オーディオのお話(5)レコードプレーヤー選びについて
前回、レコードプレーヤーの「カートリッジ」について書きましたが、今回は、その一歩手前の話題として、初心者の方向けのレコードプレーヤー選びについて書こうと思います。
レコードプレーヤーの値段はピンキリです。安価なものの中には、一万円ちょっとで、スピーカー内蔵型のものまであります。
レコードを2、3枚しか所有していない人で、これ以上コレクションが増えないなら、こうした安価な機種で良いかもしれません。ゆっくり回るレコードを眺めながら、そこから音が出ることだけで、十分楽しいと感じる方なら、OKでしょう。
しかし、CDや配信サービスなどのデジタル音源では味わえないアナログらしい音をしっかり味わうには、もう少し上位の機器を買った方が良いですと思います。アナログレコードに刻まれている音の良さを、しっかりと味わっていただきたいと思うからです。
いったい、どれを選んで良いのか分からないかわかりづらいかもしれません。そこで、少しでもお役に立てばと思い、記事を書くことにしました。
まず、レコードから音が出る仕組みをおさらいします。必要な装置を上流から並べると、以下のようになります。
「カートリッジ」→「レコード・プレーヤー(ターンテーブル)」→「フォノイコライザー」→「アンプ(プリメイン・アンプ)」→「スピーカー」または「ヘッドホン」
といった具合です。マニアの中には、「アンプ」を「プリアンプ」と「パワーアンプ」で組む人もいますし、MC型カートリッジを使う人は、「昇圧トランス」を使う人もいますが、ここでは初心者向けに、カートリッジはMM型を使う前提でお話しします。
ここからは、あくまでも私見ですので、参考と程度としてください。
1.カートリッジ交換ができる機種
レコード針は消耗品です。ダイヤモンド針の場合、短いもので300時間、長いもので800時間程度でしょう。これを交換すると、がらりと音が変わります。
不思議なことに、ただのビニールでできたアナログレコードには、びっくりするほど濃密な音が刻まれています。この音を引き出せるかどうかは、カートリッジやレコードプレーヤーの性能にかかっています。
それなりの価格はしますが、後々、カートリッジ交換の楽しみが広がりますので、色々なカートリッジが楽しめる機種を選んだ方が、楽しさも倍増します。トーンアームの先端がユニバーサルタイプで、ヘッドシェルが交換できるものです。
2.ベルトドライブか、ダイレクトドライブか
レコードを乗せる円盤型の部分をターンテーブルと呼びます。これの大きな役割は、一定の速度を保って回転し続けることにあり、安定した精度が求められます。
このターンテーブルを駆動するのに、モーターからゴムなどのベルトを介してターンテーブルを駆動する「ベルトドライブ」と、ターンテーブルの真下にモーターがあって、モーターそのものがターンテーブルを駆動する「ダイレクトドライブ」の2種類があります。
マニアの中には、ベルトドライブ式を推す人が多い印象です。正直に言います。私は、どちらが良いのか明確な答えを出せません。
ちなみに、私すえきちは、1992年にテクニクスSL-1200Mk3を購入し、今でも使っています。この製品はダイレクトドライブ式です。幸いなことに、これまで故障はありません。長く使いたいので、そろそろメンテナンスに出そうかと考えています。
私の音楽ライフは、日本の工業製品の素晴らしさに支えられきたと言えます。
3.フォノイコライザー内蔵型か、非内蔵型か
最初にフォノイコライザーの役割を理解しておく必要があります。
ざっくり説明しますと、レコードが工場でプレスされる時に、低音域を圧縮して記録されています。カートリッジが拾い上げた音を補正するのがフォノイコライザーの役割だと思ってください。存在は地味ですが、この部分も音に大きく影響します。
フオノイコライザー単体の製品もありますし、レコードプレーヤーに内蔵されていたり、プリメインアンプに内蔵されていることもあります。おすすめは、単体の製品か、アンプに内蔵されているものを使う方法です。将来にわたり、交換・買い替えによる音質アップがしやすいからです。
初心者の方の場合、フオノイコライザーが内蔵されているレコードプレーヤーを購入するのもアリかもしれません。その場合、カートリッジを良いものに交換しても、内蔵フォノイコライザーの性能がボトルネックになってしまい、思ったほどの音の向上が見込めないことがありますので、そこを理解しておく必要があります。
4.Bluetooth機能について
私は普段、Bluetoothイヤホンをよく使います。通勤中に、スマホと接続し、YouTubeを視聴するのに重宝しています。
しかし、これはデジタルデバイスに限られたこと。せっかくアナログレコードを楽しむのであれば、レコードから拾い上げた音の信号を、わざわざデジタル変換しなくても良いのでは?と考えてしまいます。
Bluetoothの便利さはとても良くわかりますが、そもそもレコードを再生する行為は、盤面やカートリッジ針先のクリーニングなど、手間暇かけることが避けられません。
私がこれからレコードプレーヤーを買うなら、シンプルにRCA出力端子のみのものにしますが、比較的安価な製品はBluetooth内蔵のものが多いかもしれませんね。難しいところです。