NYワイン、をプロデュース
「あなたは何屋ですか?」
今年4月から「認知科学に基づくコーチング」を学んでいます。
現在は徹底的にコーチング理論を学び、自己適用するフェーズです。
その中で、頭を悩めたのが上記の職業定義についての質問。
職業定義
コーチングにおける職業定義とは、「自分の機能を社会に提供すること」。仕事のゴールを設定する上で、これは非常に大切な要素です。
私の場合は、「ニューヨークワイン・インポーター」でした。
しかし、ここで疑問が生まれます。
私が社会に提供している価値はなんだろう?
様々なインポーター
ワイン・インポーターにもいろいろなタイプがいます。
ヨーロッパの超高級ワインを輸入
有名産地のトップ生産者のワインを輸入
入手困難な希少ワインを得意とする
小規模ながらも高品質なワインを専門に輸入
自国や大好きな国のワインを日本に広める
安くて美味しいワインを大量に輸入
日本には世界中から素晴らしいワインが輸入されており、そのバラエティには海外のワイン関係者も驚くほどのレベルです。それほど、日本のワイン・インポーターのレベルは高く、ワイン好きな人達はその恩恵を受けることができます。
NYワインを輸入する社会的価値
では、当社のように日本にニューヨークワインだけを輸入する価値とはなんでしょう?
世界でもまだあまり知られていない産地の良質なワインを輸入して、一部のワイン関係者や愛好家に非常に喜んで頂いているという自負はあります。
でも、そこに社会的価値があるかというとちょっと悩みます。
ワインは嗜好品であり、日本には何万種類というワインが輸入されているので、NYワインという選択肢が無くても困る人は少ないと思います。
当社が日本にNYワインの輸入を始めた10年前は、日本での知名度は皆無でした。もちろん、他国のワインのように国家戦略などある訳もなく、日本にニーズもなければ、ビジネスチャンスもありませんでした。
止められてもやりたいこと
仕事の定義に、社会への価値提供の他に、もう一つ大事な要素があります。
「止められてもやりたいこと」です。
私がNYワインの輸入を始めた理由は、「長年住んだNYと日本を繋ぐビジネスをしたい」から。大学卒業後に渡米し、NYで14年間生活。アメリカで永住を考えていましたが、諸事情で帰国をすることになり、NYとのビジネスチャンスを模索しておりました。
そんな中で見つけたのが、「ニューヨークワイン」でした。
当時はNYでもあまり知られていない存在でしたが、実際にワイン産地を訪問してみると全く知らなかった世界がありました。現地でワインを飲んで、生産者たちと直接話して、そのパッションに魅了された時のことは今でも鮮明に覚えています。
その時に、「彼らの造るニューヨークワインを日本に広める」と決意。
輸入した当初、「NYワインなんて日本で売れないよ。」と言われたことは数え切れません。しかし、普通のワイン・インポーターの様に、売れるワインを探していた訳ではなかったので、そんな忠告も止める理由になりませんでした。
NYワインをプロデュース
昨日、一緒にスクールでコーチングを学んでいる仲間に、私の職業定義のブラッシュアップをお願いしました。これまでの仕事内容や私のやりたいとなどを話している中で、彼女がいろいろな言葉を返してくれます。その中で、心に響いた一言がありました。
「後藤さんは、プロデューサーですね。」
これまで自分で考えたことはなかったけど、確かに自分の中では単にNYワインの輸入・販売よりも、プロデュースの方が全然しっくりくる。
これまでの私の仕事を羅列すると、
NYワイン産業のリサーチ(全て英語)
NYワイナリーの発掘・現地訪問(全くツテなし)
ワイナリーとの交渉
ワインの輸入(物流ルートも開拓)
国内での販売ルート開拓
酒販店、レストランへの営業活動
試飲会や催事への参加
ワイン会やセミナー開催
生産者の来日ツアー企画
日本のワイン関係者、メディアを連れてのNYワイナリー・ツアー
日本からシェフを連れて、NYでの和食イベント開催
ワインスクールでのワイン講座開催
現地の財団と交渉して、公式ガイドブック作成
その他にもいろいろ
これら全てを私と妻(←超優秀)の二人でやってきました。
これら業務の大半はどこのワイン・インポーターもやっていると思います。
しかし、無名のだった産地に目をつけ、これまでのマイナスイメージを払拭し、今のNYワインのイメージを創り上げ、普及させた。個人インポーターがここまでやり、一つの産地を代表する存在になるのは珍しいです。
「NYワインをプロデュースしてきた」と言っても過言ではないと思います。
もちろん、私達の力だけではなく、応援してくれる酒販店、飲食店、消費者、ワイン関係者、業務パートナーの多大な協力があってのことは百も承知です。感謝。
抽象度を上げてプロデュース
コーチング技術の一つに「抽象度を上げる」というのがあります。
これは「ワイン」を例に上げると、「ワイン」→「アルコール」→「食」→「文化」など階層を上げていくことです。
そうして見ると、「NYのお酒やバー」→「NYのレストランや食トレンド」→「NYのライフスタイル」とNYワインの可能性はどんどん広がります。
もちろん、「ニューヨーク」の抽象度を上げるのもアリです。
これまでも意識をしていましたが、「ワイン・インポーター」という職業の思い込みがあったために、自分の脳が勝手に制限していました。(これを「スコトーマ(心理的盲点)」と言います)
これからは、「ニューヨーク」や「ワイン」という言葉に捉われすぎない様にし、「プロデューサー」という視点を持ちながら仕事を創っていこうと思います。
現状の外にゴールを設定
現在学んでいるコーチングのコア・コンセプトは「ゴールを設定する」というもの。その設定のポイントは以下の3つです。
現状の外側
「have to」ではなく、「want to」
ゴールは複数用意する(8つの領域)
現在は、これらの全ての領域において、自分のゴールを設定中。この作業は簡単ではありませんが、自分の本当にやりたいことと向き合い、人生を劇的に変えていくので非常に楽しいです。
この8つの領域のゴールが揃って、全てのゴールに向かって本当にやりたいことだけを全力でやっていくと思うとワクワクします。