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NovelJam2024 参戦記④

 三日間(実質二日!)でチームを組んで面白い小説を描き上げ出版まで行ってしまうという狂気の小説執筆大会「NovelJam(ノベルジャム)」。

 その①その②その③に続いての参戦記④です。

 ランチミーティングを終え、会場に戻ります。
 ん? なんだか夜の香りがする気が……。
 ぱっと目線を移すと酒瓶を抱えたチーム「もりた組」組長のもりた氏の姿が目に入ります。うへぇ……。からまれたらヤだなあ……。目が合ってしまいます。
「さわさん、うぃーす!!!! ゲラゲラ!」
「……あの、まだ日が高いと思うんだけど? 目が座っちゃっておりますが?」
「いやー、初日の! 編・集? なんて! やること、ない、っす、よ!!」
「……どんだけ呑んでるんすか?」
「まーだ1.5リッター! くらい!」
 酒瓶を見ると白ワインのようです。おそらくストゼロよりも高いアルコール度数1.5リッター(のちに4リッターと判明。致死量……)太宰治か中島らもか西村賢太か。ひいきめに見れば文学的ではありますが、ドライクリスタルの時代からは逆行……。
 ちらりとフレッシュな未成年チャカノリさんを見やると、なんともあじわい深い目をしていたので、R18、いやR20の光景から微笑みながら離れます。

 はい、チーム名も決まり、著者二名のプロットが固まりつつあるので席にもどってミーティングです。チャカノリさんはだいぶ方向性が定まっているっぽく(あのワード群で!?)、編集の鈴木まおさんとブレストを始めます。
 いっぽうわたしの方は、まだぼんやりとしか景色が見えておらず、スタートでしくじるとあとあと大変なことになるかもなあ、と逡巡しまくっているあたりがスタートでしくじっているというトートロジーを醸し出しているのでした。
 NovelJam2017のときは初回だったこともあり、スタートからエンジンをかけていきましたが(担当編集Nさんが筆者Yさんにつきっきりで放置されてやることがなかったので筆を進めるしかなかった説もあるようですがね!)、それ以降は頭の中でまとまるまでは、数行程度の箇条書きでプロットを描いてぼんやり眺める、というのが初日のルーティンでした(よろしくないので決してマネしないように! 編集さん泣きますよ!)。

 デザイナの石川さんから「どんな感じにしますか?」と尋ねられたので、ディスコでプロット(数行の箇条書き)を送ります。すみません……、舞台がドイツなのとヴァイオリン出すくらいしか決まってません……。

 鈴木さんもこちらを気にかけてくれ、進捗確認やブレストを行います。とりあえず、ざっくり起承転結の構成、予測文字数などもまとめて共有しました。
「澤さん、ヴァイオリンって一般的な表記ですか?」
「ええ、検索クエリ数もバイオリンよりヴァイオリンの方が多いので」
「でも、バイオリンのほうが目にやさしいというか……」
「! ……アイサー! そうします」

 そうです、今回の執筆テーマのひとつは、独りよがりにならずにリーダビリティを向上させること。チーム名を「Drei(ドライ)」にしようなんざ、ハナにつく指向性を矯正する必要があるのです。わかりやすさ至上主義でいきます。
 てなわけで鈴木Dご指摘のもと、本作は「ヴァイオリン」ではなくすべて「バイオリン」表記となっております。ただまあ描き進めるうちについ手グセで何回も「ヴァイオリン」になったりするのですが、最終的にはCtrl + Hで難を免れました。
 タイトルも決まりました。「Meister(マイスター)」。名匠を意味するドイツ語です。これはファーストインプレッションでつけたのですが、結局イキママにしました。思い返すと毎回そうでした。

 石川さんが表紙のイメージを見せてくれました。おお! あの超断片的なプロット、というか箇条書きからここまで完成度が高いとは
 そういうわけで初日の時点で8割がた完成形にまで仕上げていただきました。ありがとうございます! 静謐ながらも熱を内包したような装丁。うつくしい!(なお当方の進捗は0.3割くらい!)
 
 そんなこんなで21:00。初日終了となります。
 ここまでで決まったことは
「タイトル:Meister(マイスター)」
「バイオリン表記に統一」
「舞台はドイツから」
「主人公はバイオリン職人」
 ……半日でこんなもんです。

 あともいっこ決めたことがありました。
 これは編集鈴木さんに伝えたかどうか失念してしまいましたが、主人公を鈴木まおさんと同年代の20代日本人女性にすることにしました。担当編集さんが鈴木さんでなければ主人公は男性になっていたことでしょう

 わたしには20代日本人女性のリアルな気持ちがわからないので、作品の編集を通じて、主人公の考えや心情の描写などをジャッジしてもらおう! せっかくのチャンスだ! というわけです。ここ最重要でした

 これ、もしもクジ引きで自分が「もりた組」構成員だったら、どんな方向性になっていたんだろうか、それはそれで純文学っぽくなっておもしろいかも、などとよぎりましたが、同時に背筋に冷たいものを感じたのでした……(※ 思ったこと、感じたことしか描きません)。

 ※ 参考までにもりた組の初日ランチがこちら(手前の右奥で見切れてるの白ワインデキャンタっスよね……???)

わんぱくという言葉では軽すぎる

 その⑤へつづく

 NovelJam2024で執筆した「Meister(マイスター)」は以下より購入可能です。紙本買うと電子版もついてくるのでお得です。紙本お持ちいただいたらサインするのもやぶさかではないですよ!

 この機会に過去の参戦記もまとめておいたので、ご興味あればどうぞ!

 さて、わたしの自著、ギター小説「440Hz」シリーズもご高覧いただけますとうれしいです。こちらはKindleUnlimitedで読み放題です!

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