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V.A/日本全国御当地ラップ

ご無沙汰です。ぼっちざろっくが面白いですね

大ネタなので早速本題へ。
「みょうな歌唱方法」と認識されていたラップは日本では80年代~現在にいたるまで所謂「コミックソング」的な扱いをされてきた歴史がある。
本作もそんな扱いの1枚・・と思うだろうがちょっと参加しているメンツが実はとんでもない人たちだったので紹介。リリースは91年。

自分にしては珍しく1曲づつ紹介してまいります。

1、沖縄 「イーチャの歌」
沖縄民謡をハウス調にアレンジした内容。歌詞は沖縄方言でまったくわかりませんがちゃんと対訳が記載されています。1曲目から早速ラップでは無い曲です。
THE BOOMの島歌のリリースが92年とのことなので流行りに乗っかったわけではなさそう。
で、こちらの曲ですが、トラックがレジェンド松井 寛。おそらくですが活動初期の作品かと思われます。この手の企画盤&当時の4つ打ちはボトムがスカスカでださいのが多いですが今聞いても充分耐えられる打ち込みになっており流石の仕事です。

2、博多 「FUKUOKA BIG CITY IT'S DREAM」
はい、来ましたラップ曲。タイトルはグランドマスター・フラッシュのNEW YORK NEW YORKからかなと思いましたが歌詞の内容が間逆なので違うかな・・
当時の日本はバブル末期で歌詞もそれを反映させたバブリーでナンパな内容。
で、まずラップを担当しているのがFRESH "TORU"C、福岡のHIPHOPシーンのレジェンドで、おそらくHIPHOP第一世代と思われます。ラップ自体はまだ575調でどうしても古臭く感じますが韻も踏んでおり「HIPHOP」「B-BOY」といったワードも出ています。曲の最後では少し福岡の紹介トークも入っており、「当時っぽい」内容です。
トラックに関してもハウスシーンの超大御所、ajapaiが未だ森俊彦の名義で参加。リコーダーのような上ネタにBREAK BEATが加わりメロウな内容になっています。

3、高知 「ぶいぶいぶいのゴーゴーゴー」
2曲目に続き森俊彦の作曲でこちらは四つ打ちの思いっきりハウストラック。ほぼほぼインストですが曲後半で575調のラップ・・?が乗っています。

4、大阪 「MAMBO #9
ハウスが続きます。Ecstasy Boys率いる天宮 志狼がトラックを担当。(恐らくラップも?)
全く知らなかったんですがこちらの方もハウスシーンの超大御所とのことで。Ecstasy Boysのアルバムをこれを書いていて知ったんですが超かっこいい・・買おう。
タイトルの通り「MAMBO」をサンプリングしており、後半のホーンとギターが鳴ってくる曲展開がめちゃめちゃかっこいいです。ラップは引き続き575調で、内容としては明日どうなるかわからないからとにかく踊ろう、的な宵越しの銭は持たないぜ的な感じ。

5、京都 「花のさんぽみち」
はい、来ました奇曲。「琴乃」と名乗る女性が初恋語りを京都訛りで琴の音色の上で話す・・だけです。
作曲か八橋検校で書いていて誰だ?調べたら、まぁ普通に江戸時代の作曲家で恐らくバックでなっている琴の曲が八橋検校の曲なんだろうなと。

6、名古屋 「RAGGA MAFFIN GO-GO'S NAGOYA」
絶対に入ってるだろうなと思ったレゲェトラック。愛知銘菓のういろうを連呼しながら売れないDJ(レゲェDJなのでHIP HOPで言うところのMC)の悲哀を歌っています。
トラックはDJ GOO K RONCHO、ラップはDADDY DAIKY。調べても全く出て来なかったです。レゲェが日本で流行ったのはHIPHOPよりも早いので80~90年代の音源を掘れば出てくる・・か?
可も無く不可もなく、といった内容です。

7、福井 「東尋坊・越前がに・花らっきょ」
今年出張でむちゃくちゃ苦い&痛い思いをした福井県。
レゲェトラックが続き、タイトルそのまんま名物・名所の紹介をしています。東尋坊→自殺の名所→デンジャーゾーンというわけのわからない文脈をラップしています。
JUNGLE C.N.P.JHAという人はラップ、トラックを担当していますが調べても出てこない・・・

8、 東京「TAKE ME TO THE MAX」
冒頭から「僕の瞳にディープキスしてよ」と比喩でもなんでもないトンデモ要求から始まる東京っぽいR&Bトラックにポエトリーリーディング曲です。妙に生々しい男女のあえぎ声が入っていたり、「東京」って感じです。
眼球舐めと「TAKE ME TO THE MAX」という曲名からどうしてもイリーガルな印象がありますね。
トラックはJ,ISOMURAとFUNK-O-MAX JR、官能的なポエトリーをPOKIという人が担当しているが共に詳細不明。曲自体はこの頃にしてはかなり本格的なR&Bトラックで普通にかっこいいです。

9 仙台「YOU DON'T KNOW WHAT MY TIGHT SKIRT MEANS」
宮城県の女の子はスカート丈が短いという都市伝説派生からのタイトルか?
ギャルっぽい女の子が宮城訛りでラップしている。
トラックはファンク、フュージョンといった曲調で8曲目に続きFUNK-O-MAX JRが編曲で参加、メインはM.“FAKE”OGINOMEという人(恐らくラップも)が参加している。荻野目洋子に似ているのか・・?

10 北海道「道産子ラップ上京バージョン」
最後。ラップはミラクル-K、トラックは1曲目に続き松井寛が担当。北海道から東京に上京した人の哀愁をラップしている「おら東京さいくだ」的な内容。
バイトを探すにあたり「芝浦あたりのCLUBの黒服」という歌詞が時代を感じる。微妙に韻も踏んでいます。


以上、「御当地ラップ」と言う割りにラップ曲が半分ちょっとぐらいという時代を感じさせる企画盤でした。ハウスが好きな人にはささるのかな?
この手のローカルラップCDとしては94年にEAST ENDが「DA,YO,NE」の大ヒットを飛ばし日本各地のローカル「DA,YO,NE」が出たのは有名。それ以降は普通に各地のラップ/HIPHOPシーンの成熟と共に様々なローカルオムニバスが出ています。
ちゃんとしたHIPHOP盤でいうと岡山のYOUTHの超クラシック「地方 B-BOY行進曲」が収録されている「神髄 ~B of the Essence~」やBLUE HARB、TOJINが参加している「RAP WARZ DONPACHI!」なんかがローカルヒップホップの紹介盤として印象的だ。

以上、時代を感じさせるオムニバスの紹介でした。

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