アルバスという光を届けてくれた人へ。
ダンブルドアの俳優さんが亡くなられました。
享年82歳。肺炎を患っておられたようです。
これはスネイプ先生役の俳優、アラン・リックマンさんに続き、かなりショックです。悲しくてたまらない。心にぽっかりと大きな穴が空いて、その隙間を冷たい風が流れっていってしまうような。大切な人が逝ってしまいました。
唯一、心の底から手放しで尊敬している人物
直接お会いしたことはもちろんないけれど、彼の演じたダンブルドア、もとい「ハリーポッター」という作品は、自分の子ども時代を象徴づけるような大きな存在として、今でも心の中に住んでいます。10周は本を読み、独自の呪文を開発してノートに書きこんだり、セリフをそらんじて言えるようになるまで映画を観たり…
ハリーが夏休みの間に夜な夜な布団に籠って宿題をしていたように、自分も布団に隠れてハリーポッターをよく読んだものでした。
そんな大好きな作品の中でも、とりわけ自分はダンブルドア先生をとても尊敬していたし、心から敬愛していました。自分の生涯で、唯一心の底から尊敬できる対象だと言えるほどに。
まずは、心からご冥福をお祈りいたします。
画面越しでしかお会いしたことはありませんでしたが、あなたは私の人生に素晴らしい輝きを与えてくれました。
それは、どんな暗闇の中でも決して消えることのない火であり、道標であり、拠り所であり、友人のようなものです。
ダンブルドア先生と、それを完全に演じ、テキストの世界の住人だった存在を視覚的に認知できる存在へと昇華して、素晴らしい世界観を、そしてその人物像と言葉の数々を再現してくださったマイケル・ガンボンさんに、心からの深い感謝を送りたいと思います。
そして手向けとして。
大好きなダンブルドア先生が遺した、「老い」や「死」について数々のすばらしい言葉を紹介したいと思います。
暗闇の中にいても、幸せは見つけることができる。光を灯すことを忘れなければ。
とても有名な台詞です。この「きちんと整理された心」を持つことは、自分の人生目標、指針のひとつにもなっています。
大好きなセリフです。これだけ悲壮なことが立て続けに起きる世界では、私達は失ったものを数え、嘆きがちですが、だからこそ尚更、今もなお現在進行系で愛なくして生きている命へ意識を向けるべきだということを教えてくれます。
突き刺さる言葉ですね。自分の将来の理想の老人像です。こんなおじいさんになりたい。世界は常に子どもたちのためにあると心から思える人間でありたい。一切の迷いなく、自分の体を差し出せる謙虚さを自然体で持つことができるような。
「謎のプリンス」に出てくる台詞です。死を新たな冒険と捉えたところから関連して持ってきてみました。
叡智とユーモア、繊細な言葉のセンスが光る、茶目っ気溢れたダンブルドア先生の粋な言い回しです。
解説は不要かと。こんなにも沁みわたりながら人を大きな絶望や苦しみの淵からそっと掬い上げて、静かに奮い立たせることができる言葉はあるでしょうか。迷ったとき、自分に不甲斐なさや情けなさを感じた時に何度も何度も何度も反芻しています。
最後に
これはマクゴナガル先生の言葉ですが、ダンブルドアが亡くなり、みんなが悲しみに暮れる中で出てきた素晴らしい台詞です。
家族との悲しい歴史を機に、その生涯を愛や気高さに仕えたダンブルドアの人間像が伝わってきます。
いろんな悲しいことが立て続けに毎日起こります。社会に立ち込める暗雲には全く解決の兆しは見えず、暗くて不安な気持ちが常に付きまとう。戦争はなくならず、差別はなお蔓延り続け、人々は不当な格差と貧困にあえぎ、自然は破壊され続け、生き物の尊厳は冒され続けている。そして、今日もどこかで誰かの大切な人が不条理に死んでいく。
でもそんな暗闇の中だからこそ、光を灯すことを忘れないようにしなくては。どこかの幸福論を唱えた哲学者も言っていましたが、認識はいかに悲観的であっても、意思をもって楽観的に生きようと、楽しみや歓びを見出そうとすることこそが大切な姿勢だと強く思います。
改めて、マイケル・ガンボンさんに心からの深い感謝を。
私たちにダンブルドアを届けてくれてありがとう。
どうか静かに眠ってください……
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