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要員の適正配置

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。

 内部統制評価基準の8つのカテゴリーの3つ目は
3.個人・組織の学習の仕組み
です。

 人財の適正配置について確認します。
 人財の適正配置は、組織の能力です。

3.(9)適正配置による組織編制
 会社の組織編成にあたり、従業員の配置、人員の決定は、各従業員の能力、当該組織の仕事量とのバランスに十分配慮して決定され、有効に機能していますか。

 人財の配置は、人財の現在のニーズばかりでなく、戦略や事業計画に基づいた将来のニーズをもとに行います。
 組織や事業における人財に対する現在および将来のニーズを、どのような能力レベルの要員が必要か(働き手の熟練度)、どのくらいの人数必要か(働き手の充足度)に分けて検討します。

働き手の熟練度(Workforce Capability)
人々の知識、スキル、能力、および強みを通じて業務プロセスを遂行する組織の能力。能力には、顧客との関係を構築し維持する能力、新しい技術への革新と移行、新しい製品や業務プロセスの開発、変化するビジネスへの適合、市場、規制の要求などに対応するための能力が含まれます。

働き手の充足度(Workforce Capacity)
季節やその他さまざまな要因で変動する需要レベルに対応する能力を含む、業務プロセスを完了し、製品を顧客に提供するのに十分な人員配置レベルを確保する組織の能力。
ボルドリッジ主要用語集より。翻訳筆者)

 参考までに、英語のCapability、Capacityは、辞書(あるいはWEB翻訳)ではどちらも「能力」と訳されますが、前者は能力や技術のレベル(いわば質的側面)、後者は必要な能力や技術を持つ人の人数(いわば量的側面)、それらを充足させることを求めています。

・スキル不足を補うために、違うスキルをもつ人を追加してしまった
・目標を達成するためには、スキルレベルは問わない(より低いスキルまたは異なるスキルでよい)が多くの人を必要とするプロセスに対して、ニーズを満たすことができる高度なスキルを持つ人員が少ないと捉えてしまった
など、熟練度と充足度の概念を混同してしまうことがよくあります。

 適切なスキルセットを備えた適切な数の人財を準備することが重要です。
 変化していく熟練度と充足度のニーズに対して備えるには、訓練、教育、頻繁なコミュニケーション、新人の雇用、キャリアカウンセリング、転職などの仕組みを用意します。

 人財の適正配置について考慮すべきポイントは、
・各ポジションの業務内容・業務量の把握
・各ポジションの業務の具体化(マニュアル化)
・各ポジションに必要な能力や人物像
・各ポジションに必要な能力を身につけるための教育・研修
・ローテーション等配置転換のルール
などがあります。

 個々人の希望や将来のキャリア計画などとの擦り合わせも重要です。各従業員の能力・適性・希望に応じて人員の配置を行います。それが従業員のエンゲージメントに結びつきます。

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 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。



 
 






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