【読書】碧野圭「凜として弓を引く」
こちらで備忘録を兼ねて、読んだ本について記しておこうとおもいます。
今回は碧野圭の青春小説「凜として弓を引く」です。
KindleUnlimitedで読み放題です。
主人公は、名古屋から引っ越してきたばかりの高校入学直前の矢口楓(やぐち・かえで)。入学式までの春休み、暇を持て余して散策していたところ、武蔵野の神社敷地内にある弓道場で、その姿に興味を引かれます。
そこで出会った少年に誘われて、春休みの間、弓道体験会に参加することに。いったん体験レッスンを受けるも、楓はもともとテニス部で活動していたので高校入学後も、そこに入ります。
しかし、そこでの違和感や弓道の魅力に触れることで、弓の道へ。といった感じです。
いわゆる主人公に才能が有って輝かしい栄光を、というわけでもなく、あふれる情熱をもってして努力の末に勝利を収める、というわけでもない、ありがちなスポーツものとは一線を画すものです。
物語は淡々と静かに美しく進行していきます。
本作品は「弓道」をモチーフにしていますが、楓はいわゆる「道」を通じて、弓に限らず、すべてにおいての気づきを得ていきます(自分で描く小説でも、よくテーマにしています)。美しく生きるための姿勢ですね。
友情だったり、ほのかな恋心だったり、学びだったりの中で楓は静かにゆっくりと成長をしていきます。
わたしは弓道について無知でしたが、初心者の楓とともに基礎から知識を学ぶことができました。
文体も読みやすく、優しい風景が浮かぶ描写で心地よく読むことができました。リアリティも、楓のひかえめな成功体験もありますが、エンタメ性もあるのでそのあたりはちょっとフィクション(ご都合)だな、という要素がちょっとありましたが、佳作です。
気持ちよく、さらっと読めるのでぜひ。
続編もあるようです。
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