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1月の自選をするのだよ!
遅まきながらあけましておめでとうございますということで、1月の自選短歌を見て見て~させていただく。ちなみに、この文章を書いている時点で2月の14日である。旧暦にしたって無理がある。
中途半端だが6首だ。俺は人間という、アフリカが原産の生き物なので、冬は調子が出ないのである。ひとつご勘弁をいただきたい。
4発の君の合図で青色のストラトはすぐ翼になった
目立ちたがりの下手くそギタボ高校生。#短歌 #単語で短歌 https://t.co/akhD5UGfB5 pic.twitter.com/QkJzH1XT0S
— つぐみざき あさひ (@TATA_Novelist) January 8, 2025
『単語で短歌』さんのお題「合図」で詠んだもの。
小学生の頃、お年玉をはたいて、青いギターを買った。
その後、中学生頃に標準的なサイズの黒のギターに買い替えることになり、ほぼ同時期に水色のラメ入り塗装のエレキを買った。ストラトと言ってもフェンダー社のやつではなく、ツノが2本でピックアップが3つの、ストラトキャスタータイプのエレキというだけである。
長くやっていただけで習ったわけでもなく、大して上手くもないが、高校の軽音楽部では2度ほどステージに上げたはずだ。
3年生の秋から原因不明の血行不良で握力がなくなったり、メンタルのバランスをめきょめきょにしたりし、最後の文化祭を前に追放に近い形で軽音楽部を辞めた。けれど、音が重なる、ハマる感覚、ぐわっと音が増幅させ合いながらまばゆく客席に弾けるあの感覚はひとりでは決して味わうことができない。青春のいちばん輝かしい時間に数えることができて本当によかったと思う。
ねえ聞いて、ケーキ丸ごと食べたけどただ多すぎるケーキだったよ
ケーキ丸ごと食べた。#短歌 #連想短歌 https://t.co/0DeZDV51ix pic.twitter.com/9MGeHUvOP5
— つぐみざき あさひ (@TATA_Novelist) January 9, 2025
RIUMさんの#連想短歌 「夢」で詠んだもの。
夢というのにも二種類あって、眠りながら見るものと、思い描いてみるものがあるといえる。
これは思い描いてみるものの方だ。
クリスマス付近が忙しかったので、新年が明けた頃にプチシューを買い込んでクロカンブッシュを作り、ひとりで食べた。ケーキ丸ごと独り占めの夢を広義で叶えたわけだが、翌日胃もたれという現象を身を持って理解する羽目になった、という話である。
思い描くぐらいがちょうどいい夢というものも、ある。
あのひとの名前が出ない進軍は果てなく続くコアラのマーチ
コアラのマーチ。#短歌 pic.twitter.com/lj2FQiZw1S
— つぐみざき あさひ (@TATA_Novelist) January 31, 2025
弁当を作り損ねた日は、大学の近くのスーパーでカップ麺とおにぎりのセットランチを楽しむことにしている。入ってすぐに安売りのお菓子が山盛りにしてあることが多いのだが、それがこの日はコアラのマーチだった。
いつの頃からか知らないが、あのコアラは名前を書かれている。きつねうどんと鮭のおにぎりを食べ終えてから、別に誰の名前を探すでもないのにひとつひとつ名前を確認してから口に運ぶ。誰と分け合うでもなく、ひとりでひたすら、名前を持ったコアラを捕食する。
虚しいことだけが確か。
太陽でなくていいから僕のこと君に照らしてほしいと思う
うっすらとは思っていたけど、信じられないぐらい好きだったひとによく似たひとが近くにいる。
— つぐみざき あさひ (@TATA_Novelist) January 30, 2025
距離感不理解人(パーソナルスペースわからんちゅ)になっている。#短歌 pic.twitter.com/ruLiHLpEF7
キャプションにぜんぶ、ぜ~~~~~~んぶ書いてあります。
嬉しいような悲しいような、まあ失礼だよなって気持ちと、今度こそはって気持ちで変な汗が出る。
七不思議9個目として図書室に明かりもつけずいた君の名を
七不思議9個目として図書室に明かりもつけずいた君の名を/つぐみざき あさひ#短歌#花束題詠
— つぐみざき あさひ (@TATA_Novelist) January 11, 2025
卒業して8年になるが、生きている。 pic.twitter.com/MCi2EOjq6q
「単語で短歌」さんの短歌イベント「花のへや」コラボお題「図書室」で詠んだもの。
小学生高学年の頃、図書室にイマジナリーフレンドがいた時期がある。名前は宇治夢月。鏡の中を含めて顔を合わせる人間がだんだん狡猾になっていき、また自分の求められる在り様と自分の求める在り様、自分の実際が食い違っていく教室から逃げ出した先が、俺にとっては「図書室」だった。
長年図書室の地縛霊だったものの、科学やメディアの発達で子どもたちも彼を認識できなくなり、数年ぶりに認識してくれた人間が俺だった——という出会いを果たし、中学生ごろまで一緒にいた。これが過去形なのは、あるときどういうわけか「俺は自分を自分で自由にしてやれるようにがんばるよ」と約束をして、木工室前で別れてそれっきりなのだ。詳しいことは覚えていない。
本当に、図書室の地縛霊だったのかもしれない。
余談だが、俺の通った小学校の七不思議は御多分に漏れず7より多くあり、そのうちのひとつ「夜中に中庭に行くとキメラ(人面犬)がいる」については俺が言い出したような気すらしている。
この部屋に引っ越してもう2年経つ「ただいま」はまだ家に満たない
家に満たない。#短歌 #単語で短歌 https://t.co/amu7okqZhy pic.twitter.com/3uLMcS8JDn
— つぐみざき あさひ (@TATA_Novelist) January 11, 2025
今度は大学生の俺の首である。
「単語で短歌」さまのお題「引越し」で詠んだもの。
大学生もおかげさまで2年生を無事に終える見込みである。もうじきここが愉快な俺のお城になって3年目になるが、「家」というとどうにも実家の玄関が思い浮かぶ。
帰るたびにただいまと言い、出かけるときにはいってきますと言っているものの、やはり実家のおかえり力に遠く及ばない。
以上が1月の自選6首のご紹介でした。
寒さの底で乾風にHPを削られ、おふとんの中から世界を威嚇する生活が癖になりつつあるが、もうすぐ短歌をこねくり回し始めてから3年目になる。そろそろ著名めの賞に応募するなどしていきたいなあなどと思い始めてから数えても半年ほど経つ。いい加減腰を上げるなり、五体投地してコロコロ転がってみるなりして新しいことに挑戦してみようと画策している。
うまいこと転がって面白いことになったら儲けもんである。それにはまず転がしてみなければ。
それではごきげんよう。