可愛い子に憧れて
女だって、可愛い子が好きだ。見ているだけでテンションが上がる。多分可愛い女の子にあからさまに鼻の下を伸ばしている男が嫌なのであって、皆本当は女の子自体は好きなんじゃないだろうか。
私は吉岡里帆が好きだ。吉岡里帆を好きと言えてしまえる自分が好きだ。というのは嘘で、本当に好きだ。何か細いし、歌うまいし。いつも火照っているのかというくらい血色がいいというか何というか、京都出身なのもいい。「女の子」感がいい。とにかく本当に好きだ。映画の歌もダウンロードしたくらい。
それはさておき。
私はその昔バレエを習っていたこともあり、体が柔らかかった。しかし小学生の頃よく家に遊びに来た2つ上の可愛い女の子は体が硬かった。
横に並んで長座体前屈や開脚をした時、その子がペタっと体全体を床につけることはなかった。
私はなぜか思った。「体が硬い方がカッコいいのではないか」と。小学校高学年になる前にバレエを辞めた私は、一切ストレッチをしなくなった。柔らかいことがいいとされている中で硬いということ。そのギャップ。周囲を気にせず、少し斜めから、物事を面倒くさがりつつ過ごすこと。小学生ながら、早過ぎる厨二病のようなものにかかっていたのかもしれない。案の定、生まれつき柔らかいと思っていた体はノーストレッチと成長に伴いガチガチになってしまった。
その後可愛い女の子はダンスを始め、熱心にストレッチをして私より柔らかくなっていった。
人が良しとするものの逆を行きたい、という時期だった。これまた小学生の頃、学校も習い事(エレクトーンのグループレッスン)も同じ可愛い女の子がいた。
その子は堀北真希に似ていた。ちなみにさっきの年上の女の子は、志田未来を経て最終的には大島優子に似ていた。
話を戻す。真希ちゃんは、その美貌に似合わず侍のような歩き方だった。つまるところガニ股だった。私はそのギャップに鼻血を垂らし、自分も真似しようと決めた。軽く足を開き堂々と、それでいて少しかったるそうに歩く。決まった、と思った。この歩き方をしばし続けた私は、その後中学で「ゴリラウォーク」と評された。
可愛い子が「らしからぬ行動」をしているから良かったのだ。行動部分のみ私が真似たところでギャップは成立しないのだった。あゝ、虚しや。
また番外編の厨二病として、「A型っぽいね」「几帳面だね」と言われるのがひどく嫌で、わざとガサツに振る舞い、プリントをぐしゃぐしゃに鞄に入れている時期があった。その行動を通して、「私は神経質なんかじゃない。大らかな人間なんだ。ちっちゃいことは気にするな、それワカチコワカチコ〜」と叫んでいた。
習慣というのは恐ろしいもので、私は本当にガサツになってしまった。
可愛い女の子に憧れ、硬い体とゴリラウォークを手に入れたガサツ女。
安易に人の真似をするとこのような末路を辿ることになる。どうか皆さんお気をつけて。