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組織と個人の学習

 組織メンバの持つアイデアや研究開発は、組織の学習の出発点となる内部の重要な要素です。個人レベルの学習や新しいスキルの活用実践の機会は、組織と個人の成功にとって重要です。
 ここでいう個人には、リーダーも含まれます。また、ボランティアに依存する組織では、ボランティアの個人的な学習もまた重要です。この場合、ボランティアの学習とスキル向上は従業員と同様に考慮すべきことです。

 組織は、教育、訓練、その他の能力開発の機会を通じて個人の学習に投資します。このような機会には、ジョブローテーションや、優れた知識やスキルの実践に対する報酬の増額などがあります。

 OJTは、訓練それ自体としても、また、組織のニーズと優先順位を訓練と旨く結びつけるためにも、投資効果の高い方法です。
 OffJTすなわち教育や訓練プログラムは、コンピューターやインターネットを活用した学習及び通信教育を含めた多様な方法が用いられるようになり、ますます効果的になってきました。

 個人の学習がもたらすものは多様です。
(1)満足度が高く多才で転職しないで働き続けてくれる人々
(2)機能横断的な組織学習
(3)組織の知的財産の構築
(4)イノベーションにむけた職場環境の改善

 実際、自己の成長の認識は、働き手のエンゲージメントを高める重要な要因の一つです。

 このように、組織の学習と個人の学習は、より良い商品やサービスを目指すだけでなく、より高い共感性、適応性、革新性、効率性を目指します。そして、そのことは、組織に市場での安定性とパフォーマンスの優位性をもたらし、働き手の満足の増加とモチベーションの向上を約束します。

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの核となる価値観と概念には、「組織の学習(Organizational Learning)」があります。

 ここでもう一度、その要旨を確認しておきます。

組織学習
 最高レベルの組織パフォーマンスを達成するには、体系的なプロセスを介して知識を共有することを含む、組織学習への十分に実績のあるアプローチが必要です。
 今日のような厳しい環境においては、複数の業務の教育を受け、権限を与えられた働き手と最新の組織的知識に基づく効果的なマネジメントは、非常に重要な資産です。
 組織学習には、
・既存のアプローチの継続的な改善、
・ベストプラクティスや新しいやり方の採用、
・大幅な非連続的な変更、あるいは、イノベーション
が含まれ、新しい到達目標、アプローチ、製品、および市場につながります。
 学習は、組織の運営方法に組み込まれていることが必要です。
 これは、学習が、
(1)日常の業務そのものの一部であり、
(2)問題をその原因(根本原因)で解決し、
(3)組織全体での知識の構築や共有に重点を置き、
(4)重要な意味のある変化がもたらされ、革新する機会をとらえて推進されている
ことを意味します。
 学習の出発点には、働き手やボランティアのアイデア、研究開発、顧客の意見、ベストプラクティスの共有、競合組織のパフォーマンス、ベンチマーキングなどがあります。あなたが属するエコシステムも、学習の出発点の一つです。
 組織学習を通して得られる結果には、
(1)新規および改善された製品や顧客サービスを通じた顧客への価値の向上、
(2)新しいビジネス機会の開発、
(3)新しく改善されたプロセスやビジネスモデルの開発、
(4)エラー、不良、ムダ、および関連コストの削減、
(5)経営資源すべての利用における生産性と有効性の向上、
(6)社会貢献を行う際のパフォーマンスの向上、
(7)変化や混乱への取り組みにおける俊敏性の向上、
があります。
Baldrige Excellence Framework 2021-2022 より。翻訳筆者)

★★

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の経営フレームワークです。
 筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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