今夜も召し上がれ 醬油ラー虚無
第19夜 醬油ラー虚無
子供の頃、ラーメンと言えば出前だった。
今だって大人なのは縦寸ぐらいのものであるが、ともかくも俺の知っているラーメンは、運転の荒い大将が玄関の引き戸をガラガラガラと開けて、はいどぉもね、と持ってくるものだった。
父親の分、祖父の分、曾祖母の分、俺の分……と、大将と同じぐらい貫禄のある木のおかもちから丼が取り出されていく。細い縮れ麺の、透明なスープのなかで小口切りの長ネギが踊り、業務用ラップが二重に掛けられた、醤油ラーメンでビンゴゲームをしたら真