【勝手な詩】 ほんのひとかけらの
夕方は静寂のしっぽを引きずり
空は暗くなることさえ忘れている。
足元に転がる影たちはもう飽きた、
生まれない何かを待つことに。
風はささやかず、風車は眠り
太陽は空の端で溶けかけているが
冷たい手がそれを掴むことはない。
ひとつの息が宙に浮かび、形を失い
夢でさえもうやって来ない。
ここには種があるが、芽吹くことを知らない
音もなく、色もなく、ただひたすらに消える。
何も生まれないこの夕方、
時間の裂け目に消えたものたちが
無音の中で踊ることを忘れ、
風も、影も、ただそこにいるだけ。
それで十分か?
それとも、必要だったのは、
ほんのひとかけらの、不在の種。
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