明日のパンを用意してくれる人
翌日の朝ごはんのパンのことを、明日のパンと呼ぶことは関西特有のものらしい。
年末の集まりでこのことが話題になった。
「明日のパンって関西だけらしいでー!」
「スーパー行ったときに明日のパン買っとこうとか言うよなぁ」
と盛り上がり、私もそうだよなぁと心のなかで頷いていた。
だけどふと疑問が生まれてきた。
私の母は関西の人ではないので、明日のパンって言われたことないのじゃないか?と。
念のため、姉に確認するとそんなん言われたことないと返事がきた。
でも私のなかには、明日のパンいる?と聞いてくれる声が残っている。
なんでだろうと考えていると、数日後、仕事帰りの夫から電話がかかってきた。
「スーパー寄るけど、明日のパンいる?」
🍞🥐🥨
夫は仕事の帰りが遅い。
仕事終わりに、閉店ぎりぎりで半額シールの宝庫になっているスーパーに行くことが1日の楽しみらしい。
毎回ではないけど、明太フランスパンが安くなっていたら夫はよく買ってきてくれる。
また、自分の夜食用に買ってきた甘いパンを、明日のパンにしいやと言って分けてくれたりもする(これは知らないうちに、欲しがりの目で圧力をかけているからかもしれない!)
私は元来の性格なのか食い意地がはっているので、惜しげなく食べ物を差し出すことができる夫を尊敬している。
私はじゃがりこ一本差し出すのにも躊躇してしまうのに!
🍞🥐🥨
夫の優しいところのひとつに、ご飯の心配をさせないでくれるところがある。
この一文を書いて、ふと違和感。
わしゃ犬なんか?
・・・気を取り直して、説明すると
夫は仕事の日は家でご飯を食べないので、本来なら炊飯器を使う頻度は私より少ないはず。
だけど考えてみると、全く逆だ。
夫の方がご飯を炊いている。
それは自分で食べる用ではなく、私の朝ごはんや、お弁当のためだけにだ。
帰ってきてお風呂を入ったあとに何も言わずご飯をセットしてくれて、予約タイマーをするために何時間?とだけ聞いてくれる。
休みの前日の晩は、明日ご飯いるんか?と聞いてくれる。
また、お米をネット通販で買ってくれるのでご飯を炊くついでに在庫チェックもしてくれている。
その他にも外食したら何でも食べやと言ってくれたり、休日は炊事担当になってくれたりする。
そんな夫の行動は、私の心をぽかぽかさせてくれる。
一人暮らしは自由だけど、自分のことは自分でしないといけない。
そんな経験をしたことで、自分以外の人が私の空腹を心配してくれて、満たそうとしてくれるのを嬉しく思ってしまう。
明日のための生きるエネルギーを惜しみなく与えてくれることを、愛と呼ばず何と呼べばいいのだろうか?
🍞🥐🥨
そんなことを年末から考えてて、夫を見直すキッカケになった。
昨年の今頃、仕事第一の夫とすれ違った時期があった。
そのころは何て自分勝手な人なんだろうと怒っていたけど、振り返るとその時からご飯だけはしっかり食べさせてくれていた。
なんて分かりづらい愛情表現なんだろう。
彼は彼なりに、日々愛を積み重ねていってくれていたのだなぁ。
これからまだまだ生活を共にするなかで、そんな優しさを忘れないようにしていきたい。
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