しょーゆチーズチャーハンの思い出
私には2歳上の姉がいる。
2歳差というのは、なかなか微妙な関係だ。
1歳差ならほぼ友達みたいだし、3歳以上も上なら学年が被らないので先輩感もでる。
2歳というのは、友達みたいにもなれないし、先輩感もビミョーな立ち位置だと思う。
それに、2歳差だと結構比べられる。
幸い両親が比べてくることはなかったが、周りの友達にである。
周りの視線がうるさくて姉にあたったことも多々ある。
まぁ姉も私のことを煙たがってたと思う。
友達だけと遊びたいのに無限についてくるやつ。
姉はインドア派なので、延々と隣でいっしょに自由帳に絵をかいていた。
そんな2人の関係は、私の思春期と反抗期を迎え、一時期超悪化していた。
そんな時期に、姉に絶賛されていたチャーハンを作っていたなぁと、ふと思い出した。
それがしょーゆチーズチャーハンだ。
しょーゆチーズチャーハンとは?
しょーゆチーズチャーハンなんてレシピはないし、正式名称もない。
これは幼い頃の私が昔適当につくっていた焦げ焦げチャーハンのことだ。
レシピはこうだ
ご飯を炒め、適当に醤油を入れて、混ざったなって思ったらチーズを入れる。
最後火を止める前に卵を入れてぐちゃぐちゃにしたら完成だ。
おそらく小5か小6のころ作ったはず。
私の反抗期がピークの時期。
誰に対しても口答えしていたはずで、姉ともよく喧嘩していた。
そんななか、姉は私のこのチャーハンが大好きだった。よく、あれまた作ってやと言ってきてた。
そんなに美味しいか?と言われたら多分そうでもない。お米は焦げてるし、醤油だけの味。今なら絶対みじん切りの玉ねぎは入れたいくらい何も栄養がないご飯。
それなのに姉はニコニコして食べていた。
何を考えてあんなものを作っていたのだろうかと、記憶の海を泳いでみると当時の自分が蘇ってきた。
このチャーハンのきっかけは、さくらももこさんの旅の本に出てきた、ナシ・ゴレンを食べてみたい!と思ったからだ。
私はさくらももこさんが大好きだ。
ちびまるこちゃんも好きだけど、エッセイが大好き。お小遣いを握りしめて1冊ずつ古本屋さんで揃えていった。
そのなかでも特に、旅のエッセイを好んで読んでいた。
さくらももこさんの観察力、描写力、そしてお腹がよじれるくらい面白い文章!
宝石を見に行く話を読んだら自分も一緒に宝石を見ている気分になるし、スペインで一緒に散歩した。
私の旅行好きの源は、さくらももこさんだ。
そのなかで、たしかバリのナシ・ゴレンを食べた話があったと思う。(記憶が曖昧で間違えてたらごめんなさい)
私の記憶では青空の下、プールサイドでホテルのシェフが作ってくれたような気がする。
それがとても美味しそうで、作ってみた。
すると、姉がはまった。
そんなカラクリだ。
全然ナシ・ゴレンじゃないし、茶色なだけだし、目玉焼きでもないし。
完璧な私のイメージだけで作られた、私の家族だけにしか通じないご飯。
今、私は夫と二人で家族を築いていってるけどこのチャーハンはもう作れない。
色々アレンジしたくなるし、美味しいと思えないからだ。
これは、あのころの純粋さや、こうだ!と思ったら突っ走る行動力、無知故にできた味。
そしてそれを喜んでくれた姉。
もう戻れないが幸せだった、切なくて甘い私の宝物の記憶だ。
◎こぼれ話◎
バリを夢みた幼少期を経て、2018年ついにバリに降り立った。
色彩豊かでご飯も美味しくて最高だった!
また旅行したい国の1つ。