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読書記録 vol.6 『デザインが日本を変える』
■本書の概要
日本の自動車メーカー・マツダのデザイン部長である前田育男氏の「魂動」デザインに込めた想い。「魂動」デザインの誕生から現在を描くなかで、前田氏の「言葉」「ブランド」「組織」「ものづくり」などへの考え方が展開されている。
自動車業界のみならず、「商品」(もの)に関わる人ならば、前田氏の考え方に触れておいて損はない。「本当に作りたいものとはなにか?」「ニーズとどのように向き合うべきか?」、本書を読んで、私はこのように自問し続けている。
■得られた気づき
(1)ブランド
前田氏は、すべての物事を「ブランド」という観点で見るようにしているという。「自分たちはなにか、どう見られ、どう見られたいか」。この前提に立ち、「われわれはこのように生きていく、こうした志でビジネスをやっていく」という宣言が、ブランドを表明することだとする。
理解・共感できるビジョンを掲げ、そこに人々のリスペクトの感情を呼び起こす必要がある。そのうえで、ブランド戦略を構築しなければならない。そして、その一番中核となる部分に「作品」があるとする。
いま、「自社のブランドやビジョンはどのようなものか?」と尋ねられて即答できる人が、日本にはどれくらいいるだろうか。
● 自社の商品(作品)を愛していますか?
● それを使ってどのような世界に変わるのを見たいですか?
このような問いを改めて想起させてくれる。
(2)ものづくり
「いいデザインとは?」そう尋ねられた前田氏は次のように語る。「顧客のニーズや世の中のトレンドに左右されず、作り手が考え悩み抜いた末に導き出したたったひとつの解」であると。
顕在化しているか否かに関わらず、ニーズやウォンツ、トレンドというものは氾濫している。そこに迎合して本当にいいものが作れるのか。前田氏と同じように、私もそうは思わない。
そのようにして生み出された商品を、私はきっと愛せない。「ユーザーの気まぐれな意見をそのまま容認するというのは、企業として何のこだわりも戦略もないに等しい」という厳しい言葉で綴られているが、その通りであろう。
「こんなにも美しく、こんなにも世の役に立つ。そして、こんなにも愛おしい」。作り手とそこに関わる人がこういう気持ちになれる商品(作品)が増えれば、世の中はまた大きく進歩するだろう。
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前田育男『デザインが日本を変える』光文社新書、2018年5月
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