見出し画像

ドサクサ日記 7/3-9 2023

3日。
時差ぼけと肩の痛みで3時か4時には起きてしまう。そして、仕事をしたのち、今回のグラストンバリーのためにかった寝袋を枕がわりにして、スタジオのソファーで小一時間寝てしまう。夜になると22時にはもうくんくんに眠くなってしまって、酔っ払ったまま寝てしまう。そして4時に目を覚まして呆然とするのだ。村上春樹もそのくらいに起きて小説を書くそうだ。彼と一緒だと思うと耐えられる不思議。

4日。
藁にもすがる思いで「肩用ラックル」という名前の漢方薬を飲み始める。プラセボでも効けば嬉しい。そして、冷えこそが四十肩の最大の敵(オーバーワークも原因だけど)ということを鍼灸師に聞いたので、腹巻きを買う。これまでは腹巻きという衣類が一体何のために存在しているのか理解できなかった。私は中年であるということをアピールするためのアクセサリーなのかと思っていた。腹を温めたい。

5日。
『サーフブンガクカマクラ』の完全版が発売になった。昔のほうが良かったと思う人もいるだろう。それは全く間違いではない。2008年のサーフには、あの当時ならではの魅力がたっぷり詰まっていると俺も思う。昔の作品を失敗作と見做して作り直したかったのではなくて、2023年のリアルな俺たちの歩みとして、記録し直したかったのだ(このあたりの思いは初回盤のライナーノーツに書いたので、読んでほしい)。写真について考えると、わかりやすいと思う。写る我々も変わったし、カメラの機能も変わった。どちらが良いのかではなく、それは別物だとも言える。作品としての音像は完全版のほうが良質だと断言できるけど、「良い音」なんて人それぞれで、角度を変えれば俺が追求しているオーディオ的な良さは10代の頃に嫌悪した「おっさんの趣味」なのかもしれない。でも、そういう角度の違いこそが表現物が世に発表されつづけることの意味そのもので、それぞれの感覚を大事にしてこそだと思う。俺には、今これをやらなければならない理由があった。そして、それを成し遂げられて安堵している。誰がどう言おうが最高だった(過去形なのは過ぎ去った時間の記録なので)と思う。友達と組んだバンドで、こんなに素敵なアルバムを作れた。ここで終わっても俺の人生は最高だったと言える。今なら。

6日。
インドネシア公演について現地で行われていたカンファレンスに参加。なるべく訳しやすい日本語で話そうと心がけるのだけれど、これが難しい。「あなたたちのようなインディロックがアニソンをやることについて、制作上の制約はあるのか」的な質問が面白かった。「始めたころは珍しいコラボだったけれど、参加する作品のことをリスペクトしながら、自分たちのやり方を貫いてきた。いつしか、インディロックと日本のアニメは親和性の高いものになった。今では制約があるどころか、とことんアジカンらしくやってほしいというオーダーが多いです」と答えた。ナルトの主題歌を引き受けた時は、少しの迷いがあった。けれども、「これは海を超えるための機会になるよ」というディレクターの言葉に心を動かされた。そうか、日本のアニメと一緒に世界に出て行けるのか!と。「遥か彼方」の力は大きい。

7日。
整体で身体をほぐしてもらう。むちゃくちゃな疲れ方をしていたらしい。夕方からは肩の痛みがどうしようもなくなったので、整形外科に言ってレントゲンとエコー検査を受け、痛み止めを注射してもらった。肩腱板断裂の可能性があるということで、MRIの予約をすることになった。ネットで調べると結構恐ろしい。大掛かりな手術になると、半年くらい肩を固定することになってしまう。軽症だと嬉しい。

8日。
やっと時差ボケが落ち着いてきた。肩の痛みで目覚めてしまうけれど、睡眠時間が少しずつ長くなっているのが嬉しい。年齢のせいもあってか、爆睡という体験をする機会が減っているように感じる。若い頃は毎日爆睡していたような気がする。あんなふうにスコンと眠ることができたら、どんなに幸せだろうか。疲れ果てたままバタンとベッドに倒れ込んで、気づいたら昼、みたいな瞬間を夢想している。

9日。
ROTH BART BARONの『BEARNIGHT 4』のリハーサル。豊かでしなやかなバンドアンサンブルに混じって、とても楽しい時間だった。なかなか演奏する機会のないソロの3rdアルバムの曲を演奏できるのがありがたい。日比谷の野音は近いうちに解体されてしまうのだという。どこも開発ばかりでゲンナリするけれど、東京の真ん中の素敵な野外音楽堂で演奏するのが楽しみ。良い夜にしたい。

https://www.rothbartbaron.com/bearnight4