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ベテラン林家(りんか)さんに学ぶ、山を傷めない歩き方

山歩きの技術:林家さんの知恵

奥多摩の林業に従事する林家(りんか)さんたちは、急峻な山で日々作業をしています。彼らの歩き方は、山を荒らさないことを意識しており、体への負担も少ないのが特徴です。ちょうど一緒に行動する機会があり、じっくり観察できました。

一般の登山でも、山道を傷めない歩き方を意識すると、道を荒れにくくするばかりでなく、体への負担も減って山歩きがもっと楽しくなると思います。

とても参考になったので、その歩き方のポイントをまとめました。

1. 安定した場所に足を置く

山歩きでは、安定した場所に足を置くことが重要です。滑りやすい場所に足を置くと、バランスをとるために体に余計な負担がかかります。また、土を動かすことになるので、さらに足場を不安定にしてしまいます。

林家さんを観察すると、一歩一歩、足を適切な位置においています。日々の山歩きで身についた所作なのだと思います。

水平に近い場所

平らな面の上に足を置く。平らなところは安定しています。

あたりまえに思えるのですが、びっくりするくらいに気にしていない人が多い。

斜面に足をおくと、滑って土を削ってしまい、道を傷めます。バランスも崩しやすいので余計な体力がいります。

石のある場所

石が動かさないように、石の山側に足を置く。

石よりも奥へ足をおく。石の上は石を揺り動かしてしまう
石・岩の山側へ足をおく

石に足をおくと、転がしてしまう可能性があります。石や岩を動かさないように、石の山側の土に足をおきます。
安定した石でも、たくさんのひとが石を踏みつけて歩くと、石全体に振動が伝わって、まわりの土が動きやすくなります。しばらくすると石が不安定になり、転がりやすくなってしまいます。

根のある場所

根を踏まずに、山側の安定した土に足を置く。

木の根はまたぎ越える。根に足をおくと、傷めてしまう。根の周りの土を振動させてしまう。

根の上を歩くと、根全体が揺すられます。根の周辺の土が動きやすくなります。雨で洗われて流れ出し、根上がりの原因になります。

根を踏むと、振動で土が動きやすくなり、流出します。土から離れた状態になると、とたんに弱くなります。

根上がりすると、とたんに弱くなって枯れてしまいます。

2. 直登せずジグザグに歩く

林家さんたちは、道幅全体を使ってジグザグに歩きます。それほど幅が広くないところでも、左右に蛇行しながら登り下りします。

まっすぐに登り下りせずに、蛇行するルートで歩く

ジグザグのコースは、山の斜面に対して角度がゆるやかになります。斜面をまっすぐに移動するよりも、緩い坂を歩くことになります。
足を持ち上げる高さを低くでき、体への負担が少なくなります。
また、一直線に踏み固まらないので、土圧が分散される、水が中央に集まりにくくなるなど、道を荒らしません。

3. 土を動かさない

ズルズル足を滑らせると、動いた土砂が雨のたびに流されます。
それが続くと、水を集めやすくなり、さらに深く掘れて地形が変わっていきます。

根っこよりも岩、斜面よりも水平面

石や根を蹴らずに水平な場所に足を置くことを意識しましょう。平らな面が安定していき、登り下りしやすい道になっていきます。

4. 土圧を減らす

歩幅を小さくして歩くと、土圧がかかりにくいです。

狭い歩幅でジグザグに歩く

大股に歩くと一歩一歩に土圧がかかります。歩幅を狭くして段差の小さいところを選ぶと、土への負担が減ります。
足を大きく上げないので、疲れにくくもなります。

実践方法まとめ

  • 足の置き方を意識する: 一歩ごとに安定した場所を選ぶ。

  • 石や根を踏まない:石や根の山側の土に足をおく。

  • ジグザグに歩く:道幅全体を使って登り下りする。

  • 細かい段差を選ぶ: 登り下りでは小さな段差を選び、歩幅を狭くする。

これらのポイントを守ることで、体に負担をかけず、道を荒らさずに歩くことができます。

体に負担のない歩き方=道を荒らさない歩き方

といえるでしょう。

まだ荒れていない道。
林家さんにならって、水平に近いところに足を置き、ジグザグに蛇行して歩くことで、歩きやすく安定した、整備のいらない道にしていきましょう。

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