水たまりが気になったら、点穴を掘ってみよう
台風が過ぎると、あちこちに水たまりができます。これは水が停滞している証拠。土中の水の動きを考えるチャンスです! 点穴を掘って、土中の水を動かしてみましょう。
まずは観察
水たまりの周辺を見ます。
水がたまるのは、
① 上流側から水が集まってくるから
② 下流側が堰き止められているから
の二つの要因があります。
上流と下流
敷地の中で、どっちが上流で、どっちが下流かを判断します。
里山など、傾斜があるところではわかりやすいのですが、下流域の市街地では判断しづらいです。その際にはマクロに見ていくと、上流・下流を見極めやすいです。
水脈の位置
水がたまるのは水脈の上です。上流下流がわかったら、水脈の方向を見ます。
水を堰き止めているのは何?(下流側)
コンクリートやアスファルトなど、水が堰き止められているものを見ます。
道路の脇、門や側溝の脇など、固いものや遮っているものです。
水を集中させているのはどこ?(上流側)
水たまりに向かって流れが集まっているので、たまります。水たまりを作っている水はどこからやってくるのかを、見つけます。
建物の脇や門の間など、水が集められている部分です。
どこにどのくらい掘る?
点穴を掘る場所を決めるときには、川に倣うといいです。
川で深いのは、
①曲がっているところ
②ぶつかっているところ
③合流しているところ
点穴も同じように、
①曲がり角
②コンクリートなどの手前、もしくはすぐ後ろ
③水脈が合流しているところ
が、掘るのに適した場所です。
上流と下流、点穴の役割
上流・下流、それぞれに点穴を掘る目的が違います。
上流側は、水たまりへ水が集まらないように、分散させるための点穴。
下流側は、水たまりの水が流れるように、高低差を作るための点穴です。
上流側は、集まらないように分散させるためなので、いくつかの浅めの点穴を掘ります。水たまりよリ上流側の点穴は、深くならないように注意します。深い点穴を掘ると、水を集めてしまうため。
下流側は、水脈の出口で、邪魔にならないところに、深めの点穴を掘ります。ここに水を集めていくイメージです。同時に、草が生えていたら、水脈の上を風が抜けるように刈ると、地上の空気が動いて土中の水も引っ張られるので、水をより動かしやすくなります。
どのくらいの大きさで掘る?
上流側は深く掘らない。流れる水が多くて処理しきれない場合は、広く掘るといいです。要するに、池を掘るということです。表面積が広くなるので、蒸散の働きも期待できます。
下流側の点穴は、深くします。高低差が大きくなって、水が動きます。
手間をかけられないときには、大きさよりも深さを優先するといいです。
棒状のもので、深くグリグリ突き刺すだけでも、効果があります。できた細い穴には、枝を刺したり、炭を入れたりして泥が入り込まない造作をします。点穴を長持ちさせやすいです。
これはNG!注意したいポイント
ここで注意したいのが、水たまりの中でには掘らないということ。水たまりの中に点穴を空けてしまうと、水たまりへ水を集めてしまいます。水は低いところに流れるので、いつまでもぐずぐずになります。
深さにも注意します。
水は低いところへ流れるので、もっとも深い穴は敷地の下流端だけにします。間違っても庭の真ん中に深い穴を掘らないように。水はそこへ誘導されるので、水はけが悪い状態をつくってしまいます。
できるだけ水脈は建物から遠く離れるように、点穴の位置を考えます。建物に向かって水を誘導しないように、建物から外れて水が通り抜けるように、全体の流れを考えるようにしたいです。
点穴のはたらきと作り方
使う道具
効果がわかるのは、ずっとあとになってから
点穴は、すぐには効果が出ません。
ときには、栓を抜いた風呂桶のように、するすると水がひく場合もあります。けれど、そうならないことの方が多いです。
早くて二週間ほどはかかります。土中の微生物たちがはたらいて、点穴の周りにじんわりと染み込む隙間ができてきます。忘れた頃に、「あら、そういえば水はけがよくなったかな」と気づくみたいなかんじです。
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