架空の話
寒い、と思ったら冬だった。冬にはおでんを作る。寒いけど、近所のスーパーまで出向いて材料を揃える。大根、たまご、揚げ、色々なもの。好きな中身を揃えたら帰る。しんとしていて、喧騒があたたかく響く。首にあるマフラーのなかに息を埋める。体温だけ感じられて猫になった気分だった。気ままに生きている。いつ死ぬとも分からないのだから、気楽に行くしかないとも思っている。そのおおきな流れのなかで、働き、食べて、風呂に入り、寝る。所々に生活の様々な所用をこなし、時々に休み、気分転換をし、だましだましでもないけれど、なるべく鬱にならないよう生きる。
日々に、相方は必要ない。独りで孤独に歩む。できるだけ淡々と軽やかに、静かに。悩む時もある。世間の混沌が頭に生々しく入り込んでくる。かきみだし、狂わせる。生活のリズムに執着しているのが分かる。それをわざと踏み外す。そのまま落ちて、ゆるやかに眠る。挽回はできない。ただ受け止める。そして淡々と。