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探究 第3章(心の中のことば編(10))

「他のすべては完璧に我々と同じ。だた心の内面が存在しない。そういった者を考えてみよう」

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ここで我々はつい、小部屋に”もや”がかかっており、もやを取り除いて空間をクリーンにするというのと同じ要領で、「我々から”心”を取り除く」という言い方をしてしまう。

ここで「取り除く」や「存在しない」は比喩であり、「内面」と「取り除く」の語の組み合わせが何を意味するのか必ずしも明らかではない。2つの語が両方とも日本語だからといって、その組み合わせが日本語とは限らない。

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「この書類をコピーしてくれ」と依頼されたら要望に応えることはできるだろう。
「この書類をフラグメントしてくれ」と依頼されたら、ただ途方に暮れるしかない。

「内面活動は存在しないが、他のふるまいはすべて我々と同じ」の想定は、想像可能でも、想像不可能でもない。それはまず、日本語ではないのだから、どらでもあるはずがない。途方に暮れるのと想像不可能を混同してはいけない。

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ここで上司は「フラグメントとはこうやるんだ」と、書類を破り捨てて見せることはできよう。そこで我々はようやく「フラグメントしてくれ」を理解するだろう。

同様に、「「内面活動は存在しないが、他のふるまいはすべて我々と同じ」とはこういう状況だ」と説明してみせることはできよう。たとえば「空間ともや」の比喩を導入して部屋から充満したもやを取り除くように。リンゴがのった机から、リンゴを取り除くことで、「リンゴのない机」を導入するように。

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このようにしてまた一つ楔が撃ち込まれることになる。

この比喩を導入した後では、「心は持たないがそれ以外はすべて我々と同じ」といった言い方に、一定のルールが与えられることになる。例えば、語「心」に対して「取り除く」や「存在しない」の術語を充てても良い、というルール。このルールが用法を生み出し、用法が意味を*後から*生み出す。

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我々はある種の哲学的な議論に、ナンセンスから意味が生み出される瞬間のサンプルを見出す。哲学における「最初の問い」はすべてナンセンスだ。それゆえ哲学は、意味生成の豊富なサンプル源だ。

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