改善・改革活動の改善につなげる仕組みも必要です。(ダブルループ学習)
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内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。
ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。