映画感想だ三本【ナニタリタイ】
かるめ。やわらかめ。ネタバレすくなめ。どれもとても楽しい!!
ざくろの色
序盤強い眠気が押し寄せてしまった初めての作品。気がつくと10年経っていたので再挑戦。え!?
大きな環境音、繰り返される台詞を受け取って、また睡眠導入か?と脳が眠気を催しながらも、今回はきちんと見切れました。
12分が峠だった。それ以降からぐっと面白くなった。
何が何やらわからん!というのはずっと頭の片隅にあるのですが、ぼうっと見入ってしまう。
めくるめく美の表現。画集のような、万華鏡のような景色を覗いていく感じでしょうか。
自然に日常を再現したり、その一方でメインの登場人物と思われる人々は極力動かず無機質さを強調したりと、演技も混在している気がします。
「見得」みたいな表現があるのでしょうかね。詳しい人おしえて。
物語としては詩人の生涯を生から死まで描く、というシンプルで明瞭なラインなので難しい訳ではないと思います。
映像にひたすら惑わされるというか、今思い出してもあれは何だったんだろうって気がする。
僕が好きなファンタジーって指針があって、
物語としては「子供(未成年)が旅をすること」「魔法が出てくること」の二点なんですが、
映像としては
「病院の待合室で読んだ、古くて分厚くてかび臭い絵本の全集に出てきそうな作品」
というのが一種あり、ざくろの色もそういうジャンルであったかもしれない。
全くどこにあるかもわからない、見知らぬ異国を想像してみたらこういう映像になるのかも。
そしてこのざくろの色のことに関してググりまくってる中で、観たことないミッドサマーのネタバレを踏んだり蹴ったりもしました。
一部が着想元とされているとか。比較画像も見かけたけど確かにリスペクトを感じる。
ミッドサマーは得意の方向性が違いすぎて観ないだろうな(あまりにも痛そうなグロテスクは苦手)と、今現在は思いますが、これもまた時間が経ったら違ってくるのかもしれません。
レオン
完全版です。
以前視聴を断念したのはマチルダのノーブラ感が生々しすぎたから、とかそういうところだったような気がする。
スポブラや下着くらい着けさせてあげてよぉ……って思った。今回も思った。
僕は美しい少年少女が好きですけど、それはフィクション上の存在が好きということで、実際に被害者が発生するのはほんと駄目。成年未成年に限らず、存在自身を消費されるのとか。
色々調べてみて、ナタリー・ポートマン自身が不快だったと語るのもそりゃそうだよなって所も多くて、なんともです。
なんともなんだけど感想。
色んなことを頭から追い出して観てみるとこちらもまた物語自体は純愛に恥じなかったと思う。
レオンの純粋さがデカイのかなぁ。これでちょっとでも下心が見えてたら途端に受け付けられなくなってたかもしれない。
マチルダのチョーカーを衣装設定した方に花丸大百点をあげたい。
キャラクターとしてもグッと美しさと特徴とが増したと思う。何だァ偉そうに。
よくパロディで見かけていたスタンフィールドは強烈で恐ろしくて、
お前てめえこんにゃろう(放送できない用語)と罵声を浴びせたくなったけれど、最後のあれで溜飲が下がった。頭が真っ白にもなったけれど。
レオンが彼なりに報いる、愛に答えるといった最大限のやり方だったのでしょうから何も言えねえ。
でもIFとか想像しちゃうよなぁ……。成人したマチルダとレオンのコンビ観たいなぁ……。
完全版でなく、劇場公開版の方は話が大きく違っているみたいなのでそちらも気になる。
余談。
あまり属性ばかりを切り取って別の作品をおすすめするというのは好きじゃないのですが、
僕にとって激推しのSFファンタジーで、ロスト・チルドレンという映画があります。
アメリの監督コンビが撮ったものでして、美しい少女が大人の男性に恋心を向ける様が純粋な形で描かれているので、とてもおすすめです。
いつか記事に書くと思いますがここで押し付け! インド人を右に!
ザ・ゴールドフィンチ
Prime videoで視聴。
人生って意図せず乗せられたジェットコースターみたいなものなのかも、と思わされた。
100%の善人は存在しない、自分から望んだ訳でもない。
でもどうしようもなかった。全体的にそんな感じがする。
起こっていることは劇的だったり動的なのに静か。テオが途中で引っ越しする荒野に吹き抜ける風みたい。乾いてて、熱いのに冷たそう。
テオの実の父親は飲んだくれの元俳優。結婚生活を送っていた頃から別の女性・ザンドラと関係を持っていた。
よくテオのお母さんは離婚するだけで耐えたな。僕だったらこういう人は銀河に放り出しちゃうかも。
そしてなんと言ってもその新天地で出会う新しい友達のボリス。
うおお、ああ、うおお、ボリス。
陽の光が嫌いで日傘を愛用し家庭崩壊の中強くたくましく生きているスマートな、しかしまだ子供のボリス。久々に存在が脳にぶっささったかもしれない。
この映画のサビの部分、僕は彼らの邂逅と、その頃の友情の日々にあったように感じる。
素行は悪いです。万引きするわクスリは誘うわ。でもなぁ……そうでもしなきゃ堪えようがなかったんじゃないかなって所もある。
テオの癒えるはずがない傷はボリスの存在でしか軽くすることはできなかったし、ボリスにとってもそう。
互いにソウルメイトのように感じたことでしょう。だから間違ってしまうんですよね。ぐう。(唸り声)
軽く調べてみたところ、割と原作からカットしている部分も多いらしく、しっかり読んでみたいなと思わされました。
でも映画で描かれた以上に結末が違っていたら起き上がれないかもしれない。
怖い。