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好奇心を刺激する ~良書は出尽くした?自分が求めているタイミングではないだけ?自分の読み方が浅いだけ?~

20代のころは会社員としてスタートし、自分が就職した業界やビジネス自分の知らない世界を体系的に開いてくれる本への投資は惜しまず、欲しい本がたくさんありAmazonでポチポチ。

それらのインプットが、今の自分の仕事を支えてくれているのだと思う。

でも、いつの間にか、書店で並ぶ本がハウツー本や知識をキュレーションし直したただけの本ばかりに思えて、また、仕事中心の生活で仕事に役に立つかという視点でいた自分はますます、本屋にいくことが少なくなっていた。

本を読まなくなって数年が経ったが、最近また本を読む習慣が戻りつつある。読む本がビジネス分野でなくなった違いはあるけれど。

ただ、この数週間、図書館で借りる本を途中まで読んで返却することが何度か連続で続いている。

有名な学者が書く本でさえ、「本質」を難しく言っているだけのことが多いと感じ、興味をもって読み進めることができなかった。直近で「途中まで読んで返却した」本について、自分の本の読み方、モノのとらえかたが浅いという指摘が怖いと思いつつも、あえて書いてみようと思う。「無知の知」は自戒として心に留めながら。

何故、ピサロがアタワルパを捕え、スペイン王国がインカ帝国を征服できたのか

「将軍ピサロとの出会いに先立ち、アタワルパはどうしてかカハマルカにやってきたのか」という疑問について考えてみよう。~中略~インカ帝国の内部対立によって巻き行った内戦の行方を決する戦いに勝利したあと、的型の拠点であったクスコを占領していた仲間に合流する途中で、カハマルカでピサロに率いられたスペインの征服者たちと遭遇した。インカ帝国はこの内戦で分裂し、全土は混沌としていた。 ~中略~ この内戦の原因は、パナマとコロンビアに移住してきたスペイン人が持ち込んだ天然痘にある。当時、天然痘が南アメリカ先住民(インディオ)のあいだに、大流行し、1526年にいんか皇帝ワイナカパックや廷臣たちの大部分もそれがもとで死んでいる。~中略~ 王位をめぐる争いがアタワルパと異母兄弟のワスカルのあいだで起き、それが内戦に発展したのである。つまり、もし天然痘の大流行がなかったらインカ帝国の分裂は起こらず、スペインは一致団結したインカ軍を相手にしなければならなかったのである。

銃 病原菌 鉄/ジャレド ダイアモンド

この本のタイトルが「銃・病原菌・鉄」となっているが、その1つである病原菌についての記述が登場。どのような世界的な出来事も偶然起きた病原菌が大きな原因の1つ。下巻は読んでいないが、その内容は予想できそうな気がする。
・・確かに2020年でもコロナが流行して世の中が大きく変わったが、流行前に読む人が読んでいたら、違う受け取め方があった?

世界的ベストセラーということなのでもう少し辛抱強く読んでみる。

何故シマウマは家畜にならなかったのか

群れをつくらず、自分自身のなわばりをもち、単独で暮らす動物はほとんど家畜化されていない。しかしその逆に、群れをつくる動物であれば家畜化されるかというと、必ずしもそうではない。中略 群れをつくって暮らす動物の多くは、群れごとの縄張りを持ち、他の群れとなわばりの一部を共有することはない。この種の動物の二つの群れを同じ囲いの中で買うのは、群れをつくらず単独行動する動物の雄二匹を同じ囲いの中で買うのと同じくらいむつかしい。

銃 病原菌 鉄/ジャレド ダイアモンド

その他引用は省略するが、「もっともらしく」羊とシカ、レイヨウ、ビッグホーンの違いの事例を出しながら「アンナカレーニナの法則」という独自の視点があるように説明しているが、動物によって性格や習性の違いがあり、ネコと犬の性格が違うのは小学生でも知っている事実で、種の違いがあるという当たり前のことを書いているだけとしか受け取れない。

生物学者や歴史学者など、動物や歴史が純粋に好きな人たちは、それらの事実/知識に対する純粋な好奇心で読めるのかもしれないが、この本を読むことでそれぞれの細かな歴史的な事実、生物学的な事実という「知識」に触れることはできたが、新しい視点や考え方にふれることができなかった。

多くのパワーポイントの資料や飛び交うビジネスメールからその結論を素早く読み取る能力が進化した結果なのだろうか。そしてこれがいいのか、悪いのか今のところ判断がつかない。

他者を感動させること、他者に影響を与えること、他者に変化を与えること、他者を救うこと、には何が必要なのだろうか。

社会人入学した大学院で誰かが言っていた。「多くの研究は重箱の隅を楊枝でほじくるような内容のもの」。これに怒る学者や研究者もいると思うが、当時の僕も同じことを感じたし、ストレスを感じていた。そのため、博士課程には進まなかった、進めなかった。

人には誰しも新しいことを知りたいという好奇心があり、「読めない」「研究できない」自分にもその好奇心はあると思うけれど、本来もっている自然な好奇心をいっぱいに開いて「学び」の楽しさを提供するような場を創れたら面白いよね。

ある作品を読んで、うまいうまいと思いながら、心を打たれない。他方で作品を読んで、まずいまずいと思いながら、心を打たれる。ある作品を読んで、良く描けていると思いながら、心を打たれない。他の作品を読んで、ちっとも描けていないと思いながら心を打たれる。この二つの場合を、誰でも経験していると思う。文壇有数の名家の作品を読んで、うまいと感心する。が、心は動かない。投書家庭殿人の書いたまずい短編を読んで、つい心を打たれる。 ~中略~ 芸術的価値は表現力です。ただし、表現力があっても、内容的価値がなければ仕方がない。内容的価値というのは便宜的な言葉で、生活的価値といってもよい。

こころの王国 猪瀬直樹




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