見出し画像

JF7のアーセナル移籍報道についての雑感22/23 Winter ver.

はじめに

カタールで行われているワールドカップ。それは国同士の威信をかけた戦いであり、世界最大のスポーツイベントでもあります。選手にとってワールドカップでプレーすることは名誉なことであり、一生の財産になることでしょう。
しかし選手にとって、ワールドカップというのは同時にステップアップのチャンスとなる転職活動(サッカー選手という職業は変わらねーんだからそんな表現使ってんじゃねえよ)の場でもあります。活躍すれば、ビッグクラブからのオファーも舞い込みステップアップできる。また、活躍して移籍することで所属クラブでの苦悩の日々から解放されるかもしれない。

そう、今回は後者に該当する人物、ポルトガル代表の11番であるジョアン・フェリックスの話題です。後で詳しく述べますが、アトレティコで決して順風満帆であるとは言えないなかでワールドカップでの活躍を見れば獲得に名乗りを上げるクラブも多数現れるでしょう。PSG、チェルシー、マンチェルスターユナイテッド、バイエルンに続いてアーセナルも噂が出ております。
そんなアーセナル移籍報道に対する僕の考察と思いを今のアーセナル、アトレティコ、フェリックスの置かれた状況を踏まえながら書いていきたいと思います。

また、2022年2月にあったフェリックスの移籍報道について考えたnoteがありますし、そちらもよろしければ参照していただくと幸いです。

アーセナル側の視点

ジェズスの怪我

フェリックス移籍報道について具体的な記事を最初にあげたMatteo Moretto の記事を上に示しました。アーセナルもPSG、チェルシー、バイエルン、マンチェスターユナイテッドと並んでフェリックスの獲得候補とされています。また、ここにはないですがアストン・ヴィラ獲得も興味があるとの報道もありました。(いや、お前らはそれより前にチャンピオンシップに降格してるはずだろ)
アーセナルがフェリックスを獲得したい意図としては、大前提にあるのがガブリエル・ジェズスの長期離脱によるCFの穴埋めです。フェリックスを獲得することで、ジェズスが担っていた役割は守備面以外ほぼカバーできると言っても差し支えないでしょう。むしろ、チャンスクリエイトの質の高さ(ジェズスももちろんクオリティ高いけれど)やエリア外からのパンチのあるシュートはジェズスにはあまり見られないところではないでしょうか。しかしながら、守備面の強度、非保持局面での献身性はジェズスに比べると落ちてしまいます。
これは個人的な意見になりますが、エディ・エンケティアだけにこのタスクを背負わせるのは無理があると思います。彼には彼の良さ、ジェズスと違った良さがありますし、ストライカーとしての本能は素晴らしいものがありますしなにより成長している。スタートで使っても悪くない選手であることは理解しています。ですが、なによりも今季のアーセナルの攻撃面を支えたのはジェズスの多大な貢献があったからだと思います。アーセナルが首位で前半戦を終えることができたのも彼だけではないにせよ、ジェズスは間違いなく重要なファクターでした。フェリックスなら、ジェズスの非保持局面での貢献度は薄まると言えど攻撃面での貢献度は同等、もしくはハマった時はそれ以上を期待できるかもしれません。そしたらエンケティア延長した意味なくね?っていう至極真っ当な疑問が湧き出るグーナーもいらっしゃるとおもうので、この話は次の財政状況と絡めながら述べていきたいと思います。

財政と優先事項

そもそも現実的に考えてアーセナルがフェリックスを獲得する金銭的余裕は存在するのでしょうか。アーセナルの冬の移籍市場での予算は£50m(€58m)ほど、もしくはそれ以上と言われています。対して、先ほどのMoretto の報道によれば€130~140mほどをアトレティコ側は要求しているとされています。仮にアーセナルの冬の移籍市場での予算とアトレティコ側の要求が真実だとしたらなかなか厳しいと思います。それにアーセナルのプライオリティはCFではなく、ウィンガーと中盤です。
オーランドシティのファクンド・トーレス、レスターのユーリ・ティーレマンス、パルメイラスのダニーロがメインターゲットとされており、彼らは三者とも補強ポイントと合致しています。仮にジェズスがシーズンアウトだとしたらアーセナルがフェリックス獲得に本腰を入れても僕は不思議ではないですが、3ヶ月間の離脱にとどまったのはアーセナルにとって不幸中の幸いとも言えます。しかもその期間だけならエンケティアの起用は確実にあるでしょうし彼の更なる成長に期待し、14番という背番号にふさわしい活躍を期待する可能性の方が高いとは思っています。そうでなかったらアーセナルが残り半年しか契約がなく決して超主力級の活躍を見せてくれていたとは言い難かったエンケティアに対して延長契約をまとめ、14番という背番号を彼に与えることはなかったでしょう。
しかしながら、エンケティアにもアクシデントがあったり思うような結果が出せないのならフェリックス獲得レースに参戦することも考えられない話ではないですが。(そんなことより早くサリバと6年くらい延長契約結べよ)

アトレティコ側の視点

シメオネとの関係性

フェリックスとこの噂について、避けて通れない話がシメオネとの関係悪化です。そもそも移籍当初から「シメオネの戦術にフェリックスが合致するのか?」という話題は尽きませんでした。確かに彼が100%シメオネの戦術に合致していたとは言い難かったのは事実ですし、フェリックスの適応力にも少なからず問題はあった可能性はあります。フェリックスも適応に努力したとは思います。とはいえ下手くそながら、時に批判を受けながらも守備に奔走する姿はもちろん覚えています。また、大事な試合の前に勝手に国内のライバルクラブと交渉をして移籍したアントワーヌ・グリーズマンからの脱却、新しいアトレティコを構築していく上でフェリックスの存在は大きかったと思います。会長やCEOもフェリックスは未来だと言っていましたからね。
しかしシメオネは結局グリーズマンを呼び戻し、過去の戦術にすがりアップデートもできずにフェリックスをいわば殺してしまったと思います。いまだにビルドアップは選手任せ、攻撃のデザインも前述のグリーズマン、トマ・レマルロドリゴ・デポールなどのクリエイティブな選手にお任せですし、かつてほどのディフェンスを維持できないのに賞味期限切れのサッカーを繰り返しています。
優勝したシーズンは前半戦こそ主役級の活躍ができたけれども怪我もあって、絶対的スタメンになれなかった。21/22こそは自分が主役となりアトレティコを引っ張っていかなくてはいけない。プレシーズンは今年も怪我で行けないけど、CLが始まりプリメーラも本格化する9月から本領発揮して今年こそはアトレティコで自らの価値を示してプリメーラの連覇、CLでもできるだけ勝ち進む原動力になってやるぞ」と意気込んでいたであろう2021/8/31のフェリックスからすると、グリーズマンの復帰はあまり好ましいものではなかったでしょう。シメオネの愛人はグリーズマンですからね。そんなこともありながら、今季もフェリックスをベンチに置いておいて使わないで負けた試合、試合の展開が決まっていてフェリックス1人だけ気を吐くも奮闘及ばず不甲斐ない結果に終始したチーム、もといそのチームを指揮するシメオネに対して不満を持たないはずがありませんからね。

とにかくお金がない

さて、話は変わってアトレティコの財政状況について述べていきます。
今年の夏の移籍市場での立ち回りからも察するように新規の獲得は€20mでウディネーゼからナウエル・モリーナアクセル・ヴィツェルをフリー、セルヒオ・レギロンをトッテナムからのローンにとどまりました。至上命題とされたCBの補強はまさかのヴィツェルのコンバートでやり過ごすとは思いませんでしたが。
そう、お金がないのです。これは2021年1月の報道であり、古い情報であることは間違いないのですがその時点でのアトレティコの借金は莫大なものであることは以下のツイートでお分かりいただけると思います。

また、このようなニュースもありました。

€50mを一気に売るとなると、誰かが移籍する必要があります。最近マテウス・クーニャとフェリペがウルブズに移籍する報道も目にしますが、彼ら2人を足しても€50mには遠く及びません。売るとしたらフェリックスを1人売るだけで€50mはおろかそれ以上の収益が得られますし、借金返済や別のポジションの補強をすることも可能です。
アトレティコの財政状況はここまで厳しくなったのは、以下の要素が絡んでいるのかなと思います。

  • コロナウイルスの蔓延による収益の大きな減少

  • 無視できないシメオネの給料

  • ここ数年の移籍市場での立ち回りの失敗

1つ目の要素はどのチームも大なり小なり影響受けてるからここでは割愛します。
2つ目の要素は、間違いなくアトレティコの首を絞めていると思われます。2022年春の情報ですが月給€3.33mという給料です。年俸換算して€40mです。どう考えても高すぎます。ペップですら月給€1.9mですからね。おかしいんだよな。解任するにせよ、アホみたいな違約金がかかるので解任するにも金が必要。今すぐにシメオネが辞任することが理想ですが、そんなことが起こる確率はまあ0でしょう。フロントも置物なので、コルチョネロスはシメオネとその愉快な置物と一緒に2024年まで少なくとも一緒に沈没船に乗船する必要があります。ああ、辛すぎる。
3つ目の要素は人によって評価が分かれると思われます。ですが、僕自身少なくともアトレティコがメルカートでの動きが近年成功しているとは思いません。
近年という括りを2018夏からとすると大成功したのはキーラン・トリッピアー、マルコス・ジョレンテの獲得くらいでしょうか。レイニウド・マンダヴァも期待を上回る活躍を見せてくれていると思います。ルイス・スアレスも21/22後半は厳しかったと思われるものの、20/21の優勝は彼の貢献は計り知れないものでしたしメンター役としても素晴らしかった。個人的にスアレスに対していい印象を持っていなかったのですが、ここまで印象が変わったのはスアレスだけですね。売却面でもリュカ、ロドリ元死刑囚グリーズマン、トーマスの高値での売却は経済的側面を考えれば成功でした。
しかしながらジョレンテとトリッピアー以外の獲得オペレーションはどうでしょうか。ニコラ・カリニッチ、レマル、サンティアゴ・アリアスジェウソン・マルティンスマリオ・エルモソレナン・ロディ、フェリペは当時の価値との比較や活躍度を考えれば失敗の部類に入るでしょう。ロディはまだノッティンガム・フォレストで活躍してくれれば高く売却できる可能性はあったり、まだ帰還する可能性はありますが、どうでしょうか。個人的には失敗の部類かなと思います。アルバロ・モラタもプレー面での評価が分かれるとは思いますが、後述する売却面での失敗は大きすぎるかなと思います。
先ほど売却面での成功を述べましたが、その裏で失敗した、また後悔した取引も数多く存在します。なんといってもディオゴ・ジョタの売却は今考えればクレイジーですし、サウール、モラタの完全売却失敗はアトレティコの財政状況を苦しくした要因です。また売り時を逃したという面ではホセ・マリア・ヒメネスも挙げられますが、彼に関しては結果論なのかもしれません。

そこで一発逆転を狙うのがフェリックスの売却オペレーションです。アトレティコが現状設定している値札はMorettoの記事によれば€130~140mです。この額から読み取れるのはベンフィカに払った€126mの回収ですね。流石にこの金額を冬に提示できるチームはそうそういないと思いますし、実際に取引が成立する時点では€100mが関の山なのかもしれないなとも思ってます。そもそも今の市場価値が€50mしかないのにどうやったらそんな額で売れるんだ?と思ってしまいます。流石に今回のワールドカップでの活躍で売却額€50mということはありえないでしょうけれど。またチームに今不満分子をこれ以上残しておくのはよろしくないという考えもあるそうですね。

フェリックス側の視点

とにかくアトレティコから出て行きたい!

なんとも過激な小見出しですが、まず彼のツイートのいいね欄をごらんください。

フェリックスが発現したと思われる部分の日本語訳は「ここ(ポルトガル代表)でのプレーとクラブでの違うからさ… 条件が整えば、物事はより良くなるんだよ」2022/12/7での出来事

どうでしょうかね。心はメトロポリターノになさそうですね。とにかくアトレティコから出たがっていますし、CEOのヒル・マリンもそういった内容を認めていますからね。ここから事態が急転して「シメオネとフェリックスが仲直り!」みたいな展開も想像しにくい。となると、移籍は既定路線ですかね〜
先ほど述べたグリーズマンの移籍もなんだかなあって感じですね。個人的にはグリーズマンの獲得は大反対でしたし、今でも正直なところあまり良かったとは言えないと思います。過去に戻ってますから。今結構良いけどさ。

どこへ行く?

実際移籍先を選ぶとしたら、どこがいいのでしょうか。今回はMoretto の報道で挙げられた5チームに絞って簡単に話していこうかなと思います。アーセナルについては先ほど述べたのでほとんど触れませんが、最後に少し触れようかなと思います。

まずPSGについて。これは代理人であるジョルジュ・メンデスとPSGのsporting advisorであるルイス・カンポスの繋がりも大きいでしょうし、唯一交渉を開始したとも報道されました。経済的にはPSGがアトレティコの要求する額に近い金額は出せそうな気もしますが、今からMNMの牙城を崩すのは容易ではないですしどうなんでしょうかね。ネイマールかメッシが移籍したあとなら、もしくはそれが既定路線であるならフェリックスというスーパースターの獲得がありそうかなと。
次にバイエルンについてですが、お金はあると思いますしブランド力もありますし、メンデスとも話し合いがあったとされますが前線の質は世界トップクラスですし、ジャマル・ムシアラをコアとするならば必要なのかと言えば微妙。夏も狙っていた報道はありますが、サディオ・マネを獲得したので可能性は低いのかな〜と思います。
チェルシーはそもそもクリストファー・エンクンク獲得間近であることから流石に金銭的に余裕がないかなと思います。それにチェルシーも補強すべきポイントは多いですから。
ユナイテッドはお金もブランド力も世界トップレベルでしょうしメンデスとユナイテッドの関係は深いですが、今のコアの前線を動かしてまでフェリックスを取る必要はないと思います。世代交代が必要ならまだしもそんなのいらないですからね。前線みんな若いですし。

最後にアーセナルについてですが、先ほど述べたように獲得に動く理由はあります。緊急性が一番高いのはアーセナルと言っても過言ではないですが、長期的に見てどうなのかという疑問は残ります。

さいごに

アーセナルがフェリックスの獲得に本腰を入れるとしたら、エンケティアの状態、ジェズスの回復状況、それにあまり触れてませんでしたがクロエンケオーナーの資金注入の有無が関わってくるので簡単にはいかないですね。

シメオネをほったらかしにしてたツケがまわってきたっていうか、これは崩壊の序章にしか過ぎないと思います。ほんとフロント監督まとめていなくなってくれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?