【閑話】 ファンドレイジングは、一緒に “未来” をつくる方法(かもしれない)
こんにちは。ごさとです。
今年に入ってからNGOや患者団体の方々と一緒に活動することも増えてきているのですが、皆さん口をそろえておっしゃるのが「活動資金が・・・」。
そこで今回の「閑話(無駄話 / 心静かにする話)」は、非営利団体の運営にとって超重要なファンドレイジング(資金調達)について、僕がNPO職員だった当時(5〜6年前)考えていたことを振り返ってみたいと思います。
※といっても、僕はファンドレイザー資格を持っているわけではないので、あくまでも私的な考えです。
● 転職してから知った職業
僕は両親が東北出身ということもあり、東日本大震災の被災地支援、特にこれからの未来をつくる子どもの教育に携わりたいと思い、現地で教育支援を行っているNPOに転職しました。
ただ、学習指導や進路相談やカウンセリングができる訳でもなかったので、自分の強みであるマーケティングを生かせそうな機会を探していて、タイミングよく巡りあった団体とご縁があり、東京の本部にある「ファンドレイジング部」に配属。
今となっては恥ずかしい限りですが「ファンドレイジング」は初めて見聞きする言葉だったので「???」の状態でスタートです。
しかしやることは法人営業(一緒に寄付商品開発)、デジタルマーケティング(MAツール使って数字で効果検証)、オウンドメディア運用(ブログとSNS)と、企業とほぼ同じで、違和感なく仕事に馴染んでいきました。
● “マーケティング視点” で “寄付” を考えてみた
NPOの特徴としてユニークなのは、お金の出し手と事業による受益者が異なるので、双方に向けたコミュニケーション活動が必要になります。
(受益者から直接対価を得るNPOもあります)
当時の僕のミッションは、人々の被災地への関心が薄れ、下がり続けている寄付収入を改善させること。
個人的に「お金を払っても自分は何も受け取れない “寄付” にお金を使う人」の考えに興味を抱いたこともあり、改めて寄付を「商品」に、寄付者を「買い手」に置き換えて、まずはターゲットとなる寄付者のインタビューからインサイトを探る活動を始めました。
そこで発見だったのは、
「単に『かわいそうだから』と感情に流されたのではなく、自分でも問題に関わりを持てる方法を考えていた」
「寄付という行為を通じて団体に参画している、共同出資者のつもり」
「いつも『子どもたちのためになっているのか』という視点で事業の行く末と財務状況をチェックしている」
みなさん、寄付を「自分なりに社会問題を解決する手段」「自分が良いと思う未来をつくるための投資」のように考えていらっしゃったこと。
特に印象に残っているのが、シングルマザーの方の言葉。
「我が家は金銭的に豊かではない、けれど自分の子どもと同じように、被災地の子どもたちのことを考えている。だから少しだけれど、子どもたちにできることをしてあげたい」
● 自分のなかの “寄付者” を改める
このインタビューを通じて、それまで自分がぼんやりと描いていた “ペルソナ(顧客イメージ)” を全部捨てました。
それまでは「かわいそうマーケティング」で「大変なんです、支援が必要です、協力してください」とエモーショナルに訴求することが多かったのですが、コミュニケーションのスタンスも見直し。
(そのような手法が刺さる層もいるので使い分けるようにしました)
まず手をつけたのは、自分たちの都合だけを押し付ける「告知」を極力減らすこと。
そのうえで、
・“社会問題” を正しく共有するファクトや数字(調査データやアンケート結果)
・目指したい未来や成し遂げたいビジョン
・“ソリューション” としての事業
・子どもたちのポジティブな声(事業の定性的な成果)
・寄付で実現できる具体的なこと(金額に応じたイメージ)
これらを示しながら、同じ未来を志す “仲間” に語りかけるように伝える。
ワクワクしたり、感動したり、悲しい気持ちになったり、悔しい思いをしたり、活動で得られた感情を飾らずに伝える。
(文字にすると小っ恥ずかしいのですが・・・)
時折いただく寄付者からのメッセージや、東北の職員から教えてもらった情報を「仲間からの便り」として内外に発信するよう心がける。
(でも “身内ウケ” にはならないよう気をつけながら)
それで納得・共感してもらえたら、新しいかかわりが生まれ、関係性が強まるはず、と。
(響かなかったら「価値観が違うから仕方ない」と割り切る)
これだけが要因ではないですが、1年ほどで6,000万円超の寄付収入を獲得し、安定していた頃と同じくらいの水準まで回復させることができました。
「誰かの問題」を「私たちの問題」と捉え、一緒に解決を目指す。
この経験が、僕の寄付やファンドレイジングの考えにつながっています。
「運営資金を稼ぐ」よりも「賛同者を募り寄付という形で関わっていただく」のがファンドレイザーなのではないかなと思います。
また別の機会に、実際に取り組んだ内容についても振り返ろうと思います。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
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