ゆめみ入社3年目、C.DOになった話と、この2年ぐらいのゆめみのデザイナー組織の変化
ゆめみに入って3年目になりました。
入社後、私は仲間と協力しながらサービスデザインに注力するチームを作って業務にあたり、また社内外のワークショップを実施したり、外部セミナーで登壇したりしてきました。
すると最近では強強な仲間も増えてきました。
そしてこの5月に、ゆめにでは新たに「C.xO制度・執行役員制度」が立ち上がり、私は取締役会決議でC.DOに任命され、C.DOとして活動していくことになりました。(.がついているのは誤植ではなく、意図があります。)
エンジニア・デザイナー組織だったゆめみは、
これからデザイン組織を打ち出していきます。
そのあたりの、これまでの歩みをまとめました。
C.xO(シー・ドット・エックス・オー)という取り組み
C.xO(シー・ドット・エックス・オー)制度ができた背景
ゆめみでは従前、全員CEO制度であり、メンバー全員が代表取締役(的)権限(※的、というのは会社法上とはことなるため)を保有して権限分散を実現しています。
その上にチャレンジ取締役という制度があり、メンバーから公募により取締役を選ぶことにより、「肩書きが人を育てる」、「肩書きを使って外部訴求する」として肩書を有効活用したり、メンバーの視座を上げています。
このような権限分散には、いいことだけではなく、負の要素もあります。上意下達の指揮命令系統ではなく、いい意味でも悪い意味でも民主的な合意形成がなされること、その合意の過程である社内の議論や対話の場において、お見合いが発生することです。
つまり、初めの一歩として声を上げる人が明確でないので、誰かが第一声を発するか、お見合い状態になっている可能性がありました。
その状況を打開して、あるべき姿、ありたい姿を多くの人が発する状態を作り、不確実性が高い環境で、常にこうあるべき、こうありたいという議論や対話が生まれることを期待して、制度がつくられました。
なお、第一声を上げる、第一歩を体現する事を「点(ドット)」を打つという意味で表して「C.xO(シー・ドット・エックス・オー )」という表記にされています。
私には
Chief Design Officer(C.DO)
・・・あるべきゆめみのデザインについて、第一声を上げる
という役割が託されました。
他にもC.BO、C.TO、C.XOが任命されていますので、それぞれの内容は、それぞれのアウトプットに譲ります。
C.xOはmあるべき姿、ありたい姿について第一声を発したり、第一歩を体現する役割となりますが、あるべき姿はC.xOだけでなく全員で紡いでいくことが期待されます。
つまり、C.DOになんらかの特別権限や、上下関係があるわけではないです。
なお C.xOは任期としては、最低限1年となるみたいです。
今後、この役割から発信をさせていただきます。
2年間でしてきたこと
この2年で
・クライアント企業のプロジェクト併走、ご支援
のほかに
・サービスデザインのチーム立ち上げ
・プロセス整備
・デザイン部署への議論巻き起こし
・チーム再編
などを行ってきました。
わたしの入社当時のUXUIデザイングループは、「デザイン」と「企画」という名前で、エンジニアリング以外のその他全般領域をざっくりと依頼される、その管理を「ディレクター」が行うといった形になっていました。また、デザインはプロセスの一部でした。
デザインの部署は、職種としてのデザイナーがマネジメントされているデザイナー組織という存在でした。
ここで、組織について一旦過去のnoteを引用しますが、
『デザイン組織のつくりかた-デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド』(ピーター・メルホルツ,クリスティン・スキナー, 長谷川敦士、2017)と、『Design Maturity Model』(Sabine Junginger,2009)を参考にした、デザイン組織の変遷を以前まとめています。
そこで、2つのデザイン組織の図をあわせて描いてみたのですが
ゆめみとしては、この進化図のうち、このステージと感じました。
あるいは、もう一つ左のステージかもしれませんでした。
そのような組織は、どうなっていたかというと、ビジュアルに関するクリエイティブと、スマホアプリのUIと、PCwebのUIと、サービス含めたUXと、アイディエーションの意味での企画と、ビジネス要件整理と、組織コンサル、ぜーんぶひっくるめてUXUIという名で社内から依頼され、依頼側もまたそれを受け入れて、ときにミスマッチが発生していました。※例えばWebサイトのバナーのクリエイティブ制作をアプリUIのデザイン専門家が実施するとか。
そこで、まず自分たちだけでも「デザイン」「企画」「UX」「UI」という言葉に敏感になって、依頼の言葉が指し示す本来を意味を探った上で、適切なプロセスで業務を回していけるようになりたいと考えました。
そのために、構成メンバー個々の成長の志向をベースとして、既存チームの再編への議論をスタートし、グループ内のの再編の第一歩を踏み出しました。その過程で、ざっくりとした「企画」と呼ばれていた「サービスデザイン」部分に特化したチームを立ち上げました。
なにを変え、なにが変わったか
チームの立ち上げとプロセス整備を進めていく中で、私達のチームのクレドを設定しました。
戦略に支えられた創造力
Creativity powered by strategy
クライアントとクリエーターとエンジニアとが持つ創造力を最大限に発揮できるように、関係構築・プロジェクトデザイン・ファシリテーションを戦略的に行い、彼らの活躍の場をデザインし、ユーザーにとって最高のプロダクト・サービスを届ける
このなかで特に、「関係構築・プロジェクトデザイン・ファシリテーションを戦略的に行い、彼らの活躍の場をデザイン」すると定義しました。
具体的には、
内へのアクション
・デザインを「プロセスの一部」から「全てのプロセスで関係するもの」に
・デザイン的考え方を、すべてのメンバーへ
・自らはなんのデザイナーなのかをつねに問う意識へ
外へのアクション
・プレゼンス強化のためのセミナー登壇・文書アウトプット回数の最大化
・ネットワーキング強化のため、セミナー参加・SNS活動の強化
を実施しました。
その中で、我々のチームでのデザインへの考え方が、
職種としてのデザイナーのマネジメント(デザイナー組織)から
↓
チーム、組織、クライアントとのあり方をデザインする(デザイン組織)
へと進化していきました。
そして、自社内のあらゆる場所に、デザインの役割、デザインの力を活用してもらうように、いろんな場所にメンバーそれぞれが顔を出すような、地道な活動を継続してきました。
2年の結果として
このように進めていくことで、色々な結果が出てきました。
内的変化
・デザインチーム以外のメンバーでも、デザイン的考え方で自走できるようなデザイン組織化(デザイナー組織も成熟化)
・社内へのデザインプロセスの導入について、デザイナーに声がかかる形に
外的変化
・プレゼンス強化と、継続的アウトプットの結果、RFPコンペ減少
・UX・人間中心設計・組織デザイン分野での単独指名が増加
世の中によくあるのは、CXOやクリエイティブ部署をつくって、彼らが先導・ドライブする、ピラミッド的な指揮命令するパターンかと思います。
対して、ゆめみは、その独自の権限分散型組織のなかから、デザイン組織をビルドアップしはじめました。
それは、単にCXOやクリエイティブ部署をつくって終わりではない、総体としてのデザイン組織への進化、デザイン経営の一つの例ともなるかもしれません。
デザイン経営宣言の中間報告でも問題点が指摘されたのは、CXOの外部からの招聘や、クリエイティブ組織を新たに外部につくることにより、その軋轢が可視化され、デザインの効能が限定的になってしまうことでした。
かたちとしてだけ外形的にCXOを据える、クリエイティブ部署をつくるだけ、ではない進め方を我々はしてきました。
そこにはデザイン経営・デザイン組織のベースとなる、大事な要素があったように思います。
次に、
デザイン組織としての構造、デザインが中心となっている組織として、大事なことはどんなことかを、これから書いていきたいと思います。
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