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もったいないオバケの話

その子は、私が幼い時に母から紹介された。苦手な食べ物を残そうとする私に、
「もったいないオバケがでるよ」と。
その日から、私の周りにもったいないオバケがついてくるようになった。

***

お風呂場から、夫が叫んでいる。
「歯磨き粉、新しいのだして~~!!」

負けじと大声で言い返す。
「そっからまだ10日は使えるから我慢し!」

皆さんは、歯磨き粉が無くなってきたらどうするだろうか?
私は、まず上から徐々に押し出していき、ちょびちょび使う。これで5日は使える。
ぺらっぺらになってきたら、今度は振る。
10秒以上降ったら、また新品みたいに出てくる。
これをまた3日続けていると、夫が新しいのをだせとせっついてきたが、無視する。まだまだ使える、振れば使えると呪文のようにつぶやきながら、歯を磨く。もったいないオバケが隣でゆらゆら揺れている。

***

12日目。

そろそろキツイ。今日は寝坊して、振ってる暇などないのだ。幸い、夫はまだ寝てる。ペラペラ歯磨き粉に屈した姿を見せたくないので、そろりそろりとストックボックスに近づき、新しい歯磨き粉を取り出し、そして歯ブラシの上にだした。

めっちゃ楽~~~!!!
軽くボディに触れただけで、すぐ出るのありがたい~~~!!!

ルンルン気分で歯を磨いた。
急に新しく出てきた歯磨き粉に、夫は特に何も言わず受け入れていた。

***

その後、そのペラペラ歯磨き粉がどうなったというと、まだ洗面所の住人だ。
彼には最後に体をハサミで切られて、古歯ブラシと一緒に、洗面所掃除の一員として頑張ってもらうために再雇用した。

もったいないオバケとの付き合いは、まだまだ続くようだ。

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