囲碁というゲームがこの先も活き残るには
■TL;DR
囲碁と
囲碁界、
そして、
囲碁のルールを持つゲーム。
この先も活き残るには、
この3つを分けて考えるべき。
■はじめに
「囲碁」。
残念ながら日本でのプレイヤー数が大きく減少し、世間で話題になることが少なくなり、「衰退の一途を辿っている」状況となっている。
私は20年ほど前に囲碁に興味を持ち、普及の一助として「初心者向け囲碁対局サイト Go-Up!」や、それ以前もいくつか活動をしていました。
初心者向け囲碁対局サイト Go-Up!
Go-Up! Twitterアカウント
https://x.com/eternary3
囲碁普及に関するブログ
脱衣囲碁アプレット
囲碁BlogNet - 囲碁ブログ更新情報
Go-Up!の閉鎖をもって、私の囲碁との関係は終了します。
長きに渡る活動の中で、囲碁に纏わるいろんな事を端から追ってきました。
せっかくなので、囲碁を巡る現況について、見えていることや考えを書き残して去りたいと思います。
囲碁界に知人もおらず、直接の繋がりや恩義もない、しがらみの無い部外者にしか言えないこともあると思います。
持たざる者の戯言ですが、何か参考になれば幸いです。
■囲碁
四千年の歴史を持つ囲碁。
物も電気も無い時代に、二種類の石と線だけでこんなに奥深いゲームができるのは、神が造りしゲームと言われるのも納得です。
平安・江戸の時代を経て文化として形成されてきた囲碁。伝統的な遊戯として、現代でもその存在を認知されています。
しかし、この重厚な伝統が邪魔をする。
古い「過去のもの」と見えてしまい、白黒・木目のビジュアルも地味です。
「高齢者の趣味」というイメージも強く、若い人は関心を持てず、プレイされることは少ないです。
また、技術が発展した現代では、コンピューターゲームや動画サイト等の様々な娯楽があふれており、昔と比べ相対的に価値が減少しています。
ゲームとしては、ルールはシンプルですが抽象的であり、目的・考え方・どう打てば良いのかが分かりづらいです。
地の概念も「囲まれたところが地」だけでは分からないことが出てきます(打ち込み)。
迷わず囲碁を楽しめるようになるには、丁寧な説明と時間が必要です。
■囲碁界
囲碁界とは、囲碁を打つ人で形作る世界(文化圏)です。
日本の囲碁の普及振興や棋戦開催を担い、プロ囲碁棋士が所属する「公益財団法人 日本棋院」がその世界の中心であるとされています。
しかし普及振興は上手くいっておらず、囲碁人口の減少が止まりません。
活動はしていますが、良い結果が出ていない状況です。
以下はその理由などの個人的見解です。
◆イメージ戦略
囲碁を打つと「頭が良くなる」「経営に役立つ」など、高尚なイメージでPRしています。
しかしこれでは、自分が頭いいと思わない、多くの普通の謙虚な日本人は敬遠してしまいます。
また「高齢者のゲーム」というイメージにより若者の敬遠を招くので、このイメージが強く定着することは死活問題です。
毎週日曜に国民にイメージを付け続けるA級戦犯の磯野波平を表彰してる場合じゃない。
有名人でイメージアップするアプローチも有効ですが、「あの人がやってるならやってみよう」と思わせる、好感度の高い方が前に立つことが重要です。
黒幕的な政治家やキモキャラ芸人など、好感度高くない方がPRしたら逆効果なのでは?(本人は有名じゃない、ってのもやめた方が…)
「親近感」を持ってもらうことが大切です。今は多くの人が自分には無関係のゲームと思い、プレイする選択肢が出ません。
◆将棋の真似ごと
一方、お隣の将棋界は将棋観戦ブーム(「観る将」が流行語に)や藤井聡太くんブームなど盛り上がっており、一般ニュースやバラエティ番組でも連日話題になります。
囲碁界はそれを後追いするムーブが見られます。
「観る碁」とか、英才特例枠での最年少創出とか。
ただこれも効果が出てないように思います。
なぜなら、何となく形だけ真似してるけど、将棋で成功要因となったキー要素が欠けてるから、一~二路ズレて愚形になってる。
また、ライバルは将棋だけじゃない。コンピューターゲーム・YouTube・ソシャゲ・パチンコとかとの戦いも考えることが正しい問題認識だと思います。
●観る碁
将棋観戦がウケているのは、対局だけでなく、将棋棋士のキャラクターの豊富さと、それを紹介する軽妙な語りがあるからだと思います。
◎棋士のキャラクター
将棋は観る将と言われる前から、尖った棋士さんの存在がネットでウケていました。
観る碁を増やしたいなら、棋士のキャラクターをもっと鮮烈に紹介する。
今はみんな同じ「囲碁が強い人」に見えてしまう。
棋風だけでなく、性格や趣味などの人柄を紹介する。
エピソードもポイントです。ただ好きなことを紹介するだけでなく、面白い逸話が印象に残ります。推しのライブに間に合うために超早指しで勝った将棋棋士さんの話は、将棋に疎い私も覚えています。
ニックネーム「魔王」は将棋のパクり感が強く、「御曹司」押しは本人の行動の結果じゃないので可哀想。
「ハンマーパンチ」みたいに、本人のイメージに合ったインパクトある名前がよいですね!
◎コメント力
対局前後のコメントも、将棋にはコピペ改変のネタにもなる名言(?)があります。
囲碁は勝っても「運が良かった」とか、自身の努力も無にするようなコメントをよく耳にします。
運の絡まない確定完全情報ゲームの勝負の世界なのですから、
くらい言ってほしい。
ヒカルの碁が面白かったのは、少年漫画的な熱いバトル展開・人間模様です。
●SNS発信
棋士本人がやるからこそ意味がある。日常のつぶやきで人柄が見え、距離が近くなってファンが増える。
羽生さんのツイート見ると良いでしょう。(棋士さんではなく、SNS戦略考える人が。)
眼鏡の奥の目線は、真っ直ぐこちらを捉えて見開いている。
●最年少
藤井聡太くんブームは、
▶ 特徴的な教育法で、色々な才能が開花した
(その一つが将棋)
◎大人びた、教養を感じる発言
▶ 師匠やライバルなど、
周りの人との人間ドラマ
◎師匠が明るくよく喋り、盛り立ててる
などが一般の方にも面白く映ったのだと思います。
競技の話題は競技を知る人しか分からず、届く範囲が狭い。競技外の、人間として共通なことは、一般の方も理解できて興味に結び付く。
囲碁の英才として、他の学びを取り上げては、一般社会と乖離して将来を奪ってしまいます。
◆変化を嫌う風土
保守的で、変化を嫌う風土があると思います。
囲碁は素晴らしく伝統があり格式高いので、このままで良い、と思っている?
面白いことをする空気があまりありません。
15年位前は「碁的」「囲碁ガール」など革新的な取組が「IGO AMIGO」メンバーを中心に展開され、世間でも話題となりました。
活気と実行力のあった若い集団が、偶然囲碁に興味を持って行動したため、成果が出た。
当時も囲碁は衰退してましたが、今思うと光があった時代だったと思います。
プロの世界は特に「変なことするな」という圧力があるかと思うほどです。
今の苦境に問題提起した若い棋士さんも、牙を抜かれた虎のように大人しくなってしまう。
Go-Up!の宣伝で棋士さんに絡みましたがほぼ取り合ってもらえず、伝統を汚すあのサイトには触れるなと統制されてる疑念を未だ持ってます。(自意識過剰)
棋士夫婦、二世三世棋士・兄弟棋士が多く、物心ついた時から回りがみんな囲碁を打つ環境だと、普及の必要性にどうしても気付けないのかも知れません。
(そのような境遇でも、意識して頑張っている方がいることも知っています)
風土を変えるには、人を変える。
今の誰かを追いやることではないです。
動画編集とか新たな役割の人が必要な時、頼みやすいいつもの囲碁界の人ではなく、一般の方を招き、空気を変える・アウトプットの質を変える。
時々改革の意見収集してますが、集まった意見はその後どうなったのでしょう?
変化の実行力も必要です。
アイデアの実現が難しい場合、ハナから無理と諦めず、課題を細分化して一つ一つ解決し、成果を出す実現力が必要です。
卓球界のように、中央組織が本気で変化を実行することが求められます。
本気で改革するなら、外の風を入れましょう。
風土が変わらなければ、根本が変わらない。
故 加藤正夫 元理事長はスランプの際、「遊んだ方が良い」とのアドバイスを受け真剣に遊んだ結果、タイトルを取りまくった逸話があります。
囲碁の外のことに本気で目を向ける、強烈な努力が必要です。
確実なのは、外部の組織改革のプロに請うのが良いです。
どんな組織でも、内部改革はどうしても甘くなってしまう。しがらみもきっと多くある。
斬新な改革案を謙虚に受け入れることも改革の一つです。
エンターテイメント界の成功事例も取り入れると良いと思います。KADOKAWAドワンゴの川上元会長やDeNAの守安元会長は囲碁が趣味で、繋がりがありますよね。
時代や環境に適応する者が生き残る。
現に生存の危機が訪れているのだから、固執せずフラットに、いや少し自虐的に見る位がちょうどいい。
ある方がしつこく言う、
「囲碁への無理解・無関心と忌避感・嫌悪感」を馬鹿にせず、この国民感情があると思って、屈辱的ですが向き合った方が道が開けると思います。
◆論理的思考
「本因坊戦の賞金減額」や「英才枠採用棋士の海外流出」など、最近は日本囲碁界にとって暗いニュースばかり。
この残念な結果を生んでいるのは、それぞれ細かいことですが、
「囲碁アート」商標乗っ取り事件
突然の「国技」宣言
トップ棋士SNS開設!!!
→ 基本代筆です囲碁が出るアニメ終了後に「大人気放送中!」
研修会名称のお知恵拝借
→「名称は『研修会』です!」囲碁普及マンガを公募
→ 一般人は読めない「囲碁未来」に掲載所属棋士との内紛裁判の勝訴を誇らしげにリリース
風俗パワハラ
など、変な打ち手を連発してるからではないでしょうか?
正直少し心配になります。
(それぞれの詳細は参考文献参照)
「理にかなった」手を打ってほしいです。
何か実現したいことがあれば、
目標と現状の差分を確認し、その原因を複数洗い出し、それぞれの対策を検討し、実行する。
誰かに何かを伝え・何かをしてもらいたいなら、
ターゲットはどういう人で、どういう経路なら届くか、どういう内容なら興味を持って行動してくれるかを検討し、表現する。
普及イベントの内容も、SNSでの発信内容も、目的までの道筋を手順を追って考える必要があります。
現在の状況に応じて臨機応変に。
何か事が起こる前に先回りして手を打つ。
囲碁のこういうところが経営などに役立つのだと思っていますが、これを盤上だけでなく、リアルの世界に応用できればよいと思います。
■反省と言い訳
囲碁界に文句ばかり言う自分が嫌になる。
期待してたから、悪手連発は心穏やかじゃない。
批判めいたことを言うアカウントは異端児扱いですが、満足でない現状ならば、意見や提案はあるべき。
暗いニュースが嫌で囲碁界情報見ないと言ったけど、見ちゃってます。
それはクラスのとろい子を見て鼻で笑う、陰湿ないじめのメンタリティに近いかも知れず、更に自分が嫌になります。
5ch囲碁板の普及スレに棲息する異常性癖者と大して変わらないのかも知れません。
■どうするか?
囲碁と囲碁界は切り離しづらい。
この前提で、2つのプランを立ててみました。
破壊的なプランですが、もう突破力が必要な局面だと思います。
◆「囲碁」を救うには
もう一つの新しい囲碁界を作る。
"日本棋院を中心とした世界"以外の囲碁界もあってよいのでは?
現在の関西棋院も別組織ですが、昔のようにもっと独立性の高い組織が登場し、棋士採用や棋戦開催を独自に行なう。
人を変えて血を入れ替える。風土をリセットする。
競合することで切磋琢磨も生まれます。
どうでしょうか?堀さん?
◆「囲碁のルールを持つゲーム」を救うには
「囲碁」を捨てる。
「囲碁」に染み付いた負のイメージがもはや挽回不可能だとします。
「囲碁」という名前、ビジュアル、用語、全て一新します。
イメージロンダリングです。
逃亡する容疑者のように名前を変え、整形し、過去がバレないように徹底的にひた隠します。
そうすることでイメージが払拭され、新しく生まれ変われます。
元々Go-Up!は萌え囲碁ではなく、このコンセプトを基にした「eternary」というゲームとしてリリース予定でした。
更に、
・派手なビジュアルと効果音の演出で脳の快楽中枢を直接刺激
・ランダム要素を導入して実力主義緩和、射幸心を煽る
・地の概念の見える化支援:碁色
・石の強さの見える化支援:ぷよ碁
などコンピュータを活用した工夫を入れ、時代に適応した、他の娯楽とも張り合えるものになってほしいです。
このイメージの全てを塗り替えていけ。
■参考文献
囲碁人口の減少
波平に免状
「観る将」流行語
推しのためなら超早指しでも勝てる将棋棋士さん(大平武洋さん)
将棋界の珠玉の名言
越智の碁
「運が良かった」
図鑑
IGO AMIGOメンバーの取り組み
GOTEKlを作っていた方の記事
加藤正夫さんの真剣な遊び
ドワンゴ 川上量生さん
DeNA 守安功さん
「囲碁アート」商標乗っ取り事件
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