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命令に従え。結婚して、出産せよ。消費しろ。考えるな。眠っていろ。権力に従え。

夜、昨晩中断した映画『ゼイリブ』の視聴を再開する。

極秘に進行しているエイリアンの地球侵略。そのエイリアンの正体を判別できる特殊なサングラスを手に入れた主人公は、抵抗運動に参加する事になるが……。サブリミナルによる姿なき侵略を描いたJ・カーペンターのSFスリラー。

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そのサングラスは、街の正体を明かにする。命令に従え。結婚して、出産せよ。消費しろ。考えるな。眠っていろ。権力に従え。雑誌や新聞、テレビ、看板広告などを通じて、街の至るところに不気味なメッセージが氾濫している。サングラスをかけると、宣伝広告の看板の写真が、“OBEY”(「従え」)のシンプルな4文字に変わる。その瞬間の衝撃は、なかなか忘れられない。映画のタイトルを忘れても、“OBEY”の映画だ、と言えばきっと思い出すだろう。タイトルだって良いけれど。THEY LIVE。THEYとは誰なのか。多義的だ。

異星人はサンフランシスコ、いやおそらく世界中を牛耳っている。彼らは利益や特典を与えて権力者や富裕層を懐柔し、人間同士の経済格差を促しながら、くだんのメッセージでサブリミナル効果よろしく人々を洗脳し、人々の消費活動をどんどん回していく。彼らの目的は「経済活動」だ。消費尽くしたら次の星に移る、地球でもう3番目らしい。現実的な動機だ。壮大な展開を期待しながら見ると、最後は呆気にとられる幕締め。え、これでおしまい?

命令文の構文が人に与える圧の力を再確認する映画だった。最近話題になっていた電車広告に対するTwitterのつぶやきも彷彿とさせる。

TSUTAYAから借りたままのDVDがあと3本ある。風邪がしんどいので明日まとめて観ることにする。代わりに『路上の人』の続きを少し読むと、なかなかピリッとした台詞に出会う。

「おれは楽観主義者だ。人間に関する知識をもちすぎた厭世主義者のことを、楽観主義者ということをご存知か」

堀田善衛(著)『路上の人』新潮社,P.169

せっかくの金曜の夜が、淡々とすぎてゆく。

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