路上ライブが苦手だった
13年ぐらい路上ライブをやり続けておいて今更なのだが、実は苦手だったかもしれないことが判明した。
というのも先日久しぶりにふらっと難波まで歌いに行ったのだが、ギターを取り出すのも人目を気にし、人前で歌いながら「頼むから無視してくれ」と矛盾していることを思う始末。
難波=からまれる というイメージのせいか歩いてくるおっちゃんが全員殴ってくるんじゃないか、女性には笑われてるんじゃないか、若いにいちゃんにはウザ絡みされるんじゃないか、警備員の人はやってこないか、いちいち気になって全然歌に集中できなかったのだ。
思ってみればブランクがあったからというわけではなくずっとそうだった。
外で歌い出すのにいつも勇気を振り絞っていたし、黒っぽい服の人が視界に入るだけで警察や警備員ではないかとビクッとしていた。
ずっとやっていたから麻痺していた部分もあるかもしれないし、路上でずっとやってきたという過去がその可能性に蓋をしていたのだと思う。
僕は路上ライブが苦手だ。
ミュージシャンなのに、と思われるかもしれないが僕は人前で歌うことが恥ずかしい。
飲み会の席や集まりで行ったカラオケで歌ってと言われるのがすごく嫌なのだ。
なのになぜずっと続けてこられたんだろう?あの頃と今となにが違うんだろう?
考えてみると1つの答えが浮かんできた。
「ステージに立つぞという覚悟」だ。
路上ライブでも看板を出して、マイクをセッティングして、オリジナル曲を歌いに行っていく「活動」だったから堂々と歌えていた。
ライブハウスでもリハーサルがなかったりする日に、家にいる気持ちのまま本番に流れ込んでしまったり、
準備不足で当日を迎えてしまった日はステージに立ってからジワジワと悪い緊張感が高まってくる。
歌いはじめて15年ほど経つから歌うことが当たり前だと思い込んでいたけれど、後藤大という人間にとって人前で歌うことはなにも自然なことではなかったと今頃になって思い知ったのであった。
その事実を自覚しているのはこれから歌っていく上で、いや、誰かの前で表現をするときにとても役に立つだろう。
自然じゃないから、普通じゃないからやっている。普段の僕じゃできないことだから表現に惹かれ続けているんだなと、覚悟決めてステージやってたから楽しく、嬉しかったんだなあと思った夜だった。
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