見出し画像

ドサクサ日記 9/30-10/6 2024

9月30日。
ツアー初日、横浜FAD。とても楽しい時間だった。FADの夏目君と近頃のライブハウスの事情や、いろいろなバンドの話で盛り上がる。コロナ禍にあっては、音楽がぴったりと鳴り止み、ライブハウス救済のためのクラファンのTシャツをひたすら畳む日々だったという。CLUB24やシェルガーデンといった思い出のライブハウスは疾うの昔になくなってしまった。FADが潰れなくてよかった。近くて熱い夜。

10月1日。
ボイトレ。地味な筋トレで体幹を鍛えている。あと一息みたいな場面で、こうした努力が活きてくる。その後はウミネコカレーで美味しいカレーを食べた。俺は梅干しトッピングが好きだ。古里おさむと風呂敷の合宿レコーディングで食べさせてもらってから、あのむちゃくちゃ酸っぱい味が恋しくなってしまう。こうして書いている今も、口の中に唾液が溢れてくる。ウミネコカレーは食べると気持ちが整う。

チキンカレーと雛豆のカレーの2種盛り。とっても美味しい。

2日。
朝のおにぎり屋。久しぶりに来店するお婆ちゃんに声をかける店員。最近見ないから心配していたとのこと。「あなたの顔を見に寄ったの。休憩させて」とお婆ちゃん。おにぎりを注文するでもなく、カウンター席の冷水で渇きを癒しながら、店員とお婆ちゃんの近況報告は続く。なんかいいなと思った。おにぎり屋で癒された後は、リキッドルームでツアー2日目。楽しく演奏できたと思う。次は北海道。

3日。
苫小牧のFAHDAY2024にて展示する立体音響の確認。8chキューブがとても良い感じ。自分が作った音楽(多分に坂本龍一の影響を受けて)は、閉じられた環境で再現される必要がないと考えている。場所によって音が違っていいし、響きが違っていい。その場だけでなく、そこにいる人たちの吐息までも、含まれていてほしい。そういう意味では、半開きみたいな展示で、かつ、収録した音たちが損なわれない設備を用意してもらって嬉しい。その後は電車で茅ヶ崎まで移動。ヘルマンの岡本君が仲間たちと始めたNOVZOというレンタルスタジオを見学させてもらった。設えられた家具や内装に、岡本君のセンスが溢れている。壁の色が良い。たくさんのことを話せてよかった。これから音楽をはじめる人に対する愛情が胸を打つ。いろいろな場所ですれ違ってきたけれど、この日に初めて会えて良かった。

立体音響の確認。座っているのはサブウーハー。お尻で作品の重低音を感じてほしい。
低い音はほとんど振動なので。展示会場は入場無料。10/12。
茅ヶ崎のNOVZO。これから楽器をはじめたい人は岡本君に相談すると良いと思う。
どんなに初歩的なことでも、親切に教えてくれるから。

4日
苫小牧へ。FAHDAY2024には、ツアーの関係で参加できないので、作品の展示場所を視察させてもらった。加藤君にも会いたかったし、どんな場所が取り壊されるのが見たかったのもある。建物は僕よりも年上。50年を経過した建物が老朽化するのは仕方のないことだ。小ホールは昭和感があって、訊けばなるほど、昔は市民の結婚式がたくさん行われてきたのだという。大ホールは圧巻で、これぞ職人の技術という感じの建物、内装、音響だった。ひとりのミュージシャンとして言えば、大ホールが失われるのははっきりと損失だと思う。苫小牧の文化的な歴史や街の成り立ちの一部が失われるし、たとえば山下達郎さんのように、ホール選びにこだわりのあるアーティストが来なくなってしまう。同じ金額をホールの新設に使うならば、このホールを改修したほうが、未来の人たちに引き渡せる価値の総体は大きくなると思う。経済的な、株式会社の売上的な、ここ数年で誰かが使い果たしてしまうような金銭で言えば、新しいものを建てたほうが潤うと考える人が多いだろう。それは、経営者たちのものにしかならない。この場所に素敵なミュージシャンや演劇が来たり、こうした場所を潰さない理由を市民がしっかり話せることのほうが、この街を豊かにするはずだ。小ホールで加藤君と即興演奏。日記のような記録。

NOT WONK加藤君と。彼とは一日、たっぷり話をした。FAHDAY2024、多くの人に参加してほしい。撮影はコーヒー屋を営む石橋君が撮影してくれた。素敵な音楽が流れるカフェだった。
苫小牧にはまた行きたい。そういう理由がある街。

5日。
札幌。ペニーレーンでライブ。吉村さんと弾き語りもやったし、ソロのツアーでも来ていたので久々な感じがしなかったけれど、アジカンとしては16年ぶりとのことで驚いた。楽屋にはコミックスがたくさん置かれている。つい読んでしまうのは『将太の寿司』。グルメも追求すると、食べる側の欲望ばかりが見えて辟易とするが、作る側の「美味しいものを食べてほしい」という願いは素敵だなと思う。

6日。
帯広。会場のメガストーンのトイレが和式から洋式になっていた。俺が過去にMCなどで「洋式にしてほしい」と言っていたことが原因ということで、大変に恐縮した。洋式便器の便座に、和式用の格好で乗り上げて脱糞する後輩がかつていたので、和式を愛好する人の気持ちも考えなければいけないが、体勢のことを考えると洋式のほうが足腰に優しいような気がする。ライブ前はなるべく和スタイルによる足腰へのダメージやストレスを避けたい。そして、ウォッシュレットというのははっきりと発明だ。他国では飲み水にするような清潔な水で尻を洗うというのはバチ当たりな行為で、ジャンパン風呂的な贅沢だと憤る自分も在るが、一度経験してしまうと尻洗いなしの生活にはなかなか戻れない。誰でも自分の尻は可愛い。甘やかしたい。紙ヤスリみたいなチリ紙から尻を守りたい。なるべく清潔でありたい。感謝。