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生きる ~止揚学園 命のストーリー~

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滋賀の能登川駅近くにある知的障碍者の方が入所する止揚学園での命のストーリーをまとめたものです。
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福祉施設という名のアート文化会館

自分が感じている世界との出会い、世界へのメッセージをどのように表現していくか、ライブ後にいろいろと考えている。 表現活動やアートについて想いを巡らし、20年ぶりに美術館にも足が向く。巨匠のもつ新しいものを生み出し続けること、創り出し続けるエネルギーは感じたが、自分自身が絵で表現しよう、描いてみようなどという気にはならない。一方で、何かワークショップの企画を考えてみるけれど、コーチング? リーダーシップ開発プログラム? 企業の組織風土改革?・・・。以前やっていた活動の延長やす

スピノザの福祉施設

インフルエンザや出張などいろいろと重なって、新年の挨拶だけで失礼していたところ、ようやく止揚学園を2025年の初訪問。今回は入所者である仲間の方のご両親と一緒の時間を過ごさせていただくことになった。 ご夫婦ともに80歳を超えるがとても元気で、話す内容は、今日のメニューである「とり野菜みそ鍋」が実は滋賀の郷土料理だとか、毎日の食事でゆで卵を作るのが役割だとか、他愛もない会話を交わしながらも、二人に囲まれた二人の子供である仲間の方の口へ優しい手つきで食事を運ぶ。 そんな二人の

灯で照らされた自分の影

止揚学園のクリスマス会にご招待いただいた。 クリスチャンにとってのクリスマス会とはどんなものだろうか いつの間にか準備されたクリスマスの装飾と会場いっぱいに並べられた椅子 来客が多くいつもにぎやかな学園に、職員や仲間のご家族も集まり、なんとなくソワソワした空気と厳かな雰囲気が漂う礼拝会場 特別にお化粧をしてもらった仲間たちがいつものようにリラックスしつつ、いつものようにそのままで会場に座る。 家族に囲まれて幸せそうな席に座る仲間 一人でいることをじっと受け入れる仲間 慌

無常の世界で受け取ったバトン ~今ここで、全身で現在を生きる~

考えの浅い早指しはしないと独りでウジウジ人に会って語り、本を読んで考えを整理し、時々出会う偶然と感動の糸をたどるようになんとか足を進めても、恐る恐る世界の扉をノックしても世界の扉の反応はそれほど響かない。 自分は前に進んでいるのか進んでいないのか、知れば知るほど世界が広く、読んでみたい本が積まれ、考えてみたいキーワードが増えて、書き出してみたやりたいことリスト(To do)を眺めながら、過去を振り返って反省してみたり、肯定してみたり。その先に何かがありそうだけれども、何も見

サザエさんから聴こえる声(再訪アート文化会館)

駅前のスーパーを通り越し踏切を渡る。猪子山を右手に瓜生川沿いの小路を蝉の声を聴きながら、汗を拭きながら20分程度で止揚学園に到着。 先日初めて知的障害者の福祉施設を訪問した後、頭から離れずお礼とともにすぐに次のアポをとって再訪。、、。どんな形の関わり方がいいのだろうか。 「あ、やっしーさんですか。お待ちしていました。」 正面玄関のある通路から、「仲間」がいる食堂の様子を覗くと、前回はみかけなかった自分の母親と同じ年齢くらいの女性に声をかけられる。 やっていた仕事の手を

運命を目の前にして取りうる選択肢が限定的で、身体的な能力もどんどんと落ちていく日々を過ごすとき、どんな関わりをしてもらうと嬉しいだろうか。どんなことがあると、楽しかった、ありがとうと言ってもらえるだろうか。

初老を迎える男性の歩行補助をさせてもらいながら、交わした会話。「ここにはもう4年。僕のお兄ちゃんも一緒だったけれど、今はもう天国」 昨日は月1回のイベントでお母さんと会えたそう。お母さんがその人生で向き合ってきたことに想いを馳せる

良い世界、良いシステム、良い関係性を構築するためにお金は必要ですか?~愛と創造の貢献主義~

人の心で成り立つ謎のシステム週1でお邪魔している止揚学園ではいろんなボランティアの方と出会います。(チャリティーコンサートをして全国を回っているシンガーソングライターの松尾さんや毎年学園祭に招待されている名古屋の金城学院、近所の人たちからの梨やトマト、ケーキやお菓子・・) 聞くところによると椅子や机なども寄付されたものを40年以上使っているそう。運動会で使う太鼓、視察にこられた団体からのお土産多数。 陶器の食器で日々を愛する お邪魔する時は配膳のお手伝い/食後の掃除を担当

農家のお母さん曰く、「野菜を育てながら草や虫と話すことが好き。学校の先生や人と世間話をする時間が、知らないうちに自分から草木や虫と話す時間を奪っている」 ナウシカは、自分が知らないだけで、すぐ近くに存在するようです(^_-)-☆

たんたんたんたん誕生日~♪ 嬉しくて思わず、障がい者支援施設でハンガリーの研究者をゲストにDiversity について語る会を開催します

週1で通っているボランティアの毎回の訪問では、普段生活していると感じたり考えたりしない、命のエピソードがあり、感動に出会います。 一方で、ハンガリー出身でドイツでメディアやコミュニケーション、Diversity について研究している友人が来日するのにあわせ、いろいろと予定調整をしているうちに、一緒に施設を訪問することになりました。 他にも参加者を募り、Diversityの言葉が定着しつつある社会の中で60年前から障碍者福祉に取り組んできた止揚学園の空気にふれ、マルチリンガ

苦難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出す(ローマ人への手紙) 希望のある社会をつくるため、本物/真実を見抜く目で人生を選択したい。

滋賀の田舎にある文化の交差点

止揚学園が開催する「招天者記念礼拝運動会」という外部参加者も多く集まるイベントに妻も誘って参加してみた。 施設の職員、仲間の方がいつもと違う面を見せてくれていて、またご家族の方の参列も多くあり、また外部からの参加者も知的障害をもっている家族を連れた人も多くいた。新しい雰囲気の中で、命のストーリーをあらためて、フォーマルな場で聞く機会になり、妻と一緒に参加したことで僕にとっては多様性について考えさせられ、また新しい発見と体験 タデメープレポメナ♪オイオーニーア♬参列者の様子

いくら生きるのをやめようと絶望しても、体の器官は、自分の役割を一生懸命果たしている。自分を生かしてくれる「いのち」の力に気づきました。自分がいのちをコントロールしていると思うのは錯覚で、もっと大きな力が私を生かしてくれる。(星野富弘)

「あなたがたは、地の塩である。もし塩のききめがなくなったら、何によってその味が取りもどされようか。もはや、なんの役にも立たず、ただ外に捨てられて、人々にふみつけられるだけである。 」(マタイによる福音書5章13節)