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企業分析#06-2_アクシージア[4936] 22年7月期1Q決算と上期売上予測

■記事公開後の更新内容
2021/12/13 数字の修正。会社売り上げにおける中国EC比率は1Q時点で 73.7%→72.9% ※微差なので2Q終了時での予想76-78%は修正しません。

2021/12/22 「2-1. ➃W11イベントにおける売上高」GMVの前年比に関してIR問い合わせの結果を追記。

※12/22追記:IRに確認した結果、開示されているGMVは売上として計上する前の数値で、2020年のGMVと2020年の売上のギャップ(5,325千RMB)は注文キャンセルによるものと判明。このため、売上予測をするにあたってGMVは使用しない。

1. 第1四半期決算レビュー

決算を簡単に振り返ると、四半期の計画が初めて開示され、1Qはその計画比を売上・営業利益ともに大幅に上振れで着地しました。
営業利益の前年比は宣伝費や手数料のせいでそれほどでもないですが、当面は売上高の伸長にフォーカスするという会社方針があるので、営業利益率の低下は計画通りとみています。

また、今回初めて四半期ごとの計画が開示されました。これをみると1Qは積極的投資により増収減益を予定していたところ、売上の大幅増により増益も達成したことがわかります。最弱の1Qが上振れ着地したことと、W11の成功が2Qに計上されることから、上期と通期の上方修正が確実にあると見ています。

そしてこれは細かいところですが、Taobao他の比率が増えているところに目が留まりました。1Qが相当よかったといっても、その内訳をみると前年同期比でTmallはあまり増えていなくて、新チャネルのTiktok で前年比+140百万円、そしてTaobao他で+188百万円と、Taobaoの伸長が凄いわけです。

これは下の資料でいうボトムアップマーケティングに該当するところ。

TmallがKOLを使ったライブコマースなど、会社主導で巨額の宣伝費を使って売上を伸ばすところなのに対し、TaobaoなどのようなCtoCプラットフォームでは、素直にブランド力のあるものが売れていくという認識です。Taobao出品者は売れない商品をわざわざ頑張って売ろうとしませんので。

つまり、Taobaoで1Qの売上の大部分を稼いでいて、その比率が昨年よりも大きく伸びているということは、アクシージアというブランドがこの1年で大きく成長しているのかも?という想いを抱きました。前年度の4Qもいいです。わずか半年ほどのデータからなので、W11の影響を受けない3Qの実績も見てみないと確信は持てませんが、投資家たるもの、変化の兆しに感度を尖らせておいて損はないかなと。それくらい、前年度との構成比が2期連続して変わったことには目が留まりました。


2. 上期の売上予測の修正

1Q決算発表前に公開した記事において、1Qは保守的予想をしていたのですが、かなり上振れて着地しましたので、1Qの数字を更新しつつ、そのほかの新たな情報をベースに、再び上期の売上高を予測してみます。前回と変わらず、ドンピシャで当てにいくものではなく、下値を知るための保守的な予測になります。

2-1. パラメータの修正

まずは不確定要素の見直し要否を順に確認します。

①1Qを実績値に修正:中国ECを1,043百万円(YonY+20%)と予測し、会社売上高は中国EC比率によって1,391~1,429百万円と想定していた。
→中国ECは1,304百万円(YonY+50.1%)、会社売上高は1,570百万円(YonY+46.0%)で着地

②会社売上高における中国ECの占める割合:事前予想は上期終了時で73-75%
→1Q時点で 72.9% 。前年度より高まっており、これは中国ECが伸びる一方で、中国サロンや日本がそこまで伸びていないことを示す内容。W11で中国EC比率がさらに高まる2Qは、昨年同様この比率が1Qより高まると思うので、少し修正して76-78%としておきます。(この比率を高めると試算される最終的な会社の売上が低します)

③中国EC Totalの売上はわかっている3チャネルの何倍か:W11期間中の「Tmall+RED+Tiktok」売上の何倍が中国ECトータルになるかというパラメータ。前回記事では過去イベント月では1.6倍以上だったのを参考に、今年のW11ではTmallだけ爆増、Taobaoは期待しない方針で保守的に1.3-1.4倍と見積もっていた。
→前年度の4Qと今回の1Qを見てきて、Taobaoが思いのほか強いので1.4-1.5倍とします。これでも保守的スタンスは変わらずです。

➃W11イベントにおける売上高:前年度2Qの資料から、2021年の売上を20,423千元として2022年は前年比+61%の25,748千元と計算していました。ところが今回の資料では2021年のイベントの「GMV」が25,748千元になっていた。それの+61%だから2022年のGMVは41,409千元であると。売上とGMV。確かにニュースリリースではGMVと言っていた。自分がはじき出したいのは売上のほうです。一応2パターン並行で計算していきます。
シナリオ1:前回の記事そのまま(売上=32,881千元) こっちが前年比+61%とは誰も言っていないが、現実的路線はこっち。
シナリオ2:今回出てきたGMVの数字(41,409千元)をベースに再計算
※GMVの数字を会社売上高として考えてよいかはIRに確認中。
※12/22追記:IRに確認した結果、開示されているGMVは売上として計上する前の数値で、2020年のGMVと2020年の売上のギャップ(5,325千RMB)は注文キャンセルによるものと判明。このため、売上予測をするにあたってGMVは使用しない。


2-2. 上期の売上をレンジで推計してみる

それ以外は計算ロジックを前回と同じにして計算してみます。
以下のロジックを今回も適用します。ロジックの根拠は前回の記事を見てください。

・W11期間の3チャネル売上(5.75億円)=11月の3チャネルの売上 と仮定 
・2Q(11-1月)の売上は11月の売り上げを2倍

この考え方で以下の不確定要素をパラメータとします。
②会社売上高において中国ECの占める割合(76-78%)
③W11期間中の中国EC Totalの売り上げは数字のわかっている「Tmall+RED+Tiktok」の売上の1.4-1.5倍
➃W11イベントにおける売上高(シナリオ1:32,881千元、シナリオ2:41,409千元)

そして1Qは実績値で更新して上期の売上高を予測すると以下のようになりました。➃のシナリオ1がベースです。

今回修正した上期の売上予測

※これも前回の記事からの再掲ですが、10月にオープンしたJD.com の売上が未知数ということで、この計算過程のどこにも含まれていないので上振れ要因となります。
※外貨建てレートは1元=17.5円と計算。根拠は前回の記事に掲載。


ちなみに上記試算の下限の場合、中国EC Totalの売上高推移をグラフにするとこんな感じ(黄色が予測)。

中国EC Totalの四半期売上推移


3. 所感

上期の修正タイミングは外しましたが、今年度の売上高に関しては絶好調のようですから、上期と通期の上方修正が確実と思っています。
一方、利益については今はトップラインの成長を重視しているようですので、今後も宣伝費と手数料が重しになり、当面は利益率改善は見込めない雰囲気。
人気が継続し、ブランド力が向上すれば、今ほど宣伝投資をしなくてもTaobaoを始めとするボトムアップのほうで売上が立ち、そこでようやく営業利益率の改善が見えてくるのでしょう。
そんなEPSの成長が見込めるのはまだまだ先であると認識しつつも、皮算用は行って、フェアバリューとなる株価を見定めておこうと思います。

ここまでポジショントークのような感じになっていますが、流行り廃りの激しい化粧品業界で、かつ中国一本足打法の会社なので、主力で長期保有することが難しい銘柄だと思っています。ただ、ここまでの株価推移とPER24倍に過熱感は無いので、今後しばらくは注目したいと思います。

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本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を勧誘するものではありません。投資にかかる最終決定はご自身の判断にてお願いいたします。皆様自身の意思決定に基づいて行われた投資により生じた損失等について、当方は一切の責任を負いません。

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