見出し画像

営業はプロジェクトマネジメント力(序章/無料公開◎)

―序章 はじめに―
 
自己紹介
はじめまして。この度は、本書を手に取っていただき、誠にありがとうございます。
はじめに簡単に自己紹介をします。
私は大学を卒業後、食品業界に就職し、食品メーカーを主なお客様として法人営業を行ってきました。お客様に提案していた商品は、加工食品の製造時に使用する調味料であり、採用いただいた際には、粉状や液状の調味料を数十キロ~数トン単位で食品製造工場に納品するような営業活動です。
訪問先は既にお取引のあるお客様がほとんどで、平均すると週に4日ほど外勤し、1日あたり3~4件のお客様を訪問していました。
キャリアの多くはこのような法人様向けのソリューション営業を行ってきましたが、営業以外にも、外勤営業者への支援業務(各種データ分析や、それに基づく提案資料の作成等)、お客様の商品開発マーケティングを支援する業務、自組織の営業力強化に向けて営業活動の型化や外勤営業担当者の育成業務等も行ってきました。
つまり、約9年間の社会人経験において、その全てを営業セクションで過ごしてきたということになります。
この序章では、そんな私がなぜ営業を言語化してみようと思ったのかについて紹介し、その後、本書の読み方についてもお伝えします。
 
営業を言語化してみようと思った理由
まず、なぜ営業を言語化してみようと思ったのかについてです。一言でいえば、社内における自分のポジションを確立し、自信をつけたかったからです。もう少し詳しく説明します。
私が入社した当時、自社内(の一部)には「営業は予算を達成していれば、それで良い。そして、数字をつくれなかったら仲の良いお客さんに頼んで、翌月の納品分を買ってもらえばいい」という、いかにも昔ながらの風潮が存在していました。
もちろん営業組織である限り、最も大切なミッションである予算達成にこだわることは非常に重要です。
しかしながら、このような営業活動ばかりだと必ずいつか限界が来てしまうし、そのような考えが通ってしまうなら、私は自分の強みを活かせなく、この会社では活躍できないだろうなと悩んでいました。
このような中で、自分がこの会社でなんとか生き残っていくためにはどうしたらよいのかということを考えていった結果、「認められるためには予算達成の数字だけでなく、営業のプロセスを評価してもらえるようにならなくてはいけない。そのためには、自分がやってきた営業活動のプロセスを正確に上司や同僚に言葉で伝えていく力をつけなくてはいけない。これができる人は自分の会社にはいなく、これができるようになれば、自分のポジションが確立できて自信が出るかもしれない。」という一つの結論にたどり着きました。
ちなみに、なぜ私が入社当時の状況だと自社で活躍することができないだろうと感じたかというと、それは、私はお世辞にもノリが良いとは言えないような、超真面目キャラだからです。(笑)
これまでに仕事でご一緒したほとんどの方から「本当に真面目ですよね。」「この世代でこんなに真面目な人ってまだいたんですね。絶滅危惧種ですよ。」といったお言葉を何度も頂戴してきました。(笑)
これが、営業を自分の言葉で表現してみようと思い始めた原点です。
このような不安な状態でスタートした私の営業人生でしたが、周囲の先輩の優しさに支えられ、何とか辞めずに続けてきた3年目くらいの頃からだったでしょうか。急に、目に見えて私の提案をお客様から採用いただける回数が増えてきたのです。
もちろん、年次を重ねたことによるお客様との信頼関係や場数が増えたことで事例の絶対数が増えてきたこともありますが、それ以上に、受注する確率が高くなってきたのです。
その後、受注案件とそうでない案件を区別し、それぞれの案件について、私なりに自分が行ってきた行動やお客様がおかれていた状況等を整理していくと、各事例には似たパターンがありそうだということに気が付きました。
もちろん、私たちが対面する相手は機械ではなく、感情を持つ生身の人間ですので、数学のような唯一の絶対解は存在しませんが、その解のようなものを、日々の営業活動の中で仮説を立て、実践の場で検証するのが楽しくなってきたのです。
そしてこの時期に、入社間もない頃に漠然と感じていた営業の言語化を明確にやってみようという想いが確立されました。
営業活動を言語化して、人に説明ができるようになれば、社内でも認めてもらえる存在になれるかもしれない。そう感じた時でした。
 
本書の読み方
さて、いよいよ次章から具体的なお話をしていきます。本書のタイトルは、「営業はプロジェクトマネジメント力である」です。
いわゆる営業のノウハウ(例えば質問の仕方や、クロージングの仕方等)について書かれた本は世の中にたくさん存在しますので、私は、営業活動そのものに対する意識や考え方、それに基づく進め方という観点からまとめてみました。このことを理解し、読み進めていただければ幸いです。
また、本書は私が自分の活動や周囲の優秀な営業担当者の活動を言語化して伝え、それをメンバーに現場で再現して成果を出してもらうことに対して、大きなやりがいや楽しみを感じるようになったことがきっかけで書籍化に至っています。
これまで職場のメンバーからは、「どうしてそんなに毎回案件化できるの?」「いつも自分から積極的に提案して、狙ってお客様をその気にさせているよね。」と言った嬉しい言葉を何度かもらってきました。
本書はこれらの疑問に対して、改めて返答できるような内容にしておりますので、同じようなことで悩みを抱えていらっしゃる営業担当の方には特に役に立つ内容であろうと思っていますが、そもそも営業に必要とされる能力は基本的に全ての会社や部署、職種で必要とされるものですので、そういう意味では所属部門問わず、全ての方にとって、多少なりとも参考になる部分があるはずです。
私は、「営業の英訳はセールではなく、ソリューションである。」と、社内で言い続けています。営業はただの物売りではありません。お客様の目の前にある課題に寄り添い、一緒に解決方法を考え、提案し、お客様にとってのより良い未来を一緒に創っていく仕事であると本気で思っています。本来、営業とはこんな素晴らしい職種なのです。
本書を通じて、この営業という職種に対する新しい見方や考え方に改めて気付き、ご自身の仕事に誇りを持っていただけるようになれば幸いです。
最後に、本書で説明する営業についての認識合わせです。
一言で営業と言っても、扱う商材が有形か無形か、お客様が新規か既存か、個人か法人か、大企業か中小企業か、スタイルがインサイドセールスかフィールドセールスか、代理店営業かアカウント営業か等で大きく異なります。本書は私の経験をもとにしており、私のお客様のほとんどが既存でお付き合いのある中小規模の法人のお客様であったため、今回はこのようなお客様に対するソリューション営業活動を前提にしております。
以上のことを頭の片隅に入れていただいた上で、お付き合いください。よろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?