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【IR向上委員会】noteの決算説明資料アップデートを分析

2023年7月14日。note社の2Q決算発表がありました。

上場してから2回目の決算発表となります。

上場して1年目あたりは、決算説明資料やIRなど、試行錯誤や工夫が多く生まれやすい時期でもあります。

頑張って作成されているIRチームの皆様へ
「僕は改善点をちゃんとみていますよ!」
というメッセージを込めて、アップデートポイントを分析し、解説します。


ハイライトページの次に挿入された、赤字幅縮小のスライド

決算説明資料の最初のページはハイライトで、ここは先回の発表から変更ありませんでした。
ただし、次のページに挿入されたのが、赤字幅縮小に関する説明でした。

ハイライトページが提携フォーマットだとすると、その次に挿入された今回のこのスライドは、掲載順についても社内できっと色々と議論があったんじゃないかと想像します。

「先回からの連続性の観点で、KPIサマリーを2枚目にもってくるべきじゃないか?」
「いやいや、赤字決算が意識されている状況だから、赤字が縮小してることをファーストメッセージとして伝えようよ」

何度も、後ろのページに回してみたり、いやいや、やっぱり頭に持ってきてみたり。
(ごめんなさい、勝手な妄想です)

個人的には、マーケットが意識されているであろうポイントについて、追加スライドで新たに作成したことや、できるだけ頭のスライドに掲載したことでメッセージ性を強化している印象があり、とても良いアップデートであるように感じました。

KPIサマリー資料からPL項目がカットされた

そして、KPIサマリーのページは、1Qと比較してP/L項目を削除したことで、シンプルで更に見やすくなっています。
1QのKPIサマリーと2QのKPIサマリーを比較するために、それぞれの画像で比較してみましょう。

1QのKPIサマリー
2QのKPIサマリー

表示項目が7つから5つに減ったことで、P/L以外のKPIにフォーカスした進捗が確認できるようになりました。
確かに、売上や売上総利益は重視すべき経営指標にされているのだと思いますが、このスライドで伝えるべきことを研ぎ澄まそうと考えた時には不要であった項目かもしれません。

「売上高推移」を「売上高・営業利益推移」に変更

1Qの時には、売上高のみを推移として掲載しており、利益の推移については同時に掲載していませんでした。
構成要素は増やしたものの、経営進捗を見る上では1枚で全体が見渡せて、理解しやすくなったと思います。

1Qの売上高推移
2Qの推移表

個人的な想像ですが、2枚に入れた赤字幅縮小のスライドは、このページを作成している際に、思いついたのではないかと思いした。
このスライドで、赤字幅が縮小することを説明として入れようと考えて、実際に入れてみたら、伝えたいメッセージが多くなってしまったので、切り出して、赤字幅縮小のみにフォーカスしたスライドとして別だししたのかなと。(すいません。勝手な妄想です。)

この辺りは、資料の作り手として悩ましいところです。どうしても、この1枚に赤字縮小も盛り込みたいところですが、メッセージ性が弱くなってしまう。
作成者の伝えたいメッセージを考え抜いて、整理されたことが想像できます。

売上高の内訳推移からストック比率を削除

売上高の内訳推移においては、1Qで掲載していたストック比率の掲載を削除しています。
これについては、意図が分かりにくいのですが、もしかするとストックの定義が複雑な為、ミスリードにつながると判断したのか、もしくは説明が面倒になったのか、どちらかではないでしょうか?
いずれにしても、「ストック比率は事業成長において重要じゃないよ」というメッセージかと感じました。

2Qの売上高内訳推移
1Qの売上高内訳推移

見比べていただくと分かりますが、1Qのスライドの下部には、ストックの定義が細かくたくさん記載されています。

粗利率の四半期推移について掲載開始

個人的に嬉しかったのが、粗利率の四半期推移について開示されたことです。
※なぜかというと、僕が指摘したからです。(笑)

2Qで新たに追加された粗利の推移
1Qでは、粗利と営利の年次推移として開示
重視する指標のページ

そもそも、note社では、「財務構造と重視する指標」というスライドにおいても、ロジックツリーの頂点に売上高総利益をおいています。
文章でも明確に「財務指標のうち売上高総利益を最重視し、最大化を目指す」と謳っています。

にも関わらず、1Qでは、売上高総利益(粗利)についてのスライドが年次ベースになっており、成長を伝えるのにはやや不十分な印象でした。
これだと、重視している感じがしないので、トラックレコードを掲載した方が良いのでは?という指摘をさせていただいたことがあります。
僕の意見が参考になったかどうかは別として、改善されてよかったと思います。

業績予想に対しては、個人的に改善の余地ありの印象。

業績予想に対する進捗状況

このスライドは、先回も掲載されていましたので、アップデートはないです。
色々な意見があるとは思うのですが、個人的には、業績予想に対する進捗率は、もっと最初の方に掲載してあるのが好きです。
すこし、章立てにひっぱられた感じがしなくもないです。
業績予想の章では、
・コストマネジメントの取組
・2023年11月期業績予想
・中長期的な業績見通し
と3スライドあり、一つの章立ての単位としてまとめたかったのかなと。

また、2Q時点で各経営指標が50%に達していない状況を考えると、若干ビハインドしているように見えなくもないです。
概ね想定範囲のレンジではあるものの、ビハインドしている時には、その要因や、今後のリカバリの見通しについて、ここでも改めて説明を加えても良かったのかなと思います。

僕なら、このスライドに

・3Q以降に寄与する売上アップサイドの施策
 noteProの単価60%アップ(詳細はP.XX)、各種機能改善(詳細は、P.XX〜P.XX)
・3Q以降に寄与するコスト削減の施策
 人員計画、オフィス移転、外部委託の見直しで四半期あたり約37.5百万円の圧縮(詳細はP.XX)

のような説明を加えるかもしれないですね。

課題と具体的な施策に関する説明が詳細化

先回の決算説明資料から大きく改善されたのは具体的な取組に関するスライドです。

個人的には、過去の経営成績に関する分析よりも、今後の見通しについてヒントになるような説明がもっとIRされるべき!と思っていますので、この改善はとても良いと感じました。

具体的施策の全体像
具体的施策の個別説明

右上にさりげなく挿入されている図がとても好きです。
図は、一部抜粋なので、実際にはもう少し色々と記載されています。

3Qでは、単価改善が実施されたnoteProの進捗状況なんかが開示されると良いなと感じました。

以上です。

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